prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「SEOBOK ソボク」

2021年08月05日 | 映画
奇しくも先日の「Arc」で不死の問題を扱ったのと軌を一にして、永遠の命を持つクローンのパク・ボゴムが奪取されたのを取り返しに行った元情報員コン・ユのロードムービー仕立てのバディもので疑似兄弟ものという骨格がしっかりしている。
その上で命の意義というをかなりマジメに問う一編。

回想シーンの処理がやや手際悪く、過去のいきさつを説明するのは画面にするより韓国らしくキリスト教の納骨堂の写真の前でセリフで処理した方が情感が出た。

超能力の描写が大友克洋の「童夢」か「AKIRA」かという迫力。
パク・ボゴムの童顔とコン・ユの適度にやさぐれた顔のコントラストがいい。

韓国映画の得意技というのか、見下した相手をとことんバカにする態度がむかつくし、そいつをやっつけるのが気持ちがいい。




「この茫漠たる荒野で」

2021年08月05日 | 映画
トム·ハンクスが先住民カイオワ族に育てられた少女を送る「捜索者」の木霊が響くようなNetflix作品。
監督は「ジェイソン・ボーン」シリーズのポール·グリーングラス。

さすがに西部劇とあってカメラワークは落ち着いているが、敵を岩山で迎え撃つところの緊張感演出は簡潔で確か。
少女役のヘレナ・ゼンゲルが二つの文明の間で育ったニュアンスを出して、セリフがカイオワ語だけなのだから作った芝居なのは確かなのに芝居の作りが見えない好演。

何しろトム・ハンクスだから「捜索者」の全編を貫くジョン・ウェインの憎悪の代わりにジェイムス・スチュワートの善意がとって代わる。