北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

来運 水の学校(らいうん・みずのがっこう) 斜里町来運地区の元小学校施設を利用した宿泊施設

2023-08-16 23:36:54 | Weblog

 

 今回宿泊したのは、斜里町来運(らいうん)地区にある「来運 水の学校(らいうん・みずのがっこう)」という宿泊施設。

 元々は来運小学校だったものが20年ほど前に閉校になり、その後改修を行って学校施設を拠点にしたライダーズハウスと、校庭は駐車場とテント場、そして教員住宅を別荘的な宿泊施設にしているという面白い施設です。

 校庭の真ん中にはキャンパー用の炊事場と火床があるほか、バイクを雨から守るテントも張ってあります。

 学校の建物を宿泊拠点にしている例は聞いたことがありますが、教員住宅を宿泊施設にしているというのは初めてでした。

 その教員住宅も、間取りや室内の調度などがいかにも"昭和の時代の官舎"という感じで、私などはとても懐かしい雰囲気が満載。

 元校舎の中にはライダー用の寝泊まりできる部屋もあり、いびきをかく人たち専用の部屋もあるのだとか。

 もっとも、あまりにひどい人はテントを選択するようですが(笑)。


     ◆
 
 入り口近くに40代くらいの男性がいたので話しかけてみました。

 どちらから来られたのかと訊くと、「名古屋からです」とのこと。

 しかも、7月中旬にこちらへきて9月一杯こちらの施設の管理のお手伝いをしているのだとか。

「この時期限定のアルバイトですか?」と訊くと「…というよりは、居候が管理のお手伝いをして寝泊まりさせてもらっている、というくらいの感じでしょうか」という答え。

 聞けば、夏に北海道のバイク旅行を何年もする中でライダーからの情報で、こちらが良いと聞きつけ、もう何年もこんなスタイルで夏を過ごしているのだそう。

「なんか、こういう暮らし方が性に合っているんだと思います。7月から9月には名古屋からいなくなるという前提で、10月からはまた元の会社で働かせてもらって、また来年のこの時期もきっとここにいるんだと思います。会社もその点は理解があって、『戻ればまた働きに来て』と言われています」

「普段は管理の手伝いで、皆さんがチェックアウトしたらシーツ類の交換や室内の清掃などをしています。それにここに何年もいると、9月には農家さんから声がかかって収穫のアルバイトをすることになります。農家さんも収穫時期には人手が欲しいのですがなかなか人がいなくて、僕らみたいなのでも毎年やれば慣れて来るし、誰かを連れて行けば紹介料もくれるくらい人手を欲しがっていますね」

「僕なんか、もちろんいい人がいれば結婚も良いですけど多分結婚もしないまま年をとってもいいかな、と思ってます。それに20代には車を始めお金を自分の好きなことにじゃんじゃん使っていた時代があるので、もう今は物欲もほとんどなくなってしまったので、焦ってお金を稼ぐという気持ちももうないんです」

「僕はSNSでの発信ってあまり興味がなくてやっていないんですが、この時期ここにいると、毎年訪れてくれる知人も増えますよね。道内もいろいろ巡りましたが僕はここ斜里が気に入っちゃったので、多分ずっとここに来るんだと思います」

 私が、「急に思い立ってネットを探したら、こんな時期なのにここの宿泊棟が空いていたのですぐに予約を取りましたよ」と言うと、「あ、それはここに4連泊される予定のお客さんがいたんですが、台風のために北海道に来れなくなって急きょキャンセルになった空きですよ。こちらの教員住宅別荘は収入として大きいのでキャンセルが出てがっかりしていたんですが、そうですか、道内の方が来られたんですね」と内幕を話してくれました。

 
 今や必ずしも決まった職場に就職をして縛られながら給料をもらうという生き方ではない選択肢もあって、それを実践している人が実際にいるというのが非常に興味深く思われました。

 バイク旅のライダーたちも別れ際にスタッフと記念写真を撮って出発します。

 夏の旅ってやっぱりいいですね。


     ◆


 さて、この施設のすぐそばには来運公園と来運神社という名所があります。

 ここのなかには名峰斜里岳からの伏流水が湧いている場所があり、そこで名水が汲めるというのが有名な場所です。

 羊蹄山の周囲にも伏流水の湧き水を汲めるところがありますが、斜里岳の水も素晴らしく旨い!

 宿泊施設の入り口にはこの水を使ったカフェが開かれていて、宿泊するライダーやキャンパーの交流の場にもなっています。

 まだまだ北海道にも知らない素晴らしい場所があることを痛切に感じる旅となりました。

 来運 水の学校、面白いです。

コメント
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