prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「獣の棲む家」

2021年08月28日 | 映画
スーダンからイギリスに渡ってきたが、まだ正規の移民とも判定されず、古ぼけた公営住宅に押し込められた夫婦。
地元に住んでいるアフリカ系の若者たちに野蛮人呼ばわりされる、白人ではなく黒人に差別されるあたりから異様な感じが出る。

ホラーの構造と文体で社会問題を描く「ゲット⋅アウト」「アス」「返校」などと軌を一にしている。
ぺろりと古い壁紙が剥がれるあたり「バートン⋅フィンク」ばり。
シュールな表現に色々と工夫を凝らしている。

故国に残してきた人たちに対するサバイバーズ⋅ギルト(自分が生き残ったことに対する罪悪感)が根底にあると思しい。