prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アグネス」

2011年06月29日 | 映画
男子禁制のはずの修道院で修道女アグネスが妊娠し、生まれた赤ん坊を絞殺するという事件が起きて、精神科医のジェーン・フォンダが探偵役となって真相を探っていく。
明らかに聖母マリアの処女懐胎になぞらえた話で、真相というのもその線を外れないので、非キリスト教徒としてはどうも納得しにくい。聖痕が現れるあたりも、奇跡なのかどうかピンと来なくて、どこかケガしたのかと思ってしまった。

「エクウス」もそうだが、精神科医が探偵役になるというのは精神分析がはやっていた時期の話という感じはする(映画の製作は1985年)。
よくは知らないが、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が1988年に発売されて大ヒットしてから、精神病は手間ひまをかけた精神分析より薬で治すというのが主流になっている上、診断はDSM( 精神障害の診断と統計の手引き)で病態からマニュアル的につけるので、問答を通じて真相に迫っていくといったドラマは今では作りにくいのではないか。

撮影はベルイマン作品で有名なスヴェン・ニクヴィストだが、特にベルイマン的ムードではなし。
監督はノーマン・ジュイソン。映画的テクニックに自信があるらしく逆に舞台劇の映画化を好むところがあるけれど、奇跡といった描くのに特殊なセンスが要る題材だっのであまり冴えず。

主演のメグ・ティリーは「アマデウス」のモーツアルトの妻コンスタンツェ役で撮影に入ったが、子供とサッカーをしていて靭帯を痛めて降板した。同じミロス・フォアマン監督の「恋の掟」で共演したコリン・ファースの間に息子が一人いる。

尼僧たちが凍った池の上でスケートしている姿がペンギンみたいでかわいい。
(☆☆☆)
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