prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」

2018年11月26日 | 映画
一作目のエミリー・ブラントが観客代行のような立場で国境を巡る「戦争」を案内していくような一作目よりさらにハードな、現場で殺し合い兵隊べったりの辛口な世界観で作られている。

国防長官とその取り巻きのお偉方と現場で汚れ仕事をしているジョシュ・ブローリンとの会話がなんともいえず見事。
結局お偉方は手を汚さず、また現場も倫理的な責任は取らない、というより取りようがないのが言葉のキャッチボールからじりじりと炙りだされる。

一番メキシコから「密輸」して利益があがるものは何か、という国防長官の問いに、「20年前だったらコカインですが、今はメキシコ人です」と答えるのが冷酷な現実を教える。

ボスを潰せばカルテル=組織が壊滅するわけではない、とイラクで悟った米政府が、組織を分裂させて互いに争わせるという「用心棒」の桑畑三十郎が悪役にまわったようなワル知恵を働かせるのが実に酷い。

メキシコの貧民の生活を点描していて、それがどんな風に利用されていくのか、というかシステムの一部として組み込まれていくか、ベニチオ・デル・トロと新しく人の輸入に携わる若者の人物配置から見えてくる。

惜しいのは、アメリカとメキシコの国境がどういう風にひかれていて、今いる地点はどのあたりなのか、といった地理上の描写が不足だったり、おしまいの方で明らかにこんなに遠くまで来られるのかと疑問に思わせたりする混乱が見られること。

人質になるカルテルのボスの娘も、その価値がやたらと高く値付けられているのが理不尽であると共に、値踏みされる存在であることに変わりはない。
大きくなったら美人になるだろうと思わせる顔立ちに、いかにも気が強そうな眼付き。

余談だけれど、鯉(たぶん錦鯉)というのがメキシコでも金持ちの持ち物ということになっているらしい。ちゃんとコイ フィッシュ Koi Fishと言っている。

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」 - 公式ホームページ

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」 - 映画.com

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