駒子の備忘録

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トム・マクナブ『遥かなるセントラルパーク』(文春文庫)

2015年11月07日 | 乱読記/書名は行
 ロサンジェルスからニューヨークまで5000キロ。アメリカ横断ウルトラマラソンが始まる。イギリス貴族、人生の逆転を狙う労働者、貧しい村のために走るメキシコ人、ガッツを秘めた美しき踊り子…2000人のランナーが誇りをかけてセントラルパーク目指して走り出す。

 「マラソンするだけの小説なのに徹夜するほど面白い。」が帯の惹句。でもただ走っているだけじゃなくて、レース運営には山あり谷ありだし、レースのメンバーも行く先々でいろいろやらかすのがおもしろいし、でもやっぱりただ走っているだけの描写でも十分読ませておもしろい。フィクションですがレース自体は開催されたことがあるというのもすごい。
 ラストは電車の中で読んだのですが、思わず涙ぐみました。ベタだけど、それでも。特にドクの心情がよかったなあ。何かを証明したくて走るんだけれど、でも誰に何かを示さなくても、自分はちゃんとわかってるんだからいいんだ、って思えること、あるよね。がんばったからこそ思えることなんだけれどね。
 古き良き時代の、世知辛さのない、大人のおとぎ話なのかもしれないけれど、楽しく読みました。




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