駒子の備忘録

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『エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』

2021年04月26日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアターオーブ、2021年4月17日12時(初日)、19時12時。

 前回の20周年ガラコンの記事はこちら、その前のガラコンの記事はこちら
 梅田公演は仕事で行けませんでしたが、東京ではまずは初日のアニヴァーサリーバージョンから観られました。
 トートがマリコ、ズンコ、サエちゃん、オサ、ミズ。シシィがアヤカ、ミドリ、蘭ちゃん、ちゃぴ、みりおん。フランツがノル、タカコ、ガイチ、ユミコ、きりやんにみっちゃん。ルドルフはブンちゃん、大空さん、ユミコ。子ルドはグンちゃん、トウコとトップスター格だけでも大判振る舞い。ルキーニは1幕トシちゃん、2幕きりやん。ゾフィーは1幕がせーこ、2幕はタキさん。リヒテンシュタインは1幕るいるい、2幕くみちゃん。マックスはまりんさんのあと越リュウ、マダム・ヴォルフはえりちゃんでした。
 大空さんなんて「ママ鏡」だけだったから実働5分では!?って感じでしたが、まあお祭りだからいいのです。
 みりおんがあいかわらず上手くて「パパみたいに」を可愛く演じ、結婚式ではそれまでの白いドレスに肩ショールだけ加えて上手くドレスアップ感を出してきて感心しましたし、翌朝場面からのちゃぴの「私だけに」は本当に力強くて、すごーく上手くなっていて大感動。逆に蘭ちゃんは裏声に逃げていて、私はあまり感心ませんでした。大空さん相手のシシィはミドリで、なかなか新鮮な組み合わせ。ルドルフの葬儀からはアヤカで、さすがに歌がつらかったかな…まあOG公演以外ほぼ芸能活動をしていないので仕方ないんでしょうけど、もうちょっと仕上げてきてほしかったです。でもラストの昇天が再演星組コンビのマリコアヤカだったのには胸アツでした。ここは従来のコンビが揃えば必ずそうすることにしているのかしらん…思えばこの再演の成功が、その後の各組続演に決定的につながっていったんだと思います。役者が違っても作品が良ければ大丈夫、こんなに歌えないトートでも大丈夫なときは大丈夫(オイ)という確信につながったからだと思います。
 ズンコのハスキーな「愛と死の輪舞」には独特の色気が香り、オサの「最後のダンス」がわりと端正で感心し、サエちゃんの「ミルク」は熱く、ミズの「私が踊る時」はねっとりしていて良き、でした。
 ユミコフランツの「嵐も怖くない」のあたたかさや、タカコフランツのホントに役に立たなさそうな感じとか、ノルフランツのすぐさま扉を開けたくなる感じとかもよかったなあ。そしてトウコが今あえてやる子ルドがまた絶品でした。本当に技であり芸ですよよねえ。新公でしかやっていないはずのトシちゃんルキーニも、さすが達者で立派なものでした。るいるいはずいぶん老けてたな…
 カテコにはイケコとなーこたんもご登壇。初演メンバーをねぎらったり、二役やったユミコやきりやんをねぎらったり、あまたの上級生を息子にしたみっちゃんをねぎらったりと、コメントもアットホームでとてもほっこりしました。
 そういえば冒頭にイチロさんとハナちゃんからのビデオメッセージが流れましたが、あれはアニヴァ版だけのスペシャルだったのかな?
 そしてプログラムの各コメントが本当に読み応えがあって、当時の代役稽古の話とかも多く、未だに新発見があるのが印象的でした。

 2度目は09年月組バージョン。アサコトートにきりやんフランツ、トシちゃんルキーニ、大空ルドルフ、タキさんゾフィー。シシィはミドリ。
 プロローグ、黒天使かよ!とトートがズラリと並ぶアニヴァ版もいいですが、やはりただひとりの黄泉の帝王のために出演者みんなが跪くのは圧巻ですよね。さらにそこに降りてくるのがオレ様アサコ様ですからね、ゾクゾクしました。
 ていうかその前に、あっきーガン見だったポジションに立つ大空さんを見て心臓が跳ね上がりましたよね…アニヴァ版のプロローグのルドルフはブンちゃんだったので。いやぁ時空を越えるよねぇ…私は大空さんの本公演ルドルフは1、2回しか観ていないので、宙組あきルドのときには「ああ、大空さんの場所にあっきーが…!」とは感じなかったんですよ。おもしろいものだなあ…
 出番の短いルドルフはともかくフランツもシシィもそれなりに着替えるのに、アサコトートが着た切り雀で通す潔さもさすがでした。もちろんルキーニも着替えないんだけどさ。
 そうそう、アサコの歌って、男役歌唱ってこうだった!という懐かしさにも震えましたが、「最後のダンス」のノリノリの踊りがホントさすがすぎました。惚れ直してしまうやろー! それからするともしかして花と月の芝居の差なのか、ミドリのシシィはだいぶおとなしいというか芝居っ気がなくて、私はちょっともの足りなかったかな…歌もフツー。でも鏡の間のドレスはよかった。カテコもこれで出てきましたね、さすがです。てかレマン湖から昇天の早替わり、すごすぎなかった!?
 大空さんは入魂でしたよ、カテコ前半もちょっと引っ張られた顔してましたもん。「ママ鏡」でシシィの手が離れたときのショック顔といったら…! トートとのキスがなく暗転になってしまうのが、ガラコン仕様とはいえ残念でしたね。私はガラコンでは大空さんは「ママ鏡」しか観たことがなかったので、やっと「闇広」が観られたのにも感動しました。アサコの歌声と美しく響いて声部が上になり下になり…そして明らかにトートとルドルフで、本当に素晴らしかったです。ハンガリー動乱もとてもよかった。
 花組ではオサアサミドリ時代というものが確かにあって、そのときのミドリシシィの相手はオサトートでアサコはルキーニだったんだけれど、今回はアサコトートとミドリシシィで昇天…というときの、ミドリのなんとも言えない表情がたまりませんでした。ここはどの版でも中の人が出てきても許される場面だと思うんですよね。観客もファンしかいないんだし、お互い感無量なことでしょう…
 「キッチュ」ではノリノリで手拍子したり金管振ったりしてくれたオケですが、その間を、オケに会釈しながらにこやかに降りてくるカテコのアサコはもうトートなんかでは全然なくて、ただの悪戯好きのやんちゃアサコでした。ラインナップに居並ぶメンバーを見て思わず「まるで『パリの空の下』が始まっちゃいそうな…」と笑うのがもうこちらも大爆笑すぎましたし、そこからきりやんに「エッフェルさん、出世して…」と振ったり大空さんに「ねっ、ジョルジュ!」と振ったり、大空さんも「ちょっとやっていい? ♪ボンボンボボン」と返すし、アサコは「じゃ、次は『パリ空』ガラコンで! 15分くらいで終わっちゃうかもしれないけど! みんな、歌はすぐ覚えられるから! 配信もやりますから!」とノリノリになるし、ホントおもろすぎました。アサコは他の舞台のお稽古もあってかなり断続的なお稽古参加だったようで、大空さんが「昨日『闇広』合わせたら、振りを全然覚えてなくて…」と暴露すると「そんな…15歳で出会ってもう3…じゅう…年の仲なのに…いや、もうやめとこう」とへどもどするしでこれまた大爆笑でした。全公演参加のアンサンブルメンバーが細かく立ち位置など教えてくれたそうで、お稽古全回に参加した彼女たちにも拍手を、とアサコが客席を促すくだりもありました。これも胸アツでしたね。「ついでに大鳥さん」と雑にミドリに振るのもよかったです(笑)。仲の良さが窺えますよね。
 下手したらただのOGカラオケ同窓会になりそうなところを、みんな芸を深めていて磨き上げていて、新たな境地を見せてくれて、かつ現役時代にはありえなかった組み合わせでさらなる化学反応を見せてくれる…すごいガラコン、すごいイベントに育ちましたね。そもそも『エリザベート』自体が、本当に大きなタイトルになりました。ガラコンが成立するのは楽曲の良さもあるし、ここまで多彩なスターとファンがいろいろな物語を築いてきたことが共有され継承されているからでもあると思いますが、なかなかに奇跡的なことだと思います。生徒はOGになっても、男役でなくなっても、芸を深めていてそれを発揮する場所が与えられる、というのも素敵なことですし、新公や代役でしかやっていない役でもチャレンジで参加できるとなるとさらに幅が広がって、本当におもしろいパフォーマンス・イベントになってきたなと痛感しました。たまのお祭りだからいい、というのももちろんありますが、30周年も今から楽しみです。

 本当は、30日12時の16年宙組バージョンも観劇予定でした。そこであきルドとやっと再会できるはずでした。
 3度目の緊急事態宣言の発出で、それは幻となりました。本当につらいです、悲しいです。愚鈍で無能な政府には怒りしかありません。チケットを売ってしまった、公演が始まってしまった舞台は、感染対策を徹底した上で上演続行してしまう…という英断があってもよかったのではないか、とも思います。でも、生徒や出演者、スタッフなどすべての関係者の生命と健康、安全が一番、というのももちろんわかります。致し方ない決断だとは思っています。無念ではありますが…
 なので引き続き、できることをやっていこうと思います。うがい手洗い引きこもりの感染対策と、劇団や役者に応援メッセージを送ったりグッズ通販をしたりし続けます。配信も見られるものは見たいと思います。
 そして次の選挙で今の政府にNOを突きつけること、それに尽きるだろうと思っています。
 みなさまもどうぞ引き続き、ご安全に…



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