駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

新国立劇場バレエ団『アラジン』

2024年06月18日 | 観劇記/タイトルあ行
 新国立劇場オペラパレス、2024年6月14日19時(初日)。

 商人たちが行き交うにぎやかな市場にアラジン(この日は福岡雄大)が現れる。何かと騒ぎを起こす彼は宮殿の警備隊に捕まってしまうが、その様子を見ていた魔術師のマグリブ人(中家正博)が魔法でアラジンを助け出し、自分の仕事を手伝わないかと誘う。財宝に目がくらんだアラジンは了承するが…
 振付/デヴィッド・ピントレー、音楽/カール・デイヴィス、装置/ディック・バード、衣裳/スー・ブレイン、照明/マーク・ジョナサン。指揮者/ポール・マーフィー、管弦楽/東京フィルハーモニー交響楽団。
 プリンセス/小野絢子、アラジンの母/中田実里、サルタン/中野駿野、ランプの精ジーン/渡邉駿郁、アラジンの友人/木下嘉人、原健太。2008年初演、5度目の上演。全3幕。

 デイヴィスがスコティッシュ・バレエのために書き下ろしたバレエ音楽『アラジン』を用いて、ビントレーが新国立劇場バレエ団と創作した新作…というようなものだそうです。『アラビアンナイト』などを参考にしたということですが、アラジンがプリンセスと出会って恋に落ちて結婚して離れ離れになって再会して…というストーリーには目新しいものはなく、単純です。ただ、音楽がいい。振付もいい。セットもいい。砂漠の洞窟の財宝、その宝石たちのディヴェルティスマンがゴージャスで飽きさせず楽しいし、何度かある主役カップルのパ・ド・ドゥは華やかでチャーミング。なんちゃって中東…どころかタイや中国のイメージまであるのは、ホント西欧人の考えるエキゾチックって…とほとんどあきれるところですが、お衣装も素敵でなんせ目に楽しい。ジーンはバリバリ踊るし、ミュージカルばりの演出もデーハーで楽しい。3階最前列センターブロックやや下手寄りのお席から、十分堪能しました。
 宝石たちではパ・ド・トロワのエメラルド(原田舞子、益田裕子、中島瑞生)や男女カップルのルビー(木村優里、井澤駿)、たおやかなサファイア(池田理沙子)なんかが素敵でした。
 そしてアラジンとプリンセス(プリンセス・バドル・アルブダル…「満月の中の満月」という名だそうな)の踊りが、どれも本当に素敵でした。福岡小野コンビというのは新国立のエースだし、私も何度か観ていると思いますが、今回はことに息ぴったりで、何度もあるダイブからのリフトがまったく危なげがなく流れるようで、実に美しく鮮やかで軽快で、ハッピーなラブのオーラにあふれていました。こうでなくっちゃね!
 3時間近くたっぷりあるので、18時開演でもよかったかもね…とは思いましたが、客入りもよく、お子さんでも楽しめそうで、良き演目だと思いました。団の財産として育っていくといいですね。
 ついついド古典のバレエ・ブランばかり観がちな私でも、楽しかったです!








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