prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「イン・ザ・ハイツ」

2021年08月23日 | 映画
移民してきた祖国のドミニカらしき浜辺で主人公のが子供たちにワシントンハイツでの生活の話をしていく構成なのだが、何人ものキャラクターを並行して描いていくのが初めスケッチ集みたいだったのが、ラストできちっと組合わさる構成に感心する。
故国から移民してきたと同時に、今アメリカに住んでいる場所が故郷になっているという二重性が全体を貫いていて、それがラストで一体になる。

大学に行くにも学力だけでなく親の経済状態や人種から絡んでくるあたりや、経済発展と共に移民が住んでいる場所は再開発されて家賃がバカ高くなって住めなくなることが示唆されているのが痛切。

プールの群舞を真上からのアングルで抽象的な図形みたいに見せるのはバズビー·バークリー風、アパートの壁面で重力を無視した踊りになるのはフレッド·アステア主演の「恋愛準決勝戦」と往年のミュージカルの趣向を再生している。

ミュージカルとあって画と音のいいドルビーシアターを張り込んだのだが、スクリーンの大勢の登場人物それぞれに音が配分されているみたいなのが鮮明にわかる。