prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「夜叉」

2021年08月16日 | 映画
高倉健の東映退社以後の作品はだいたい見ていたのだが、これはすっぽ抜けていた。

どこかしら他の主演作に似てしまっている。居酒屋の女との関係は「駅 STATION」、いったん足を洗おうとしたヤクザがやはり洗いきれないのは「冬の華」、あといささかマイナーだが回想シーンで白いスーツでキメているのは「神戸国際ギャング」と。
あと雪景色がバックというのもお馴染み。
田中裕子は「あなたへ」、いしだあゆみは「駅」でも共演しているので前後関係はともかく既視感あり。

どこかで見たようなシーンが多いし、木村大作のカメラはすごいんだけど、すごすぎてワンカットごとにいちいち停滞しているみたいな感じになる。

おやと思ったのはふつう善人役者の下条正巳(三代目おいちゃんだものね)に殺られ役をふったこと。のちに北野武監督「キッズ・リターン」でやっていたキャスティングだ。

たけしは得意の暴力性を全開にしているわけだけれど、役者としての暴力性と監督としての暴力性というのがシームレスに地続きというのはメル・ギブソンもそうだけれど、不思議でもあるし、当然の気もする。