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受賞の意味

2008-02-13 | ヴァルシェブニキ・ドヴァラ
ヴォロネジの子供音楽スタジオ「ヴァルシェブニキ・ドヴァラ」の
責任者ヴィタリーさんは、ロシア連邦文化功労者の称号についで、
またしても何やら権威ある賞を受賞。そのインタビューで彼は、
子供たちにまず教えるのは「忍耐」だと答えていた。
音楽を教えるのにまず忍耐!とは。

もちろん、音楽にせよスポーツにせよ学習にせよ、
反復訓練に耐えられる粘り強さが必要であることは言うまでもないが、
彼のいう忍耐の発揮どころというのは例えば、
ユーラシアを遠距離移動するツアーの強行スケジュールだったり、
吹きさらしの屋外ステージで暑さ寒さに耐えることだったり、
小さな楽屋に全員押し込められて万全の準備をすることだったり。
要するに、セミプロとしてステージに立つからには
子供といえどもガマンしなければならないことが多々あり、
かといってスターではないので、天狗になってはいけない、
というようなことを、日々の活動のなかで学ばせているらしいのだ。

これには唸った。
子供たちにおもねらない。甘やかさない。あえて苦労させる。
そういえば昨年春、彼らのコンサートに同行させてもらった時も、
どしゃぶりの雨の中での屋外公演、帰宅は深夜3時半という
10歳前後の子供たちにとってはきつい状況だったにもかかわらず、
子供たちは終始笑顔で充実感にあふれているように見えた。
帰りのバスのなか、ヴィタリーさんは、1曲だけソロを歌った
セルゲイくんという男の子にこう声をかけていた。
「セルゲイ、きょうの歌、よかったよ」
じつはソロの途中でマイクを落としてしまったセルゲイくん、
もともと無口な彼は、黙ったままうつむいて聞いていたけれど、
ヴィタリーさんの一言は、どれだけ彼を安堵させたことだろう。
失敗には一言も触れず、よいところをちゃんと誉める。
ただ耐えさせ、苦労させるだけでなく、努力は必ず評価される、
というところまできっちりフォローする。
そういう指導者もまた正しく評価され、
しかるべき賞を与えられる国、それがロシアだ。
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