博多座、2025年3月11日12時。
20世紀なかば、ヨーロッパのとある国。上流階級の人々の間で人気のあるクロースアップ・マジシャンのシャンドール(永久輝せあ)は、あるとき客のひとりである貴族の女性が愛犬の行方がわからないと嘆くのを聞き、その居場所を見つけ出すかのようなマジックを披露する。やがて彼の言葉どおりその犬が発見されたことから、シャンドールは透視術を持ったマジシャンとして世間で評判になっていき…
作・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/高橋城。2007年月組初演。
初演の感想はこちら。大空さんがたいした役をやらせてもらえていないこともあって、私の評価は決して高くありません…なんてったって役が少なすぎて、大劇場向きじゃなかったよなあぁ、という印象。ただおださん始め(笑)ジェンヌにファンが多いのは、このシャンドールあさこの飄々とした感じがお洒落に思えて憧れなんだろう、とも思います。ヴェロニカ(星空美咲)が皇太子妃の侍女でボディガード、というキャラクターなのも、宝塚歌劇のヒロインらしからぬ感じで人気なのかもしれません。
ただ、真相としては結局、皇太子ボルディジャール(聖乃あすか)が進歩的で理想家肌で国家の民主化を進めるべきだという考え方の持ち主で、それだと既得権益が損なわれると感じた悪徳軍人と政治家が皇太子を牽制すべく、彼の同志でもあった皇太子妃マレーク(美羽愛)を交通事故に見せかけて暗殺し、しかし埋葬されたマレークは息を吹き返して墓守夫妻(高翔みず希、凜城きら)に保護され、しかし記憶を失っていて…ということなんですけど、なんかこの国大丈夫なのかな、とか考えちゃうんですよね(笑)。皇太子は四年もの間ずっと妻の死の真相を知りたいとジタバタしていたようですが、事故として特別不審な点はなかったようだし、どこかで諦めて前を見て国政に乗り出す時期では…?とか思っちゃうのです。妻が夢枕に立ったので…とか、そこに透視ができる超能力マジシャンの評判を聞いて…とか、なんか、なんか…では? つまりぶっちゃけご都合主義っぽいというか、うーん…せめて二年後の話なら…? まあそういう問題でもないか。
何より、チーム・シャンドールがほぼ機能していないことが作劇として私は嫌なんですよね。初演でもエリちゃんがいれば大空さんなんか要らないじゃん、と思ったものでしたが、今回も、びっくやはなこはともかく、だいや、れいん、ことのちゃんともしどころがなさすぎで悲しすぎました。これから役を深めてナンバーの中でより個性を出して…とかはしていけるのかもしれないけれど、別にヤノーシュ(侑輝大弥)が演技してみせたりレオー(天城れいん)が試作してみせたりすることが事件の解決に役立つとか、ストーリー展開に関係するとか、ないじゃん。じゃあ彼らの俳優だの詩人だのって設定は無意味じゃん。こういうのが嫌なんですよ私は…
再演決定を聞いて、あさこじゃなくても「なんで?」ってなりましたよね…そのせいだけではないんでしょうが、客入りも良くないんでしょうし。『ベルばら』とか持ってこないと博多座一月なんて埋まらないでしょ今どき、とか思ってしまったのですよ…今さら脚本に大きく手を入れることもしないんだろうしさあ、とね。まあでも観ないと何も語れないので観てきた、というわけです。で、やっぱりおもしろいのかコレ?と思いました、すみません。
ただ、ひとこにはあさこのいい感じのチャラさとかがなくて、うっかり超能力者扱いされてほぼ詐欺師になりつつあることにとまどいも感じている様子がよく表れていて、そんな折に依頼されちゃった皇太子妃の件についてもホントはなるべくなんとかしたいんだけど…みたいな真面目さが窺えて、これはこれでいいシャンドールだなと思いました。また、スーツや燕尾をとっかえひっかえで現れてほぼ出ずっぱりで、美しいスタイルが堪能できたのも良きでした。
星空ちゃんは、ちょっと前はむしろこういうお役しかできなかったよね、という感じのキャラですよね。こちらもドレスをとっかえひっかえ、目に楽しかったです。ただ、カタコンベで意外な弱さを見せたり、皇太子妃を守って死んだ妹のことがあったりというのはわかるんだけど、やっぱりラストはトートツに感じたかな、と…一緒に旅をするとか、告白とかまではわからなくもないんだけど、キスまでするのかー、とかちょっと思っちゃったんですよね。着せたコートごと引き寄せて、というキス自体は素敵だったんですけど、彼らの恋が本当に始まるのはこの先の旅路で、では?とかも思ってしまったもので…うぅーん、もっといい席で何度か観たら、恋心が動く繊細な芝居が見えたのかもしれませんが、すみません。
あとは、ほのかちゃんには早くもっといい当たり役が来るといいよねー、とか、あわちゃん可愛いよねー、とかしかない…あ、さおたさんとりんきらがさすがなのはさすがでした。
酒場の歌手は湖春ひめ花ちゃんでした。
レヴュー・グロリアは作・演出/稲葉太地。
本公演版の感想はこちら。
主にカチャとあかちゃんが抜けているわけですが(あとらいと)、そつなく埋めている印象でした。さおたさん、りんきらがちゃんと場面をもらっていて良き、ほのかセンター場面も増えていて良きでした。客席下りも大盤振る舞いでしたしね。
ひとこほのかに続く三番手ポジションを、ゆりちゃんががっつり締めていたのもとても良きでした。路線幹部、推せる…!
戴冠式ラストの星空ちゃんの高音がものすごかったです。エトワールは湖華詩ちゃん。
ちょいちょい詩希すみれちゃんを観ていたら終わりました…
博多で美味しいものをたくさん食べて、元気に公演していただきたいです。完走をお祈りしています。
20世紀なかば、ヨーロッパのとある国。上流階級の人々の間で人気のあるクロースアップ・マジシャンのシャンドール(永久輝せあ)は、あるとき客のひとりである貴族の女性が愛犬の行方がわからないと嘆くのを聞き、その居場所を見つけ出すかのようなマジックを披露する。やがて彼の言葉どおりその犬が発見されたことから、シャンドールは透視術を持ったマジシャンとして世間で評判になっていき…
作・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/高橋城。2007年月組初演。
初演の感想はこちら。大空さんがたいした役をやらせてもらえていないこともあって、私の評価は決して高くありません…なんてったって役が少なすぎて、大劇場向きじゃなかったよなあぁ、という印象。ただおださん始め(笑)ジェンヌにファンが多いのは、このシャンドールあさこの飄々とした感じがお洒落に思えて憧れなんだろう、とも思います。ヴェロニカ(星空美咲)が皇太子妃の侍女でボディガード、というキャラクターなのも、宝塚歌劇のヒロインらしからぬ感じで人気なのかもしれません。
ただ、真相としては結局、皇太子ボルディジャール(聖乃あすか)が進歩的で理想家肌で国家の民主化を進めるべきだという考え方の持ち主で、それだと既得権益が損なわれると感じた悪徳軍人と政治家が皇太子を牽制すべく、彼の同志でもあった皇太子妃マレーク(美羽愛)を交通事故に見せかけて暗殺し、しかし埋葬されたマレークは息を吹き返して墓守夫妻(高翔みず希、凜城きら)に保護され、しかし記憶を失っていて…ということなんですけど、なんかこの国大丈夫なのかな、とか考えちゃうんですよね(笑)。皇太子は四年もの間ずっと妻の死の真相を知りたいとジタバタしていたようですが、事故として特別不審な点はなかったようだし、どこかで諦めて前を見て国政に乗り出す時期では…?とか思っちゃうのです。妻が夢枕に立ったので…とか、そこに透視ができる超能力マジシャンの評判を聞いて…とか、なんか、なんか…では? つまりぶっちゃけご都合主義っぽいというか、うーん…せめて二年後の話なら…? まあそういう問題でもないか。
何より、チーム・シャンドールがほぼ機能していないことが作劇として私は嫌なんですよね。初演でもエリちゃんがいれば大空さんなんか要らないじゃん、と思ったものでしたが、今回も、びっくやはなこはともかく、だいや、れいん、ことのちゃんともしどころがなさすぎで悲しすぎました。これから役を深めてナンバーの中でより個性を出して…とかはしていけるのかもしれないけれど、別にヤノーシュ(侑輝大弥)が演技してみせたりレオー(天城れいん)が試作してみせたりすることが事件の解決に役立つとか、ストーリー展開に関係するとか、ないじゃん。じゃあ彼らの俳優だの詩人だのって設定は無意味じゃん。こういうのが嫌なんですよ私は…
再演決定を聞いて、あさこじゃなくても「なんで?」ってなりましたよね…そのせいだけではないんでしょうが、客入りも良くないんでしょうし。『ベルばら』とか持ってこないと博多座一月なんて埋まらないでしょ今どき、とか思ってしまったのですよ…今さら脚本に大きく手を入れることもしないんだろうしさあ、とね。まあでも観ないと何も語れないので観てきた、というわけです。で、やっぱりおもしろいのかコレ?と思いました、すみません。
ただ、ひとこにはあさこのいい感じのチャラさとかがなくて、うっかり超能力者扱いされてほぼ詐欺師になりつつあることにとまどいも感じている様子がよく表れていて、そんな折に依頼されちゃった皇太子妃の件についてもホントはなるべくなんとかしたいんだけど…みたいな真面目さが窺えて、これはこれでいいシャンドールだなと思いました。また、スーツや燕尾をとっかえひっかえで現れてほぼ出ずっぱりで、美しいスタイルが堪能できたのも良きでした。
星空ちゃんは、ちょっと前はむしろこういうお役しかできなかったよね、という感じのキャラですよね。こちらもドレスをとっかえひっかえ、目に楽しかったです。ただ、カタコンベで意外な弱さを見せたり、皇太子妃を守って死んだ妹のことがあったりというのはわかるんだけど、やっぱりラストはトートツに感じたかな、と…一緒に旅をするとか、告白とかまではわからなくもないんだけど、キスまでするのかー、とかちょっと思っちゃったんですよね。着せたコートごと引き寄せて、というキス自体は素敵だったんですけど、彼らの恋が本当に始まるのはこの先の旅路で、では?とかも思ってしまったもので…うぅーん、もっといい席で何度か観たら、恋心が動く繊細な芝居が見えたのかもしれませんが、すみません。
あとは、ほのかちゃんには早くもっといい当たり役が来るといいよねー、とか、あわちゃん可愛いよねー、とかしかない…あ、さおたさんとりんきらがさすがなのはさすがでした。
酒場の歌手は湖春ひめ花ちゃんでした。
レヴュー・グロリアは作・演出/稲葉太地。
本公演版の感想はこちら。
主にカチャとあかちゃんが抜けているわけですが(あとらいと)、そつなく埋めている印象でした。さおたさん、りんきらがちゃんと場面をもらっていて良き、ほのかセンター場面も増えていて良きでした。客席下りも大盤振る舞いでしたしね。
ひとこほのかに続く三番手ポジションを、ゆりちゃんががっつり締めていたのもとても良きでした。路線幹部、推せる…!
戴冠式ラストの星空ちゃんの高音がものすごかったです。エトワールは湖華詩ちゃん。
ちょいちょい詩希すみれちゃんを観ていたら終わりました…
博多で美味しいものをたくさん食べて、元気に公演していただきたいです。完走をお祈りしています。
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