北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

尖閣諸島漁船衝突ビデオ流出

2010-11-05 23:18:21 | Weblog



 インターネットの動画投稿サイトYou tubeに、尖閣諸島の日本領海内で中国漁船が海上保安庁の巡視船にぶつかる映像が流されてニュースになっています。

 映像を見る限り、明らかに中国の漁船側が回避義務を無視して意図的にぶつかってきたように見えるもので、予想通りとはいえこのことに対して様々な意見が述べられて、相変わらず収集が付かない状態が続いています。

・いったい誰がこの映像を流したのか。
・そもそも政府がもっと早くから公開すべきだった。
・内部情報が漏れたことは問題。役人だとしたら徹底的に調べて処分しろ
・これだけ相手が悪いことがはっきりしているのに政府の対応は弱腰だ
・これだけのことをしたのは憂国の士だ。私は弁護する…などなど。

    ※     ※     ※     ※     ※ 

 このことへの意見を求められた市民は、これまた編集を受けた放送では比較的冷静で「もっと早く公開すべきだった」といった意見が多かったようですが、国民のなかにもそろそろ政府の対応にイライラが募ってきているような気がするのは私だけでしょうか。

 かつての武士は、忍従に忍従を重ね、それでも義憤に耐えかねた時は我が身を省みず志を果たす道を選びました。忠臣蔵はテロだ、という意見もありますが、今でもなお人気があるのは、わが身を捨てる覚悟で主君の仇を討ったその行為を美学と感じる感性があるから。

 この感性は時として美しく、時として破壊的です。 

    ※     ※     ※     ※     ※

 イギリスの偉大な政治家の一人であるウィンストン・チャーチルは第二次大戦における「対日世界大戦回顧録」で日本のことをこう述べています。

「日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。しかし、これでは困る。反論する相手をねじ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない」

「それでもう一度無理難題を要求すると、またこれも呑んでくれる。すると議会は、いままで以上の要求をしろという」

「無理を承知で要求してみると、今度は笑みを浮かべていた日本人ががまったく別人の顔になって、『これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことをいうとは、あなたは話のわからない人だ。ここに至っては、刺し違えるしかない』と言って突っかかってくる」

「英国はその後マレー半島沖合いで戦艦プリンスオブウェールズとレパルスを日本軍に撃沈され、シンガポールを失った。日本にこれほどの力があったなら、もっと早く発言して欲しかった。日本人は外交を知らない」


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 この外交感覚のなさと、一方的に譲歩を重ねておいてある臨界点に達した時には義憤として死の美学をいとわなくなる武士的感性は、国家間のはざまで揉まれて狡猾な生き残り戦略を駆使するような歴史を持たずにきた幸運がもたらす逆説的な不幸かもしれません。

 大人でいるということは不条理があるものだ、と達観できるということ。

 はたして日本人は大人でいられるのか。国民の忍耐を求めるとともに、それにしてもわが国のリーダーとしてもう少し国民の不満を上手にさばけないものか、とも残念に思う今日この頃。

 思い悩んだら歴史を振り返って頭を冷やすのが一番です。
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