駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇花組『BE SHINING!!』

2023年12月15日 | 観劇記/タイトルは行
 昭和女子大人見記念講堂、2023年11月29日11時半、12月1日13時。
 神戸国際会館こくさいホール、12月12日11時半。

 卓越したダンスと美しくも妖しい色気で魅了する花組トップスター柚香光の多彩な魅力を詰め込んだ、コンサート形式のショー作品。作・演出/藤井大介、全2幕。サブタイトルは「華麗なる時」。

 研2で『Le ParadiS!!』で妖精フィーという通し役に抜擢されたときも、「劇団って、花組ってホントこーいうスターが好きだよねえぇ…!」と思ったものでしたが、そこから順調に驀進してきて昨今きってのショースターとなり、卒業前のコンサートを主演する…ホント美しい構図です。大介先生はそんなれいちゃんとずっと併走してきた部分もあり、愛とリスペクトに実にあふれた、サヨナラショー豪華版に仕上げてきていて、とてもよかったです。作家がやりたいことが先行しちゃっている作品ではなく、スターと組子とファンのために作られていました。それが何よりよかったです。
 過去の映像含めてスクリーンに映る映像(映像/桜葉銀次郎)もうるさくなくてちゃんと効果的で、劇場の左右の壁面に映る模様も綺麗でよかったです。ショーメドレーでちゃんと組子を小分けに出してソロを歌わせたりする工夫もあり、本当に親切で見やすく全方位に楽しかったと思います。公演グッズとしてペンラやマフラータオルが売られましたが、活用は自由で、みんなでやらなきゃならないナゾの振りコーナーがなかったのもよかったですしね。あとは客席降りが都合四回もあり、れいちゃんのトップ時代にほぼできなかった鬱憤を晴らす勢いで、1階席ならどこも本当に楽しかったと思います。私は上手ばかりでサブセン前方、サブセン後方、タケノコ席2列目と座って通路からは2ないし3席目ばかりでしたが、いずれも近くに来た組子が微笑む手を振る指を指すハートマーク投げると大サービスで、やはりとてもとても楽しかったです。
 マイ楽で、2列くらい後ろに立ったみこたんが見たくて振り返ったら、彼女の後ろに、2階席3階席のペンラが綺麗に振られて揺れているのが見えて、感動しました。あれは組子たちも見ていてとても嬉しかったろうなあ…!
 選曲含めて、本当にとてもよくできていたと思いました。

 とっぱしは階段上に高速で上がるセリがあるのか、そこからさらにジャンプしての「フィー(生)」の登場で、「振付/R.Y.」、つまりれいちゃんの初の振付による『ルパラ』のひと差し。のびのびと自由自在に動き踊る肢体が美しい…! あわちゃんがフィーの妹ヴィーに扮して鐘を鳴らすと時計は午前零時、そして1時へ。以後1時間ごとの全24場となるのでした。
 まずは主題歌でプロローグ。組子が出てきて、まどかが出てきて、ほのかが出てきて、らいとが出てきてくれてもうキャー!となりました。長い休演だったけどおかえり、おかえり! 元気そうで嬉しいよ! コンサートのときでしかできない長髪にしていて、長身をガンガン生かしてキビキビ踊って、見ていてホント気持ち良くて楽しい! やはり男役群舞に好きで見る人がいないと寂しいのよ、そしてこの3番手扱いが嬉しいのよ…!! ここで最初の客席折り。
 れいちゃんがひとり残ってご挨拶のあとは、初舞台の「アムール、それは…」を歌い、踊るあわちゃんが絡みます。あわちゃんもしっかり娘役2番手格で嬉しいです。
 そこからは花組の作品をたどって、れいちゃんにピンクの掛けを着せた糸ちゃんがそのまま「恋の曼荼羅」を歌い、ショートから長いポニーテールの鬘に変えたまどかが紫の掛けを着て出てきて、れいちゃんとしっとり踊ります。中はプロローグのピンクのラメミニワンピなのに、ちゃんと和装になるマジックよ…! 映像の桜吹雪もとても綺麗。ここの歌手には本当は朝葉ことのちゃんもいたのですが、残念ながら休演でした。
 続く「紅」は何で使われたんだっけ…峰果くん愛乃くん龍希くんがバリバリ歌い、まどかが薙刀持って踊り、娘役ちゃんたちが忍びの女としてまどかを取り囲み…ここの鬘がまたみんな良くて、全員の舞台写真ください!となりました。
 次はれいちゃんがDVDか何かで歌った曲? 「READY STEADY GO」をスタンドマイクでスタイリッシュに。マスタードイエローというか金茶というか、なお洒落なスーツがまた似合うよねえ…! でもここもバリバリ踊るらいとガン見。
 そこへ黒と銀の渋いスーツでマフィアっぽくキメたほのかちゃんが現れてマイク前を交替、「勝手にしやがれ」。ジュリーーー!! 赤い薔薇を一輪ずつ持って踊るクールレディたちがまた全員いい。次の場面のためにラスト前で先に引っ込むみこたんがまたたまらん。
 そしてなんと『エリザ』ターンですよ、まどかの組替えのときにさもやるんでしょ?と噂され結局なかったエリザですよ…! ここのお衣装がまた超よかった!!(衣装/加藤真実)そしてれいちゃんがまた意外と(オイ)歌えているんだ…! 途中、何故かプログラムに記載がないのですが歌手としてまいらくんとみこたんが黒いお衣装で出てきて歌い、ふたりがデュエダンする流れになるのもたまりませんでした。からの「最後のダンス」もカーッコいーい! 振付は違っていたのがやや残念でしたが、黒天使ふうのダンサーたちに囲まれて悶えるまどかもまたたまらん! 神戸ではれいちゃんのラストが「♪こーの、おぉれー、だーーーーッハッハッハッハァ!」みたいな哄笑になっていて、それもゾクゾクしました。
 続いて『はいからさんが通る』をらいと、天城くん、鏡くんに詩希すみれちゃん、みこたん、初音夢ちゃんのヤングカップル三組で(ここの背景に出た原作漫画イラストもポップで素晴らしく、愛がありました…!)。
 さらに「ノクターン」へ。幻の女・稀奈ゆいちゃんを踊らせ、ともに踊る「フィー(白)」のバレエの素晴らしさたるや…! 圧巻でした。
 ほのかが出てきて「ポーの一族」を歌い、ああ新公主演したもんね、と思っているとれいちゃんがアランふうに出てきて「願わくは」を訥々と歌い、ほのかちゃんは今度はエドガーというよりは『青薔薇』のときの精霊のように踊って、これもまた美しいコラボ…!
 そして最下で出ていたというらいとと「紫に匂う花」(なんて名誉なことからいと…! てか今回のタイトルはきみのためのものでもあるな、大きく育てよー)。まいこつと『メラジゴ』の「完璧な計画」。そして代役の詩希ちゃんとあわちゃんとの三角関係「エル・アモール」。からのリストと女たち! ファンサをねだる娘役ちゃんたちの小芝居が楽しく、いつも糸ちゃんにどつかれて転ぶみこたんが激ラブリーでした。
 まどかと階段で「うたかたの恋」、そしてれいまどプレお披露目となった『トプハ』で裏打ち手拍子と客席降りの狂乱の中で、幕。40分ほどだというのもあるけれど、ホント楽しすぎて秒でした…!

 二幕はみんな大好き「チェンジ・ボックス」ターンから。まあこれもエイジズムやルッキズムの問題があるネタなのでそろそろ賞味期限切れだろう、というのはありますが(れいちゃんが卒業したら、『EXCITER!!』再演ももうないかもね、まとぶん時代を知る組子ももうだいぶ少ないしね…というツイートも見かけたものでした)、まどか版エキサイターが聞けるのはそりゃ嬉しいわけですよ! ちゃんと歌詞に「星風」と入るエキサイター! MSのときのお衣装でマドンナとして登場するまどか! ボンボン息子はほのか、女社長は峰果くん。掃除婦からのエキサイトシンガーは凛乃姐さん、糸ちゃん、みくりん。でもボックスから出てきたれいちゃんにはサングラスをかけていてもらいたかった、と思うのは私だけ…? てか中に靴履いているんだろうけどここのゴム長靴が超デカくてアトムみたいだったよね…(笑)
 そこからはショーメドレーでアガるアガる! タイトル連呼の元気が出る主題歌は作っておくものですな! 『CONGA!!』『Mr.Swing!』、凛乃さんと糸ちゃんが歌い娘役が踊る『宝塚幻想曲』、海叶くん青騎くん鏡くんがバリバリ歌い踊る『Sante!!』、まどかとゆゆあわゆいにここのみこたんって代役だったんですね、の『BEAUTIFUL GARDEN』、まいこつ峰果くん愛乃くんがねっとり歌う『シャルム!』、100期4人の『The Fascination!』、そして全員で『ENCHANTMENT』、からの『Cool Beast!!』で客席降り! 盛り上がらないはずがない
!!
 そのあとは日替わりコーナーで、ふたりないし3人のメンバーがれいちゃんとしたいことをしてトーク。
 たいてい大爆笑で終わるんだけれど、さすがまどかがすっと出て「愛をこめて花束を」を歌い、娘役陣が加わって、とても清らかな場になり…と思ったら「フィー(謎)」による「プレイバック Part2」! ミニスカートに片脚ニーハイブーツ片脚ハイヒール、網タイツのれいちゃん、キャー! 鬘は赤黒金と3種あったそうですが、私は生では金髪が見られなかった…無念。
 まどかを除く娘役ちゃんで「Dreamgirls」、これもまたとりどりの鬘がキュートで愛らしい!
 そしてミュージカルメドレー場面として、れいまどの『ロミジュリ』の「エメ」からのまさかの『ミス・サイゴン』の「世界が終わる夜のように」、そしてみこたんが歌ってふたりが踊る映画『タイタニック』と、涙なくしてみられない名シーンが…! ここのれいちゃんもホント歌えていて、少女から大人になるのを歌声で魅せるまどかが素晴らしくて、スモークの中のリフトがテクニカルかつ美しくて…!! 号泣でした。
 がらりと空気変わってほのかセンターで男役たちのポップな「ミックスナッツ」、まどかのソロから全員が加わっての「僕のこと」と踊る「フィー(夢)」で幕。
 アンコールはトップ時代の映像を挟んで、コンサートTシャツ姿で。下級生から順にひとりずつメンバー紹介もあり、それぞれとりどりにれいちゃんに絡んで、カワイイことこの上ない! ラインナップではたいていみこたんがらいとや天城くんとイチャイチャしていて私得! 幸せのうちに幕は降りるのでした…


 こくさいホール、初めて行きましたが、とても綺麗で立派なホールでしたね。新しめなのかな? 新神戸駅や三宮は、初めてではないけれど普段は全然行かないところなので、なかなかドキドキして遠征しました。
 今年はこれが遠征納め、宝塚歌劇納めになりました。年明けはやはり花組大劇場公演初日で遠征始め、宝塚歌劇始めだったんですよねー、一年って早いです。今年はホントいろいろあったな、という年になってしまい、のちのち語り継がれることになるのかもしれませんが…今はまだ上手く総括できません。
 というか幕間にネットのニュースで知ったんですが、ダイスケ先生が12月1日付けで劇団理事を退任していたって、マジですか…劇団内、お稽古場のリフレッシュコーナーで飲酒、生徒にもお酒を勧めていたとか。ダメだ、ダメすぎる…
 ダイスケってお酒好きだよね、アル中なんじゃない? …なんてのはギャグな噂話だからいいんであって、本当なら立派な依存症であり疾患であり、適切な治療とケアを受けるべきものです。きちんと治しましょう。
 9時5時の職場なら勤務時間外に親睦として…というのもなくないんでしょうが(たとえば弊社なんかはこの点かなりゆるゆるです。とはいえやはり私が入社した平成初期と今とではそうした空気も全然違うし、何より呑まない社員が増えてきているので、かなりのレアケースでしょう。私ですら、わざわざ職場でなんか呑みたかないよたとえタダ酒でも、と思います)、宝塚歌劇団は学校に殉じているんだし、お稽古場も舞台も神聖な場所で、まして全然9時5時なんかではない稽古や公演が行われている過酷な職場なんだから、勤務時間外も何もないのです。ダメ、絶対。ちゃんと治癒して、綺麗な身体になって演出家として帰ってきてください。実際、いなくなられたらショーが回らないし、ちゃんと生徒に愛のある作品を作れることはファンならみんな知っています。待っていますから、ちゃんとして。でも仕事だけが人生じゃないから、健康第一だから。依存とは手を切って、それで戻ってきてください。
 どうやら少し前にやはり文春報道があったそうで、それが契機なら劇団の自浄作用には期待しがたいところがまた悲しいのですが…ホント、お願いだからちゃんとしてください。頼みますよ…

 公演スケジュールの見直し、ということで、次の大劇場公演の初日が1日後ろ倒しされました。私はもろもろ手配済みだったので、キャンセルやらなんやらタイヘンでした…でも、手間暇や手数料でなんとかなるならまだいいです。星組含めて、トップスターの復帰公演とかトップコンビの退団公演とか、華やかなお正月公演とか、いろいろな要素があって、みんな楽しみに支度してきていた年末にこの発表は…友会でSS席まで売った直後にこれは…そりゃ当てた人は嘆くよ、いろいろ準備していた人たちも嘆くよ、会だって悲鳴でしょうよ…心が折れます、離れます。今度こそもうやーめた、ってなる人が大量に出てきても全然不思議ではありません。
 もちろん過密スケジュールが軽減されることは大歓迎なのです。私は週8回公演、2週に3回の休演日、公演期間60日への提言をずっとしてきましたからね。そしてもちろん改革はできるなら早いに越したことはない、でもなら何故中止が見えている公演のチケットを売った…となるでしょうそりゃ。おっさんたちは招待券でしか観劇しないのかもしれませんが、ファンがどんなにチケット取りにあくせくしているか、全然わかっていないのでは…? そしてひとこもれいちゃんも咲ちゃんも、みんな観客に会えて嬉しいってあんなに笑顔で言ってくれていたのに、再会がまた先になり、残念に、心苦しく思うだろうし、なんなら再開時にご挨拶で謝ってくれちゃうんでしょう…運営の不手際は演者のせいではまったくないのに。もうもう、残念すぎます…
 ちゃんとこの阿鼻叫喚と怨嗟の声が劇団に届いて、反省につながりますように。次の手はもっと上手く打てますように。そして生徒とスタッフとファンがみんな、なるべくハッピーでいられますように…来年も、私は見守り続け見届けていく所存です。


 



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