prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ストーカー」

2004年06月12日 | 映画
原題は‘ONE HOUR PHOTO’で、邦題はあまり当っていない。家族のいない孤独なDP屋がいつも幸せそうな写真を持ち込む家族の一員になる妄想を膨らませていく。ロビン・ウィリアムズがストーカー?と思ったが、疎外されている“いい人”という点ではいつもの役と通じるところがある。髪を脱色して縁なし眼鏡をかけていると、「マラソンマン」のローレンス・オリヴィエに似て見える。

色彩の統一などヴィジュアルは魅力あるが、オープニングですぐ話をばらしてしまっている構成と、ただでさえ壊れかけている“幸せな家庭”が壊れないで終わる、かといって再生したわけでもないという中途半端な展開は納得できない。
(☆☆☆)

「ビッグ・フィッシュ」

2004年06月12日 | 映画
マーク・トウェインあたりに通じるアメリカ的ホラ話の伝統に、父と息子の関係を重ね合わせたような作り。現実家の息子が父親のホラが現実の体験に根ざした根も葉もあるウソ八百であることを理解して、自分の方も夢想の世界を作っていく。今までのティム・バートンが夢想家は疎外されていた、あるいは疎外されているから夢想に走ったのが、ここでは夢想家は現実から生まれて現実にも祝福されている。だからか美術・撮影のセンスからダークなところが抜けてきている。

戦争が出て来て中国軍がにこりともしないでシャム双生児の慰問ショーを見ているあたりはいささか感覚的にひっかかった。宣伝に出さなかったわけだ。

ものすごい僻地の村に入っていくと、知恵おくれ風に頭の鉢が開いた男がバンジョーを抱えているが、ジョン・ブアマンの「脱出」にもああいうのが出て来た。何か元ネタがあるのか?
(☆☆☆★★)