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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「コミュニティはインフラのインフラ」 ~ 都市計画学会支部研究発表会にて

2019-11-16 22:21:50 | Weblog

 

 今日は都市計画学会北海道支部の研究発表会がありました。

 わが支部の研究発表は、特別講演と、発表内容を一枚のポスターにするポスターセッション、さらにそれを約10分間で口頭発表する3本立てで行います。

 特別講演はニセコ町の片山町長さんによる「ニセコのSDGsのまちづくり」というご講演。

 これまで地方自治の雄としてニセコ町が取り組んできた様々な実践的まちづくりの事例を紹介してくださいました。

 印象的だったのは、「国の政策に唯々諾々と従っていては駄目だ、ということ」という町長の言葉でした。

「養豚事業だったのですが、国の新しい政策を町に広めようと、多くの農家に事業採択を勧めてようやくやってもらったのですが、今残っている養豚事業者はというと、ゼロです。皆続かなかった。つまり、いくら国が勧めても(この事業は長続きしない)という判断ができるような町職員が必要だ、ということです」

 ニセコ町のその当時の職員研修予算は、町全体で70万円だったそうで、「その金額って、民間企業なら社員一人にかける金額ですよ。その後にその予算は大きく増やしましたし、今では外国も含めて交流人事を積極的に行って非常に優秀な職員が育っています」とのこと。

 地方での実践こそ新しい国の法律に生かすべきと言う考え方は、国にも認められ大きな成果を上げているそうです。

 最近のニセコ地域は、外資が入り込んで乱開発をしているという印象がありますが、ニセコ町に限っては、現在外国人が所有している土地の比率は全町面積の1.3%足らずだそう。

「私たちのまちづくりの考え方に共感してくれる企業であれば一緒にやれますが、そうではないところにはご退却願います。良いまちづくりのために様々な条例による規制をかけていますが、それより上位の法律とバッティングするようなこともあって、常に国とも緊張関係にありますよ(笑)」

 良い地域づくりの優れた事例の数々。もっとお話を伺いたかったです。


       ◆


 さて研究発表会では、道の駅の研究から、公園再整備、子育て、持続的なまちづくりなど幅広い調査報告があって、なかなか興味深い時間でした。

 厳正な審査の結果、下記の皆さんに支部表彰が与えられました。

【支部長賞】「未利用資源の活用による冬の観光まちづくりの促進過程 ー スウェーデン・キルナ市のアイスホテル創造プロセスを事例に」 福山貴史氏

【一般部門 優秀賞】「海外における日本の『道の駅』もでるによる地域開発の可能性について」 松田泰明氏

【一般部門 学生奨励賞】「札幌市の都市公園における通常再整備と機能分担に対する地域住民意識の比較」 黄貝嘉さん

【テーマ部門 優秀賞】「流雪溝を舞台としたまちづくりの挑戦」 西大志氏

【特別賞】「趣味縁によると真空管の暫定利用について」 加藤康子さん


 なかでも印象的だったのは、西大志さんの「流雪溝を舞台とした…」という報告でした。

 西さんは商店を経営しながら町議でもあり、まちなかの高齢化と人口減少を憂いてきました。

 特に苫前町の中心市街地では川から引いた水で道路の雪を流す"流雪溝"を20年前に整備して、道路の雪の処理を便利にしました。

 ところがそれから20年が経過し、地域の住民が高齢化して流雪溝が使える指定の時間に雪を捨てる作業が困難に。

 また町から離れて沿道には空き家が増え除雪を担う人の数も少なくなり、次第に時間を守らないようなモラルハザードにもなったりして、いよいよ問題意識が強くなったとのこと。

 そこで西さんは、「流雪溝を考える会」をつくり、参加者を広く募りアンケート調査を行ったりフォーラムを開催したりして、関心と参加の町民を増やしてゆきました。

 必ずしもその結果、万全の解決策が得られたわけではありませんが、確実に地域の関心を呼ぶことができたことが成果に向けた途上にあると言います。

 西さんの発言で印象に残った言葉は、「コミュニティは、インフラのインフラだと思う」というもの。

 インフラは地域のコミュニティが健全に守り育ててこそインフラとして存在ができる。逆に言えば、地域のコミュニティが脆弱になれば、インフラとして機能させることはできないのだ、ということです。

 苫前には良い釣りポイントも多いということなので、いずれ一度お伺いをして、まちの方たちとお会いしたいものです。

 研究発表会に参加してくださった皆様に感謝申し上げます。ご苦労様でした。 

 

 

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