北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

SNSの行方~グローバル対ローカル

2012-01-22 23:45:21 | Weblog
 「どっとねっと」という北海道に縁のある人たちによる地域SNSが五年目を迎えました。

 かつては自治体などが主体となって、住民同士のコミュニケーションを活発化させるために地域SNSがもて囃された時代がありました。

 幸いなことに「どっとねっと」は一部のボランティア精神に溢れた方達によって運営されていてある程度安定した動きを示していますが、SNS全体では今日往時の勢いはなく、自治体の財政が苦しいこともあって事業仕分けのような形で閉鎖されてゆくところも多いと聞きます。

 「どっとねっと」の現状を大まかに言うと登録者数が400人、そのうち退会した方などを除くと現在の会員数は約280名。そのうち書き込みが多いアクティブ・ユーザーは29名とのことでした。

 ベースが北海道と言うことで、特定の住居地に固まっていることもなく、参加者は北海道全域にわたっており、中には北海道出身で海外に住んでいる方も参加してくれています。

 一方では今日、フェイスブックやツイッター、google+などのグローバルなSNSが登場して、利用者を劇的に伸ばしています。

 こうしたグローバルなSNSの台頭を迎えて、今日地域のローカルなSNSはどうなるのだろうか、というテーマでの座談会が開催されることとなり、私もパネラーの一人として参加した次第です。

 今回は海外や道内遠隔地にいる方三名をgoogle+によるネット参加として、全部で8名での意見交換となり、有意義な意見交換を行うことができました。



   【記念写真をパチリ】


    ※    ※    ※    ※


 
 発言者の皆さんの意見を順不同で総括すると大体こんな感じでしょうか。


【今日あらためて地域SNSはどうとらえられるか】
 
・災害時の情報ツールとして役立つことが東日本大震災で改めて確認されたが、そういう利用を念頭に置くとたくさんの人と繋がっていることにメリットがある。

・そのため、グローバルSNSは確かに有利で、地域SNSの利用者の中にはそちらに流れる人も多いだろう。

・しかし、構成員が地域住民としてかっちりしているところであれば、そこでの地域SNSがなくなるとも思えない。

・グローバルとローカル、両方のSNSの使い勝手やメリットを活かしながら使い分けされて行くのではないか。

・地域SNSが活発になってきた頃は、ネット上での意見交換による議論が熟して行く『熟議』を期待する向きがあった。やって行くなかで、(どうやらそれは幻想なのか)と思ったのだが、ヨーロッパなどでは議論を熟させるために気の遠くなる時間を費やすことを知った。そういう意味で、日本では熟議と言いながら短時間での成果を期待しすぎていたように思われて、改めてそうした価値観が醸成されればやはりやれそうな気もしている。


・仕事などで社会活動が活発な人はグローバルなSNSによる情報のやりとりも多いだろうけれど、外に出る機会が多くはない人にとっては、他者の考えを知ったり意見交換出来る人は限られていても問題がなく、却って相手が多い故のデメリットも感じられるようになる。

・情報を遠くまで発信しようとすると多くの人たちと繋がっている必要があるが、そのためには向こうからの情報も受けなくてはならず、そうしたコミュニケーションをメンテナンスするための苦労(コストとも言える)と、そこから受けるメリットを天秤にかけてみる必要があるだろう。



    ※    ※    ※    ※


【mixi型の会員限定SNSはグローバルに移行してゆくのだろうか?】

・おそらくそうだと思う。数年前は少人数が語り合える場はそれまでに比べて合理的だったが、5、6年というのはITの世界では大変な変化の時間だ。シニアの参入や、携帯やスマホからの常時アクセス、などグローバルSNSは矢継ぎ早に魅力ある機能を付加してくる。

・具体的に言うと、ツイッターの登場でコミュニケーションのペースがものすごく速くなった。一日かけて数個のコメントの時代ではなくなってしまった。

・日本ではネットは匿名での参加が当たり前と思われていたが、匿名性によるデメリットも多く、フェイスブックの登場による実名参加に対して、「ネット覚悟」のような踏ん切りをつけて責任ある発言をしようとする人たちが増えている。

・しかし、確かに広がりは出るものの、地域にいる限りは広がりより深さを求めたい、と思っていて、そこではローカルSNSでも十分。むしろグローバルSNSのサービスはうざったいし、その中にいるのは自分の分を超えてしんどくなりそうだ。
 
・タダで使えるグローバルサービスというものへの言いしれぬ不安もある。タダの陰で何をどう利用されているのかが分からないし、そこで起きる全てのことに責任を持てと言われても、何を了承しているのかもよく分かっていない。

・自分の発言(=自分の過去)が全てネット上に残るということへの不安もある。イギリスでは就職で採用されたのに、ネット上での過去の発言が問題視されて採用を取り消されたという事件があった。過去が消せなくなるのではないか。


【デメリットもあるが、広い北海道においてはやはりコミュニケーションツールとしてインターネットを使わざるを得ないのではないか】


・ローカルSNSでやっていたことをグローバルSNSに移行させたことで、参加者数や書き込みの頻度が格段に上がったり、参加資格を発行する手間が減るなどの効果があった。
 
・しかし管理者としては、自分たちが管理していた時は見ることができた参加状況などの管理画面が、グローバルSNSでは見ることができなくなった。つまり、利用のデーターベースを握られてしまっていて使えないということだ。


・災害時の利用などを考えても、使う者として普段から使い慣れていないとだめ。

・情報をより多くの相手に発信しようと思うと、多くと繋がっている状態をメンテナンスしなくてはならず、そのコストが大きすぎるようならば戦線を縮めることも現実的な選択だ。大漁につながっていることだけが価値を持つわけではないことを改めて自覚したい。

・コミュニケーションの範囲と質はツールに負うところが多いのも事実だが、どこまでどんな情報を、誰と繋がっていたいか、ということをコントロール出来る方がよい。

・ネットの繋がり内だけではなく、本当の人と人との繋がりについて考えた方がよいのではないだろうか。


    ※    ※    ※    ※


 今日の議論は大体このような感じでした。  

 グローバルSNSがいろいろな機能を次々に加えて便利さを増すことで、ちょっと古めかしい地域SNSは淘汰されて行くかも知れません。

 しかししぶとく生き残るローカルネットコミュニティはあるだろうし、同時にグローバルSNSの「タダ」に潜む怪しさ、いかがわしさにも少しはアンテナを張ってのめり込みすぎるな、ということでしょうか。

 私も改めて、ネットに依存することの費用対効果について自問自答する良いきっかけとなりました。

 多様な意見を聞く場としてのリアル会合はやはり意義がありますね。参加された皆さん、ありがとうございました。
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