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エルミタージュ幻想

2006-04-15 | 映画
ずいぶん前に見た映画ですが、思い出しついでに……。
ソクーロフの映画は正直眠くなるものも少なくないのだが、
『エルミタージュ幻想』に関しては、「90分ワンカット」
という信じがたい試みに敬意を表さずにはいられない。

なんてったって映画丸ごと一本長回し!
あのエルミタージュを借り切って、分刻みの台本にのっとり、
全員が配置について「いっせーのせっ!」で撮影に挑むのだから。
エルミタージュの各展示室が、一発本番の芝居の舞台となり、
カメラが次の部屋の扉をくぐると、別の舞台の芝居が始まる。
こうして館内を経めぐりながら、ロシアの歴史絵巻を見せてしまう。
そんなチャレンジングなこと、思いついたって普通やらない。
それをやってしまうのがロシア人の(あえてソク―ロフの
とはいわない)スゴさだ。

当然カメラマンは一人きり。重たいステディカムを装備して
90分移動しながら撮り続けるただ一度の本番に備え、
彼がまずしたことは、ジムに通って体力をつけること。
小手先のハイテクではなく、肉体資本で勝負する!
技術でちょろまかせることを、あえて生身でやりきる!
これぞ“人間力”を信じる者の発想だ。
館内を縦横に動くカメラにいつ映りこんでもいいように、
スタッフ全員、帝政ロシア時代の衣装をまとってた
っていうのも真剣なお茶目さがあってよいではないか。

それにしても、この映像どーやって撮ったの~!?
と思うようなスムースな流れに驚かされっぱなし。
一発本番に至るまでの周到な準備を思うと気が遠くなる。
そんなこんなを絶賛したら、ロシア女性Sさんが、
「私も見なくちゃ!」と早速見てきた。その感想は……。

「退屈で意味がわからない!
クズ!カス!時間のムダだったわ!」
確かにわかりやすい映画ではないが、そこまで言うか~!?
ちなみにSさんはハリウッドかぶれである。