prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「深呼吸の必要」

2004年06月07日 | 映画
偶然きのう草刈りをやったもので(関係ないか)、作品の中心を占めるサトウキビをばっさばっさ切って行くシーンで鎌と斧を振り回しているのが、結構怖かった。ふざけて作業していたら確実にケガするだろう。

同じ監督の「草の上の仕事」だと、二人の草刈り男のぴりぴりしたような人間関係が、草刈りの怖さに響いて何か起きそう(で起こらない)スリルを醸し出していたが、ここでは今どきの内に籠っている若者たちが“傷つけあわない”でひたすら身体を動かし続けているのを見ているうちに、あるカタルシスを感じるようになる。広大なサトウキビ畑の風景や、役者が身体を張って動き続けているのを撮り続ける映画的描写の力というか。

あれだけ若い男女が集まってほとんど色恋沙汰にならないあたり、ドラマ的には淡彩に抑えている感じだけれど、それでもやや作り過ぎている印象になる。あれ以上薄くされたら、役者のしどころがなくなるだろうが。
ひと月以上野外作業するのに顔ばっか塗りたくっている女の子が紫外線を気にしている様子がなかったり、元医者がいきなり血液型が同じだからといって輸血するとかいったところはひっかかる。
沖縄を舞台にしてはいても、都会の映画という感じ。
(☆☆☆★)