prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「恋愛睡眠のすすめ」

2008年09月25日 | 映画

監督は「エターナル・サンシャイン」他、アメリカでの活動が目立っていたミシェル・ゴンドリーなのだが、オープニングでフランスのゴーモン社のロゴが出てきて、舞台はパリで出演者もフランス系の方が多いので、あれと思ったらフランス出身なのね。

そのせいかどうか、現実では引っ込み思案な主人公が夢の中では一転してドタバタ大暴れする趣向は、どちらかというとダニー・ケイの個人芸で見せるハリウッド映画「虹をつかむ男」あたりより、映画的な仕掛けの多彩さで見せるフランス映画「夜ごとの美女」に近い。

ロシア製アート・アニメーションばりのアニメやフェリーニばりのセロファンでできた海を含めて、夢の映像の趣向はずいぶん凝っていて、作者の(アート)映画ファンぶりとミュージックビデオ出身らしい凝りっぷりを見せる。
もっとも、画面作りがそれ自体自己目的化している感じで、主人公の願望なりコンプレックスなりをどう反映しているのかよくわからないので、だんだん飽きてくる。

パリの安いアパルトマンの、エレベーターがついていないで、いちいち階段を上り下りしなくてはならず、互いにどこに誰が住んでいるのかよくわからない環境が割とうまく設定に生かされている。
(☆☆☆)