北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

道展を観てきました~今年は創設90周年記念

2015-10-25 23:04:19 | Weblog

 北海道美術協会による道展の展覧会を観てきました。毎年のこの時期は芸術の秋を感じさせてくれる催しです。

 今日は時折あられが降る悪天候の中、午後に会場の市民ギャラリーへ向かいました。

 
 今年は創設から90周年の記念道展ということで、11月には企画展やワークショップなどの関連事業も予定されているようで活動内容も例年より広範になるそうです。芸術に触れる機会が増えるのは良いですね。

 会場に着いたときに丁度、審査をされた道展会員の先生たちによる作品説明ガイドツアーが始まるところで、これはラッキーとその列についてゆきました。

 

 道展は日本画、洋画、水彩、版画、彫刻、工芸の6部門を擁していますが、それぞれのジャンルごとの説明は大変興味深いものでした。

 洋画の具象の先生は、「作品を審査するときはただ作品を観るだけではなく、応募された方の過去の作品も頭に浮かべて、昨年から変化した点や技術の向上などを観ます」という説明。

 また洋画でも抽象画の先生は、「抽象画は具象と異なり、目に見えているものではなく作者の胸のうちを表現するので様々な形がある。理解できるかどうかよりも心がどう動くか感じてみてください」とお話してくれました。

 彫刻では木の作品を引き合いに出して「木の彫刻は、原木から木を削って減らしてゆくマイナスの作業で自分のイメージを作り上げてゆきます。大胆に削るところと繊細に部分を表現する様子などをじっくり観てください」というお話。

 水彩の先生は、「今は新しい絵の具の登場で、かつての水彩画というイメージからはかけ離れた作品が多い。透明を表現できるアクリル絵の具や下地に染み込んで色が決まる時間がかかる下地と絵の具によって『拭き取り』などの新たな技法も使えるようになった。表現の幅の広がった水彩画を楽しんでください」という説明。
 最近の絵の具の進化によって表現の幅が広がっているというのは興味深いですね。

 工芸は、陶芸、金工、染色、塗り、人形、彫金などジャンルの幅が広いのが特徴です。私も学生の頃に金工の同好会を作って作品を作っていたので、とても興味深い分野です。


 今回は、90周年記念大賞として、90周年記念大賞として岩見沢市の佐藤歩惟さんによる工芸作品「spring stove」が大賞を受賞。ほのぼのとした造形に懐かしさと暖かさを感じる作品になっています。
 妻と「本当に薪を燃やしてみたいね」という会話をしながら作品を楽しみました。  


    【90周年記念大賞 ”spring stove”】

 最後に版画のところでは、「複数枚作れるのが版画の良いところですが、最近は最終の絵姿を決めないままに何枚もの版を重ねてゆき、一品しかできない・作らないという作品が増えています。しかしそれもまた版画であって、作者が表現したかったものを感じてください」とのこと。

 様々な芸術表現の形を楽しみながら、自分の中の創作意欲が掻き立てられるような刺激を感じました。

 展示会の中でスタッフの方に「写真を撮影してブログなどで掲載することはかまわないのですか?」と訊いてみると、「紹介だけでしたら結構です」とのこと。いつからか、厳しすぎる肖像権管理が緩くなり、勉強の機会が増えているように思います。こういう自由さは良いですね。


 東京以北では最大の美術公募展の「道展」。道内他都市での巡回展もありますが、入選作・会員の作品全てが観られるのは札幌の市民ギャラリーだけ。

 お近くの方はぜひごらんになって芸術の秋をお楽しみください。

【道展】http://www.doten.jp/index.html  

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