宝塚大劇場、2024年11月21日13時、12月7日11時、12日18時(新公)。
東京宝塚劇場、2025年2月4日18時、26日18時。
19世紀後半、アメリカ。鉄道駅に多数の店舗を構えるレストラン「カーヴィー・ハウス」が西海岸に初進出。その支店に無法者たちが押し入ってくる。騒ぎを止めるべく呼ばれた保安官のライマン(風間柚乃)は、何故かひとりのウェイターに銃を突きつける。その男こそ彼らの目的である、列車強盗団「ワイルドバンチ」の生き残り、ジェシー・サンダー(鳳月杏)だった…
作・演出/大野拓史、作曲・編曲/玉麻尚一、高橋恵。月組新トップコンビお披露目のミュージカル・クエスト。
最近の私にしては回数を観ているのですが、すごく気に入ってリピートした、とかいうことは別になく、単に事前に頼んでおいた分を断れずすべて観るしかなかった…みたいな感じです。マイ初日雑感も書いていないくらいですからね、好きも嫌いもなくて単になんか引っかかりませんでした…
ショーは景気がいい感じがして、ハイになっているうちに終わるのでまあ楽しかったんですけれど、芝居は…別にトンチキだとは思わないけれど(右手の展望台から頭の展望台までのジャンプだって、まあ別にいいっちゃいいのでは、と思いました。ちゃんと観える席が限られるのが残念ですが、シルエットの映写で表現ってのも目新しかった気がしましたしね)、やりたいことを詰め込みすぎていてとっちらかっていて散漫でしょ、とは感じたし、何より主人公ジェシーの魅力が私には皆目わからなかったので、お話にノレないまま終わってしまった…というのが大きいかな、と思います。
イヤちなっちゃんはカッコいいですよ、3メートルあるあんよも見事だし、お披露目にしてすでに盤石なトップスターっぷりも素晴らしいですよ。でもそれと脚本・演出が主人公を素敵に描けているかってのは別問題だからさ…
まず、殺人だけは絶対にしない列車強盗団の生き残り、って設定がどーなんだよ、という、ね…団は、時代が変わって強盗がしづらくなって解散したの? ひとりずつ射殺されたり逮捕されたりして自然消滅? それともいろいろしんどくなったジェシーが足抜けしたの? 説明、ありました…? まあそこは重要ではないのかもしれないけれど、とにかく今は何もしていなくてただ無為にウェイターなんぞをやっている…というだけのことなのかもしれないけれど、それは何故? なんか気が抜けちゃった、みたいなこと? じゃ、強盗をやめたくてやめたんじゃないってこと? 何か違うことをやりたくてやめたんじゃなかったってこと…? わからないので共感しづらいのです…
殺人はしない、というポリシーをいいことのように描いている気がしましたが、でもそれでやっていることは強盗なんだから、やっぱり立派な犯罪ですよね? 多少は義賊っぽい存在だったのだとしても、たとえ多少汚い、怪しいお金ばかり盗んでいたんだとしても、被害者を出してしまう犯罪ですよね。しかも殺人はしないんだとしても銃撃戦には毎度なったんだろうし、厳密には殺してないなんて言えないのでは? 少なくとも相手に怪我をさせてますよね?
ダークヒーローとかアンチヒーローでもいいんだけど、だったらバリバリの、ちゃんとした?強盗って設定でもよかったのでは?とも思わなくもないです。だって殺さなきゃ殺される、奪わなきゃ生きていけない、そんな過酷な時代だったんじゃないの? なら仕方なくない? それでも「仕方ない」とは思えなくて、悩みながら、傷つきながら生き抜いて、今は時代が変わって普通に働けば生きていけるようになったけれど、罪悪感からか心理的には世捨て人のようになっている…みたいなことなら、まだ理解できたかもしれません。
別にこのとおりじゃなくてもいいんだけど、とにかくなんか今のジェシーの様子には私は納得しづらくて、そういう過去を持ったっぽい、そして現状こうなジェシーという人に、残念ながら私は魅力を感じられなかったんですよね…
で、ライマンに協力を頼まれて応じるのには理由があるんだと思いますが、別に明示されなくてもいいけど多少の説明は要りません? 過去の罪状を公にされたくなかったら、とか、その罪で逮捕され収監されたくなかったら…といった脅迫があったんだと思うんだけど、違うのかな? 未だに賞金首なの? でも、ジェシーの罪ってそれだけのものなのかよくわからず、なんで強盗にホイホイつきあってんの?って気がしちゃったんですよね。もちろん、ディーン(礼華はる)やリッキー(彩海せら)たちのような、無法者に憧れているだけのただの今どきの若者で単なる牧場育ちのヤンキー青年で銃の腕も怪しいような奴らにやらせていたら、無駄な人死にが出そうと懸念して手を貸すことにしたのかもしれませんが、このヤングたちの描写も曖昧なのでホントにしょーもないワルなのか、単に口だけイキってる若者なのか、私は当初判別できませんでした。なのでますます展開についていけず…
そのあとも、ジェシーはサーカスの女性たちにモテたりしていて、そりゃ美形だし優しいし気が回るし物腰も丁寧だし、そこらのガサツでマッチョで脳筋な男たちとは違う…のはわかるけど、それだけじゃやはり主役のチャームとしては弱かないですかねえぇ?
アナレア(天紫珠李)はいいんですよ、キャラもドラマもストーリーもしっかりできているし、あまし氏にすっごく似合ういいお役だと思いました。親切にしてもらって、ジェシーに感謝してちょいっとキスして、でも巻き込めないから黙って去る…というのもわかる。でも恋愛はこれからですよね? まあ、人生の目標が持てないでいたジェシーが、アナレアの隣にいたい、ってだけで動いて、ツワナキ島までやってきたので、ふたりで寄り添ってチューしてハッピーエンドでここからはまた別のお話…ってのもまあ、いいっちゃいいんですけど、ね…うぅーむ。
ドラマがありそうなのはむしろライマンで、彼を主役に据えてもお話は作れそうでしたけどね。悪代官に弱みを握られて悪事に荷担せざるをえない悪徳保安官実はいい人…ってのは、十分主役の要素でしょう。おだちんがよかっただけに、全体としては妙に噛み合っていない感じが私はしたのでした。
るねっことうーちゃんをその悪代官コンビに起用するのはいい布陣だなと思いましたが、一方でこれからバリバリ使っていかなきゃいけない路線のぱるあみはいつまでもニコイチにしていてもいいことないし、いつまでもこんな若造役を振っている場合じゃないと思うんですよ…みちるも明らかに役不足に感じましたし、そこにみかことおはねというまた無駄遣いが…新聞記者役のりりちゃんは大事にされているんだなあ、という印象で、お話のいいスパイスになっていましたが、メインのドラマにはあまり関係していませんでしたしね。むしろアイダ(花妃舞音)がいいお役で、まのんたんファンとしてはありがたかったです! サーカス団の末っ子、おしゃまな少女(『エリザベート』のシシィの「パパみたいに」のときのドレスを着ていて、「♪弟たちとはサーカスごっこができる」を思い起こさずにはいられません…!)、主役ふたりを案じてその恋心をそっと押す役回り…
ヤスの二役は、私は最初同じ人かと思ってしまいました。移動サーカス団の団長だから「亭主元気で留守がいい」なのかとばかり…てらくんがちょいと目立つお役で、その妹のれいあちゃんも。あとは最強の妃純凜さまね…
他はちょっと見どころ、しどころがなかったのではないかしらん…
まあ、でっかい汽車が豪勢で出せてよかったね、ということなのかもしれません。ハワイアンだかポリネシアンだかよくわからないけれど、ダンスも祝祭チックでおめでたい感が出てよかったし…みたいな。お披露目公演なので肩の凝らないハッピーエンドの作品を、というコンセプトに関しては、まったくもって賛成です。ラストシーンのぱやぱやした音楽がことに好き(笑)。古き良きMGMミュージカル感が楽しかったしね。独立とか自治とか選挙とか専制国家から民主国家へ…みたいな、現代社会批評にもなりそうなメッセージ性は、やや中途半端に感じましたけれどね…
大劇場新公は観られたので、以下簡単に感想を。新公の担当は橋本詩織先生。大きな改変はなかった…かな?
ジェシーはきどくん、七城雅くん。二度目の新公主演ですね。前回の『応天~』ではその少年性が生きただけだった気もしなくもなかったですが、その後どんどん垢抜けてきて、今やなかなか目を惹く男役さんになってきた気がしています。スカステニュースのインタビューでも語っていましたが、三白眼っぽいせいなのか芸の持ち味が暗くて、私はそこが魅力的だと思うんですけど、本人はちなっちゃんみたいなからりとしていてあっけらかんとしたジェシーをやりたくて悩んでいるようでしたね。ただ立っているだけでも何か含みがあるように見えてしまう…という特性は、でも武器にもなると思うんですよねえ。私は新公ジェシーは自身の過去を深く悔いていて引きずっている感じがして、こちらの方が共感しやすく、観やすく感じました。歌も手堅い。ここからさらに場数かな、と思います。ホントはショーのアイドル場面なんかはもうここをセンターでやらせなきゃ駄目なんだと思うんですよ…
アナレアは初ヒロインのみゅーずちゃん、美渦せいかちゃん。手堅かったけれど、ややそれだけに感じてしまい、何故この抜擢?という感じはしたかな…新ヒロイン爆誕!みたいな輝きには欠けていたと思うので。だったら二連続になっちゃうけど本役も替わるんだし、乃々れいあちゃんにやらせた方がよかったのでは…と思いました。ニンっぽいし。パール(彩みちる)はカマトトに見えました…
ライマンはまひろん、真弘蓮くん。いつでも上手く渋い、いつまで新公にいるんだ…でもこれも上手すぎ渋すぎるとお話の軸がどこにあるのかさらにナゾになっちゃうお役な気がして、バランスって難しいものだなー…など感じました。
悪役のケイン将軍(英かおと)とモートン(夢奈瑠音)はわか、一輝翔琉くんとオディセ、、雅耀くん。わかはいつ上手くなるんだ…と私はずーっと言っているんですけど、『ロマ劇』新公抜擢のあとがホント続かないですよね…オディセは美貌が光って、悪役スーツ眼鏡っぷりがとてもよかったと思いました。
みかことおはねのところがみうみんとのりんちゃん、ああもったいない…てかまのんちゃんもジェシー・スミス(桃歌雪)じゃなくてモンタナ(白雪さち花)やフレンチー(妃純凜)みたいなところをやらせてみた方がおもしろかったろうし勉強になったのではないかしらん? いやいちごちゃんもゆららちゃんも手堅かったんですけどね。
ディーン以下無法者6人衆には次代の若手男役スターたちが配されていたようでしたが、ピンとこず…ヤス団長のところのしゅりんぷはさすがにしっかりしていたかな。軽業師たちには次代の若手娘役が…以下同文。
エリザベス(白河りり)は静音ほたるちゃん、好き! 休演も心配していましたがわりとすぐ戻ってきてくれて嬉しかった…手堅かったかと思います。ソーマ(大楠てら)の月乃だい亜くんも儲け役でしたよね。
公演としては全体に手堅かったけれど、すごくよかった新公かと言われると…うぅーん、な印象ではありました。東京も無事に上演できたので、そちらでより成長が見られたのならよかったなと思います。まあまあ好評に感じたので…
Takarazuka Spectacularは作・演出/野口幸作。
上海は孔雀が出てくるけどインドも韓国も特に鳥モチーフではなく、鳳凰縛り…ではなかった気もしますが、まあ月や羽根扇は出ていたし、とにかく景気が良くてわっさわっさと進む楽しいショーだったので、それで十分です。ゴンドラも最高にデカかったしね!(笑)
エイトフェニックスは美颯りひとくんガン見でした。えくぼが可愛いってのもあるけど、表情の作り方が好みなんですよねー、いい色気を発していました。顔ばっか見てて脚やお尻はそれほど見ませんでした(笑)。
プロローグのチャイナパートで俺たちのまのんたんが七城くんとカップルで降りてきていて胸アツ…てか銀橋に出たのに仰天して、マイ初日は立ち上がりかけましたよ…(出禁になります)今まで3列目の一番端とかでずっと誰かに被っていたというのに…!
というわけで真ん中は、全員がハケてちなじゅりが残ってやっと観られました(笑)。みんなのお着替えタイムを捻出するためのこういうトップコンビ居残りタイム、嫌いじゃないです。ロケットはここに早々に入りましたね。
続いてオダチンカーン場面、何がフェニックスなのかはさっぱりわかりませんが、おださんの早変わりが本当に素晴らしいのでもう十分です。二番手スターさんなんだし、もっとカッコいい場面をもらってもいい気もしなくもないですが、こういうおもろいのもできちゃうからしょうがないよね…!
続く上海場面は、なんかオサアサミドリとかでこういう場面やってそう…など思いました。あまし氏がミドリっぽく感じられるのかも。イヤ素晴らしいですよねこの仕上がり、このトゥーランドット雄孔雀のゴージャスさ…! ちなぱるの絡みには私はあんまり萌えなかったので、あまし氏とバードのふたりばっかり観ていました。
そしてタイ場面、俺たちの(しつこい)まのんたんがあみちゃんとカップルでセンターに…! また感涙。てかちょっと前までまだむにむにしていたのに、あっという間にシュッと痩せちゃって、もうそこまででいいからねー、と念じながら観ていました。指先や腕の使い方が美しくてうっとり…そこから中詰め、客席下り。そしてまた、今度はトップトリオで銀橋残り、景気が良くてとても良き。
しっとり韓国場面、ぱるりりのセンターにるねっことおはね、うーちゃんとみかこ。なのに続くアイドル場面にすぐまたばるが出てくるランボーさよ…てかさっきも言いましたがこういう場面はもうぱるあみじゃなくていいと思うのよ、るおりあや七城くんやわかでいいんだと思うのよ…使っていこう?
次の、ちなつが歌ってあまし氏がバリバリ踊る場面、大好きです。アムネリスのケープですよね…! 総踊りではさすがに最後列ほぼ一番奥だったまのんたん、いつもニコニコで常にキビキビ踊っていてとても良きでした。
退団のぐっさん、つーさん餞別場面もとても良き。
続いてみちるセンターのヨジャドル場面、娘役にもフツーのドレスじゃなくてアイドル衣装を作ってくださいよ…! でもまのんたんと静音ほたるちゃんが並んで観られたので私的にはウハウハでした。
そしてフィナーレですね。男役群舞の歌は西城秀樹、似合っていました。そしてデュエダンのあまし氏のドレスが本当に好みでした! デコルテのVカット、フレンチスリーブ、スリットの入り方、赤の色味…!! 還暦に着たいドレスです!!!(冒涜)パレードの真っ白ふわふわのあまし氏もよかったなー、今年のブクマはここの写真がいいです! ラインナップのまのんたんは下手花道端っこ。でももうどこにいても見つけられるスキルがありますから私…!
主題歌も覚えやすくて元気が出ていい感じでしたが、飛翔の場面で歌われる第二主題歌みたいなのもノリが良くて良きでしたね。お衣装もどれもよかったなあ(衣装/加藤真美)。ストレスなく突っ走れる、これでもかと押し寄せるんだけど体感の短いショーで、楽しかったです。
次は『ガイドル』ね、役がないんだよねー…アデレイドはみちるとあみちゃんの役替わりが発表されて、これはまあいいのではないかと思います。新公、まのんたんでどうかしらん? サラはれいあちゃんでいい気もするけど、キツく見えちゃうかなー…のりんちゃんとかにチャレンジさせてくれてもいいんですよ!?とも思うけど、さてどうかな…
確か新演出になるはずですが、是非ともくしゃみの意味をよく考えて、この古臭い話を現代日本で上演して笑えるように、上手く工夫していただきたいものです。それだけはお願いしたい…!
その前の全ツ『業平』は、純粋に楽しみにしています…! 初演、続演も観ていますがあまり記憶がないんですけれどね。あとハッピーエンドではなく悲恋で、引き裂かれて終わるので、まあ『あかねさす~』とかもそうなんだけれど、ちょっと中途半端感があるというかスッキリしないで終わる感じがあったので、そこがどうかなー…こちらもブラッシュアップに期待しています!
何はともあれ新生月組、良き船出で何よりです!
東京宝塚劇場、2025年2月4日18時、26日18時。
19世紀後半、アメリカ。鉄道駅に多数の店舗を構えるレストラン「カーヴィー・ハウス」が西海岸に初進出。その支店に無法者たちが押し入ってくる。騒ぎを止めるべく呼ばれた保安官のライマン(風間柚乃)は、何故かひとりのウェイターに銃を突きつける。その男こそ彼らの目的である、列車強盗団「ワイルドバンチ」の生き残り、ジェシー・サンダー(鳳月杏)だった…
作・演出/大野拓史、作曲・編曲/玉麻尚一、高橋恵。月組新トップコンビお披露目のミュージカル・クエスト。
最近の私にしては回数を観ているのですが、すごく気に入ってリピートした、とかいうことは別になく、単に事前に頼んでおいた分を断れずすべて観るしかなかった…みたいな感じです。マイ初日雑感も書いていないくらいですからね、好きも嫌いもなくて単になんか引っかかりませんでした…
ショーは景気がいい感じがして、ハイになっているうちに終わるのでまあ楽しかったんですけれど、芝居は…別にトンチキだとは思わないけれど(右手の展望台から頭の展望台までのジャンプだって、まあ別にいいっちゃいいのでは、と思いました。ちゃんと観える席が限られるのが残念ですが、シルエットの映写で表現ってのも目新しかった気がしましたしね)、やりたいことを詰め込みすぎていてとっちらかっていて散漫でしょ、とは感じたし、何より主人公ジェシーの魅力が私には皆目わからなかったので、お話にノレないまま終わってしまった…というのが大きいかな、と思います。
イヤちなっちゃんはカッコいいですよ、3メートルあるあんよも見事だし、お披露目にしてすでに盤石なトップスターっぷりも素晴らしいですよ。でもそれと脚本・演出が主人公を素敵に描けているかってのは別問題だからさ…
まず、殺人だけは絶対にしない列車強盗団の生き残り、って設定がどーなんだよ、という、ね…団は、時代が変わって強盗がしづらくなって解散したの? ひとりずつ射殺されたり逮捕されたりして自然消滅? それともいろいろしんどくなったジェシーが足抜けしたの? 説明、ありました…? まあそこは重要ではないのかもしれないけれど、とにかく今は何もしていなくてただ無為にウェイターなんぞをやっている…というだけのことなのかもしれないけれど、それは何故? なんか気が抜けちゃった、みたいなこと? じゃ、強盗をやめたくてやめたんじゃないってこと? 何か違うことをやりたくてやめたんじゃなかったってこと…? わからないので共感しづらいのです…
殺人はしない、というポリシーをいいことのように描いている気がしましたが、でもそれでやっていることは強盗なんだから、やっぱり立派な犯罪ですよね? 多少は義賊っぽい存在だったのだとしても、たとえ多少汚い、怪しいお金ばかり盗んでいたんだとしても、被害者を出してしまう犯罪ですよね。しかも殺人はしないんだとしても銃撃戦には毎度なったんだろうし、厳密には殺してないなんて言えないのでは? 少なくとも相手に怪我をさせてますよね?
ダークヒーローとかアンチヒーローでもいいんだけど、だったらバリバリの、ちゃんとした?強盗って設定でもよかったのでは?とも思わなくもないです。だって殺さなきゃ殺される、奪わなきゃ生きていけない、そんな過酷な時代だったんじゃないの? なら仕方なくない? それでも「仕方ない」とは思えなくて、悩みながら、傷つきながら生き抜いて、今は時代が変わって普通に働けば生きていけるようになったけれど、罪悪感からか心理的には世捨て人のようになっている…みたいなことなら、まだ理解できたかもしれません。
別にこのとおりじゃなくてもいいんだけど、とにかくなんか今のジェシーの様子には私は納得しづらくて、そういう過去を持ったっぽい、そして現状こうなジェシーという人に、残念ながら私は魅力を感じられなかったんですよね…
で、ライマンに協力を頼まれて応じるのには理由があるんだと思いますが、別に明示されなくてもいいけど多少の説明は要りません? 過去の罪状を公にされたくなかったら、とか、その罪で逮捕され収監されたくなかったら…といった脅迫があったんだと思うんだけど、違うのかな? 未だに賞金首なの? でも、ジェシーの罪ってそれだけのものなのかよくわからず、なんで強盗にホイホイつきあってんの?って気がしちゃったんですよね。もちろん、ディーン(礼華はる)やリッキー(彩海せら)たちのような、無法者に憧れているだけのただの今どきの若者で単なる牧場育ちのヤンキー青年で銃の腕も怪しいような奴らにやらせていたら、無駄な人死にが出そうと懸念して手を貸すことにしたのかもしれませんが、このヤングたちの描写も曖昧なのでホントにしょーもないワルなのか、単に口だけイキってる若者なのか、私は当初判別できませんでした。なのでますます展開についていけず…
そのあとも、ジェシーはサーカスの女性たちにモテたりしていて、そりゃ美形だし優しいし気が回るし物腰も丁寧だし、そこらのガサツでマッチョで脳筋な男たちとは違う…のはわかるけど、それだけじゃやはり主役のチャームとしては弱かないですかねえぇ?
アナレア(天紫珠李)はいいんですよ、キャラもドラマもストーリーもしっかりできているし、あまし氏にすっごく似合ういいお役だと思いました。親切にしてもらって、ジェシーに感謝してちょいっとキスして、でも巻き込めないから黙って去る…というのもわかる。でも恋愛はこれからですよね? まあ、人生の目標が持てないでいたジェシーが、アナレアの隣にいたい、ってだけで動いて、ツワナキ島までやってきたので、ふたりで寄り添ってチューしてハッピーエンドでここからはまた別のお話…ってのもまあ、いいっちゃいいんですけど、ね…うぅーむ。
ドラマがありそうなのはむしろライマンで、彼を主役に据えてもお話は作れそうでしたけどね。悪代官に弱みを握られて悪事に荷担せざるをえない悪徳保安官実はいい人…ってのは、十分主役の要素でしょう。おだちんがよかっただけに、全体としては妙に噛み合っていない感じが私はしたのでした。
るねっことうーちゃんをその悪代官コンビに起用するのはいい布陣だなと思いましたが、一方でこれからバリバリ使っていかなきゃいけない路線のぱるあみはいつまでもニコイチにしていてもいいことないし、いつまでもこんな若造役を振っている場合じゃないと思うんですよ…みちるも明らかに役不足に感じましたし、そこにみかことおはねというまた無駄遣いが…新聞記者役のりりちゃんは大事にされているんだなあ、という印象で、お話のいいスパイスになっていましたが、メインのドラマにはあまり関係していませんでしたしね。むしろアイダ(花妃舞音)がいいお役で、まのんたんファンとしてはありがたかったです! サーカス団の末っ子、おしゃまな少女(『エリザベート』のシシィの「パパみたいに」のときのドレスを着ていて、「♪弟たちとはサーカスごっこができる」を思い起こさずにはいられません…!)、主役ふたりを案じてその恋心をそっと押す役回り…
ヤスの二役は、私は最初同じ人かと思ってしまいました。移動サーカス団の団長だから「亭主元気で留守がいい」なのかとばかり…てらくんがちょいと目立つお役で、その妹のれいあちゃんも。あとは最強の妃純凜さまね…
他はちょっと見どころ、しどころがなかったのではないかしらん…
まあ、でっかい汽車が豪勢で出せてよかったね、ということなのかもしれません。ハワイアンだかポリネシアンだかよくわからないけれど、ダンスも祝祭チックでおめでたい感が出てよかったし…みたいな。お披露目公演なので肩の凝らないハッピーエンドの作品を、というコンセプトに関しては、まったくもって賛成です。ラストシーンのぱやぱやした音楽がことに好き(笑)。古き良きMGMミュージカル感が楽しかったしね。独立とか自治とか選挙とか専制国家から民主国家へ…みたいな、現代社会批評にもなりそうなメッセージ性は、やや中途半端に感じましたけれどね…
大劇場新公は観られたので、以下簡単に感想を。新公の担当は橋本詩織先生。大きな改変はなかった…かな?
ジェシーはきどくん、七城雅くん。二度目の新公主演ですね。前回の『応天~』ではその少年性が生きただけだった気もしなくもなかったですが、その後どんどん垢抜けてきて、今やなかなか目を惹く男役さんになってきた気がしています。スカステニュースのインタビューでも語っていましたが、三白眼っぽいせいなのか芸の持ち味が暗くて、私はそこが魅力的だと思うんですけど、本人はちなっちゃんみたいなからりとしていてあっけらかんとしたジェシーをやりたくて悩んでいるようでしたね。ただ立っているだけでも何か含みがあるように見えてしまう…という特性は、でも武器にもなると思うんですよねえ。私は新公ジェシーは自身の過去を深く悔いていて引きずっている感じがして、こちらの方が共感しやすく、観やすく感じました。歌も手堅い。ここからさらに場数かな、と思います。ホントはショーのアイドル場面なんかはもうここをセンターでやらせなきゃ駄目なんだと思うんですよ…
アナレアは初ヒロインのみゅーずちゃん、美渦せいかちゃん。手堅かったけれど、ややそれだけに感じてしまい、何故この抜擢?という感じはしたかな…新ヒロイン爆誕!みたいな輝きには欠けていたと思うので。だったら二連続になっちゃうけど本役も替わるんだし、乃々れいあちゃんにやらせた方がよかったのでは…と思いました。ニンっぽいし。パール(彩みちる)はカマトトに見えました…
ライマンはまひろん、真弘蓮くん。いつでも上手く渋い、いつまで新公にいるんだ…でもこれも上手すぎ渋すぎるとお話の軸がどこにあるのかさらにナゾになっちゃうお役な気がして、バランスって難しいものだなー…など感じました。
悪役のケイン将軍(英かおと)とモートン(夢奈瑠音)はわか、一輝翔琉くんとオディセ、、雅耀くん。わかはいつ上手くなるんだ…と私はずーっと言っているんですけど、『ロマ劇』新公抜擢のあとがホント続かないですよね…オディセは美貌が光って、悪役スーツ眼鏡っぷりがとてもよかったと思いました。
みかことおはねのところがみうみんとのりんちゃん、ああもったいない…てかまのんちゃんもジェシー・スミス(桃歌雪)じゃなくてモンタナ(白雪さち花)やフレンチー(妃純凜)みたいなところをやらせてみた方がおもしろかったろうし勉強になったのではないかしらん? いやいちごちゃんもゆららちゃんも手堅かったんですけどね。
ディーン以下無法者6人衆には次代の若手男役スターたちが配されていたようでしたが、ピンとこず…ヤス団長のところのしゅりんぷはさすがにしっかりしていたかな。軽業師たちには次代の若手娘役が…以下同文。
エリザベス(白河りり)は静音ほたるちゃん、好き! 休演も心配していましたがわりとすぐ戻ってきてくれて嬉しかった…手堅かったかと思います。ソーマ(大楠てら)の月乃だい亜くんも儲け役でしたよね。
公演としては全体に手堅かったけれど、すごくよかった新公かと言われると…うぅーん、な印象ではありました。東京も無事に上演できたので、そちらでより成長が見られたのならよかったなと思います。まあまあ好評に感じたので…
Takarazuka Spectacularは作・演出/野口幸作。
上海は孔雀が出てくるけどインドも韓国も特に鳥モチーフではなく、鳳凰縛り…ではなかった気もしますが、まあ月や羽根扇は出ていたし、とにかく景気が良くてわっさわっさと進む楽しいショーだったので、それで十分です。ゴンドラも最高にデカかったしね!(笑)
エイトフェニックスは美颯りひとくんガン見でした。えくぼが可愛いってのもあるけど、表情の作り方が好みなんですよねー、いい色気を発していました。顔ばっか見てて脚やお尻はそれほど見ませんでした(笑)。
プロローグのチャイナパートで俺たちのまのんたんが七城くんとカップルで降りてきていて胸アツ…てか銀橋に出たのに仰天して、マイ初日は立ち上がりかけましたよ…(出禁になります)今まで3列目の一番端とかでずっと誰かに被っていたというのに…!
というわけで真ん中は、全員がハケてちなじゅりが残ってやっと観られました(笑)。みんなのお着替えタイムを捻出するためのこういうトップコンビ居残りタイム、嫌いじゃないです。ロケットはここに早々に入りましたね。
続いてオダチンカーン場面、何がフェニックスなのかはさっぱりわかりませんが、おださんの早変わりが本当に素晴らしいのでもう十分です。二番手スターさんなんだし、もっとカッコいい場面をもらってもいい気もしなくもないですが、こういうおもろいのもできちゃうからしょうがないよね…!
続く上海場面は、なんかオサアサミドリとかでこういう場面やってそう…など思いました。あまし氏がミドリっぽく感じられるのかも。イヤ素晴らしいですよねこの仕上がり、このトゥーランドット雄孔雀のゴージャスさ…! ちなぱるの絡みには私はあんまり萌えなかったので、あまし氏とバードのふたりばっかり観ていました。
そしてタイ場面、俺たちの(しつこい)まのんたんがあみちゃんとカップルでセンターに…! また感涙。てかちょっと前までまだむにむにしていたのに、あっという間にシュッと痩せちゃって、もうそこまででいいからねー、と念じながら観ていました。指先や腕の使い方が美しくてうっとり…そこから中詰め、客席下り。そしてまた、今度はトップトリオで銀橋残り、景気が良くてとても良き。
しっとり韓国場面、ぱるりりのセンターにるねっことおはね、うーちゃんとみかこ。なのに続くアイドル場面にすぐまたばるが出てくるランボーさよ…てかさっきも言いましたがこういう場面はもうぱるあみじゃなくていいと思うのよ、るおりあや七城くんやわかでいいんだと思うのよ…使っていこう?
次の、ちなつが歌ってあまし氏がバリバリ踊る場面、大好きです。アムネリスのケープですよね…! 総踊りではさすがに最後列ほぼ一番奥だったまのんたん、いつもニコニコで常にキビキビ踊っていてとても良きでした。
退団のぐっさん、つーさん餞別場面もとても良き。
続いてみちるセンターのヨジャドル場面、娘役にもフツーのドレスじゃなくてアイドル衣装を作ってくださいよ…! でもまのんたんと静音ほたるちゃんが並んで観られたので私的にはウハウハでした。
そしてフィナーレですね。男役群舞の歌は西城秀樹、似合っていました。そしてデュエダンのあまし氏のドレスが本当に好みでした! デコルテのVカット、フレンチスリーブ、スリットの入り方、赤の色味…!! 還暦に着たいドレスです!!!(冒涜)パレードの真っ白ふわふわのあまし氏もよかったなー、今年のブクマはここの写真がいいです! ラインナップのまのんたんは下手花道端っこ。でももうどこにいても見つけられるスキルがありますから私…!
主題歌も覚えやすくて元気が出ていい感じでしたが、飛翔の場面で歌われる第二主題歌みたいなのもノリが良くて良きでしたね。お衣装もどれもよかったなあ(衣装/加藤真美)。ストレスなく突っ走れる、これでもかと押し寄せるんだけど体感の短いショーで、楽しかったです。
次は『ガイドル』ね、役がないんだよねー…アデレイドはみちるとあみちゃんの役替わりが発表されて、これはまあいいのではないかと思います。新公、まのんたんでどうかしらん? サラはれいあちゃんでいい気もするけど、キツく見えちゃうかなー…のりんちゃんとかにチャレンジさせてくれてもいいんですよ!?とも思うけど、さてどうかな…
確か新演出になるはずですが、是非ともくしゃみの意味をよく考えて、この古臭い話を現代日本で上演して笑えるように、上手く工夫していただきたいものです。それだけはお願いしたい…!
その前の全ツ『業平』は、純粋に楽しみにしています…! 初演、続演も観ていますがあまり記憶がないんですけれどね。あとハッピーエンドではなく悲恋で、引き裂かれて終わるので、まあ『あかねさす~』とかもそうなんだけれど、ちょっと中途半端感があるというかスッキリしないで終わる感じがあったので、そこがどうかなー…こちらもブラッシュアップに期待しています!
何はともあれ新生月組、良き船出で何よりです!
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