prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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よみがえる巨匠の製作現場~野上照代が記録した19本の黒澤映画

2008年09月07日 | 映画
それはもう細かく各カットの情報を書き込んだ台本の実物を見せてもらえたのが収穫。「蜘蛛巣城」で矢で三船が射られるシーンなど、見ていて気づかなかったが毎秒40コマの微妙なハイスピードが混ざっている。複数カメラで撮ったシーンのフィルムを並べてあみだくじみたいにつないでいくのが黒澤式の編集だというけれど、ハイスピードが混ざるとまた別なのではないか。

「デルス・ウザーラ」を撮った時、ソ連に向かう飛行機がエコノミー・クラスだという。ソ連当局もセコいね。あれも今のバリバリに資本主義化したロシアではとても撮れないだろう。
シベリア・ロケでは黒澤が体調を崩して撮休になった日がかなり多いのがわかる。撮影が終わった直後の写真を見ると、ずいぶん痩せている。

野上女史は黒澤が出たサントリーのCMの製作に関わっているはずで、そのあたりの話も聞きたかった気がする。蜥蜴の尻っぽ―とっておき映画の話によると、このギャラでずいぶん黒澤家の財政が助かったらしいから。
「影武者」の演出料が500万円でしたっけ。五年ぶりの新作で、だぜ。



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