北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ボク、ボクサーじゃないけどクリンチで逃げる

2016-10-12 22:58:15 | Weblog

 

 先日、久しぶりに仕事上で"クリンチ"を使いました。別にボクシングをしたわけではありません。あくまでも仕事の上での話です

 クリンチ(clinch)をWikipediaで調べると、「クリンチは格闘技の立ち技状態において、相手の体に抱きついたり体の一部を掴んで相手の動きや攻撃を止める技術」と書かれています。

 それを踏まえて私の思う仕事上のクリンチとは、「決断を迫られているときに、理由をつけて結論を先延ばしにして時間を稼ぎ、打開策を練ること」と私なりに定義しています。

 過去の経験では、仕事上でヒアリングの場に行って説明をしたときに、「この説明では要求を認めるわけにはいきませんね。残念ながらこのままでは不採用ですね」などと言われても、「それでは、ご指摘の不十分な点についてもう一度説明させていただけませんか。次回もう一度ご説明にあがります」と粘って、その場での不合格宣告を避けて時間稼ぎをしたことがありますが、つまりこれがクリンチ。

 また、「これこれこういう事情なので、こういう方向で実施するしかないと思います。ご了承くださいね」などと薮から棒にまくしたてられて、内心(ああ、それももっともだなあ、仕方がないか)と思っても、「ちょっとこちらも調整が必要なので、お話を伺ったばかりでは決めかねます。ちょっと調整のお時間をください」と言って、やはり時間を稼ぐ。

 社会の中でいろいろな調整ごとのど真ん中にいると、とにかく今この瞬間に最終判断を求められることも多いのですが、少しでもまだ調整の余地があればその場で安易に決めずに、時間を稼ぐなかで自分の不利をカバーし、"win-lose"から"draw(引き分け)"、さらには"win-win"まで持ち込むという技術が求められます。

 とかく気が弱くなって相手のことを慮り、かつまた嫌われたくなくて「はい、わかりました、その方がそちらにはいいんですよね」などとやりたくなるものですが、そこでぐっとこらえる。ボクシングで言えば、なんとかラウンド終了まで粘れば1分間の休みが取れて、その間に何か打開策が浮かぶかもしれません。

 苦しくなったときに、いま打ち合って玉砕してもかまわない、というのは早計。しばしば短気を起こして、「わかりました!それならそれで結構です!」などと言って結論を出してしまう人もいますが、冷静になりましょう。

 まだ後ろになにかチャンスがあるかもしれないと思う時は、たとえぶざまであってもクリンチで時間を稼ぐのです。

 相手からは「そんな!もう締切、時間が無いんです」と不平や怒りの声を聞くかもしれません。しかしそこで心が折れてはいけません。「ではいつまでならいただけますか?」とやんわりと、とにかく後ろへ延ばす、延ばす、延ばす。

 相手が怒っていても、怒りはいつかはおさまります。そうしてお互いに少し冷静になったところで、双方にとっての妥協点を探りましょう。

 その間に、相手のもつ余裕の量、こちらの手持ちのカード、相談できる人たち、そして使える時間など、使える資源に限りはありますが、簡単に見切ってあきらめてしまわない事です。

 もちろん、散々粘っても時間には限りがありますし、結局は判定で負けるかもしれません。

 でもいいんです、まずは落ち着いて冷静さを保つこと、そして粘ること。実はこれ、訓練することで必ずできるようになるものです。

 社会人のクリンチ。必ずそういう場面に出くわすと思いますが、そんなときは思い出してみてください。  

 

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