宝塚大劇場、2010年11月12日ソワレ。
1937年、大学でスペイン語の講師をしていたアメリカ人のロバート・ジョーダン(大空祐飛)は、スペインへの熱い想いから、国際義勇軍に加わり、戦禍のスペインへと赴く。マドリードで共和政府軍のゴルツ将軍(寿つかさ)の指揮下に入ったロバートは、最初の任務である列車爆破を見事に成功させる。続いてロバートは、敵の前線への唯一補給路になっている鉄橋を爆破するために、グアダラーマ山中へと向かう…
原作/アーネスト・ヘミングウェイ、脚本/柴田侑宏、演出/木村信司、作曲/寺田瀧雄。1943年にゲイリー・クーパーとイングリット・バーグマン主演で映画化され、1978年には鳳蘭、遙くらら主演の星組で世界初の舞台化をした作品の32年ぶりの再演。
大昔に原作も読んで映画も見たかと思いますが、そしてマリア(野々すみ花)の
「キスってお鼻がぶつからないのかしら」
とかなんとかいう台詞も知っていましたが、他はきれいさっぱり忘れてしまったので、これを機会に読みなおしましたし廉価版DVDを買いました。
ちなみに映画としては『カサブランカ』の方が断然出来がいいですよね…
それはともかく。
初演はテレビでも見たことがありません。
今回は少しミュージカルふう場面が足されていたり、新曲があったり、グレイ基調だった岩山の舞台装置がオフホワイト基調に変更になっていたりのリニューアルがあるようです。
観てみて、うん、やっぱり、古風なところがあるな、と思いました。
でも台詞の端々に、そして何よりラブシーンに、柴田イズムが脈々とあって、柴田ファンの私には楽しかったです。
ただ、ラストの盛り上がりには欠けたかなー…まあ、騎兵隊とか砲撃とかは舞台には出せないし、戦争アクションが演出として難しいのは仕方がないんですけれどね。
あとは、去り際のマリアやプリミティボ(十輝いりす)、アグスティン(蘭寿とむ)の芝居が熱く濃くなっていけば、空気がもっと満ちてくるかなあ。
さらにロバート大空の死にっぷりが、より煮詰まってくれば。
とりあえず初日は苦悶のうめき声に萌えました(^^;)。
あと、最後の絶叫が
「撃ちちゅじゅけるぞーっ!」
みたくなっちゃったそうなんですが、私にはそうは聞こえなかった…
大丈夫か私の耳…贔屓耳になりすぎなのかもしれません(^^;)。
また、プロローグだったりピラール(京三紗)の幻想だったり、マリアの回想としてだったりの形で、いろいろとショーアップシーンがあるのですが、ここもまだ薄く感じられたかな。これも煮詰まりに期待。
あとは、どうしてもロバートとマリアのドラマに集中しがちで、ゲリラ隊の面々のやりようがないのが気の毒で、これはもう少し脚本をいじってもよかったんじゃないのかなあ…
アグスティンにもアンドレス(北翔海莉)にもせっかく設定を作ってあるのに、具体的なエピソードがなくて…
あれではまゆたんもみっちゃんもやりようがなかったと思うなあ。
アグスティンとロバートの男ふたりの友情の語らいシーン、伝令に出て前線を離れたアンドレスのルチア(すみれ乃麗)とのシーンなどは、ともによかったけれど…もっと物語に絡めてほしかった、というかぶっちゃけもっと出番が欲しかった。
なんかおふたりのファンに申し訳ナイ感じがしちゃって…特にまゆたん…
ましてプリミティボ、エラディオ(春風弥里)、フェルナンド(鳳翔大)あたりにいたっては…
ここまで台詞が少ないのは近年久々だったのでは!?
ほとんど背景画になっちゃってたよ…
みーちゃんはなんとか芝居していたし、だいちゃんはなんかムードがあってよかったけれど、それにしても気の毒かな…
エル・ソルド(風莉じん)隊のイグナシオ(蓮水ゆうや)もいかにも気の毒だったし…
ちや姉はソロ歌もあって大活躍なんだけれど、一幕ラストのせっかくの死が舞台では見せられず、パブロ(星原美沙緒)隊から見ただけの語りで片づけられちゃったのも、残念だったかも…
逆にラファエル(悠未ひろ)はキャラクターがけっこう描かれているのだから、ともちんもっともっとやれるよ!
パンフレットではいいこと語っているので、もっとロバートになついて、マリアをかわいがって、からんでいって、ラストももっと活躍するといいのにな、と思っています。
すみません、ファンモード(^^;)る
ホアキン(凪七瑠海)もせっかくキャラが立てられてるんだから、もっとできるぞ。
パコ(星吹彩翔)はよかったなー。
アンセルモ(珠洲春希)もとてもよかった。
ローサ(純矢ちとせ)もとっても扱いが良くて、キャラもとても良かったなあ。
恋人カシュキンを殺した人間として、最初はロバートに銃を向けて、その後はロバートに惹かれて
「私をつれてってよ」
と言って、マリアの存在を知ると引いて、父親を失うと
「女は廃業したよ」
なんて言っちゃって…
戦争が終わったら、絶対に幸せになってほしいキャラクターです。せーこよかったよ。
しかし何よりびっくりしたのが実はルチアれーれで、ホアキンの姉役とはなんたること、できるのかいな、とか思っていたんだけれど、ちゃんとお姉さん、しかも姉御っぽいキャラクターになっていて、やりやすいであろうかわいい女の子にしちゃうことがなくて、とってもよかった。
ぶっちゃけこんな芝居ができる子だとは思っていなかった。朋子効果か? 新公マリアが楽しみかもしれません。チケット取れてないけど(^^;)。
というわけで、全体としては、まあ地味とか単調とか言われてしまうかもしれませんが、今後の煮詰まりに期待して、あとはまたこちらも見え方が変わってくるから…というところでしょうか。
まったくのダメダメ演目、ということはなかったので、一安心ではありました(どんだけハードル低いんだ)。
で、ユウヒ。
いやー…
やっぱいいわこのヒト。
なんかねー…
そらファンだから欲目もあるけどさー…
ていうか、
「どんなにダメでも私はファンだから見守るからね!」
みたいな、いつもダメなときに向けての心の準備をして観ちゃう私なのですが…
まったくそんな必要がなく、
「あらっ、イイじゃん、意外」
みたいな。
すんません。
ホントにファンなのか私は。
まず感心したのは、ちゃんとロバートという新しいキャラクターになっていたこと。
たとえば、他国の戦争に首突っ込んでいるアメリカ人、ということでは『カサブランカ』のリックも同じなんだけれど、そして似た台詞もあったりしたんだけれど、ちゃんと違うニュアンスで言っていた。
違う人物だからです。
空とも、ホレイショとも、もちろん銀ちゃんとも違う(^^;)。
すごいなー、と思いました。役を自分に近づけるんじゃなく、自分がその役になりにいっている。
改めて、芝居の人だ、演技の人だ、と感動しました。
しかもほとんど着たきり雀なんだけどそれがまくたカッコいい(^^)。ジャンバー脱いだり着たり袖まくったりの小さな変化の付け方も素敵。
ブーツなんかぺたんこなんだけど、頭身高くてすらりとスマートで素敵。腰がホントに細くて素敵。
冒頭のパーティーシーンやマドリードでのすかしっぷり(^^)も素敵。幻想場面での闘牛士姿も素敵。
特に岩棚への腰かけっぷりが完璧! 足の開き方、膝の角度…カッコよすぎ!!
そしてマリアへの愛情表現が、本当に本当に素敵。
なんというか…さわやか? なんか、意外にも(^^;)。
なんかもっと濃く色っぽくやることもできると思うんだけれど、すごくさらりとやっていて、だからこそ自然で本当っぽい…誠実な、シンプルな愛、というか。
マリアは少女で、だからそれからしたらロバートは大人なんだけれど、大人になりすぎていないというか、酒も女もたしなんできたけれど溺れてはいない、うす汚れてない青年…って感じで、なんかいいんですよね。妙に渋く中年チックにしていなくて。
あと、
「ああ」「うん」「いいよ」
とかのごく短い言葉にとっても情感がこもっていて、きゅんきゅんしました。
「君の髪にさわってもいいかな」
ですって!?
だめですよロバートさん、普通だったらセクハラですよ!
だけど大丈夫なの、素敵だから(^^)。
「もう”うさぎさん”になっちゃったのかい?」
まったくそのつっこみはもっともだよ!
でもいいの、素敵だから(^^)。
マリアの「ひどい話」は悪趣味でない扱いになっていて、よかったです。
ただ、原作もそうなんだけど、何度も話題にしすぎだけれどね。一回でいい、せめて二回でいいよ。
で、これに対するロバートの反応がまた良くて、これまた変に力んだり男たちに怒りを見せてみたりマリアに変な同情を示したりしていなくて、それが本当に本当に素敵なの。
ただただ目の前のマリアのことだけを見ていて、愛していて、彼女のためだけに心配していて、つらそうだから話すのをやめさせたいし、話したがっているようだから話させるし、だけど本当に愛情は変わらなくて、過去を聞いても影響されることがなくて、そのことのために同情から愛したのでもないし、余計に気をつかったり余計に愛したりすることもなくて、ただただ
「そんなことは何もなかったのと同じだよ」
と言ってあげられているの。
そのまっとうさが、とてもとても素敵なのです。
そして女優スミカももちろん、イルザとも美雨ともエマとも小夏ともちがうヒロイン像を作り上げていて、かつ今までの役の中では一番やりやすかったんじゃないかな?
でもこれまた変にぶりっこになることなく子供っぽくなりすぎることもなく、きれいなきちんとしたすっとした少女、という清潔感、まっとうさがとてもとてもよかったです。
唯一…私は彼女の絶叫のすばらしさを本当に買っているので、でも初日のラストの
「ロバート!」
はちょっと足りなかったかなと思うので、そこはこの先に期待。
ここも煮詰まると、それこそラストの悲壮さを盛り上げてくれると思います。
そしてふたりのいちゃつきっぷりったら…!
そら初演が
「ラブシーンの多さで話題になる」
訳ですよ!
寝袋ソングのいちゃいちゃっぷりったらなかったですよ! ほとんど鼻持ちならなかったくらいですよ!
イヤでも私は全然ムズムズしなかったしテレもしなかったな。本当にほほえましくて、いじらしくて、すがすがしくて、楽しくニヤニヤデレデレできました。
柴田先生のラブシーンの台詞は本当にすばらしい。ほぼ一目惚れのふたりの恋の落ち方の演出も、繊細で、丁寧で、本当にすばらしい。
だからつっこみ、難点は、一応そんなにはないけれど…
二幕冒頭の「結婚の幻想」場面のセットは…一幕のバレンシア幻想シーンで流れるフラメンコが『哀しみのコルドバ』が始まりそうに思えたこともあって、ひまわり娘アンフェリータ登場?それともまさかの『ファンキー・サンシャイン』再来?とちょっとぎょっとしたし、あとなんかちょっとおバカにも見えるセットだったので、ちょっとなんか…
あと、「銀ちゃん?」とかも思いましたすみません。
あとフィナーレA、マタドール姿のみっちゃんみーちゃんカチャが歌いつつ銀橋を渡りますが、歌も振りもなんかもっとカッコ良くなんないの!?と言いたいです。
せっかくのスターがもったいない!
グレイッシュなピンクのお衣装で淑女たちに囲まれて踊るまゆたんはとてもとても素敵。
マタドールたちはグレイッシュな紺のお衣装でユウヒを囲み、まゆたんがユウヒをエスコートするさまがとてもとても素敵。
デュエダンも素敵でしたが、リフトはどうもまだ「よいしょっ」って感じだったかな。
パレード階段降り順序はセンシティブな話題ですが、確かにカチャの置き方と衣装の差がやや問題だと思ったぞ…
羽は素敵。
でもフィナーレは総じて『カサブランカ』のときのものの方が好みだったかなー。あくまで好みの問題ですが。
あっ、歩哨としてちょっとだけ台詞があった愛月ひかるんの声がやっぱり好きです。新公ロバート、がんばれ!
ということで、今後の進化・深化が楽しみな演目でした。
よかったよかった。
日帰りで慌ただしかったけど、満足、満足。
次の遠征はお茶会合わせです。変化が楽しみです!
1937年、大学でスペイン語の講師をしていたアメリカ人のロバート・ジョーダン(大空祐飛)は、スペインへの熱い想いから、国際義勇軍に加わり、戦禍のスペインへと赴く。マドリードで共和政府軍のゴルツ将軍(寿つかさ)の指揮下に入ったロバートは、最初の任務である列車爆破を見事に成功させる。続いてロバートは、敵の前線への唯一補給路になっている鉄橋を爆破するために、グアダラーマ山中へと向かう…
原作/アーネスト・ヘミングウェイ、脚本/柴田侑宏、演出/木村信司、作曲/寺田瀧雄。1943年にゲイリー・クーパーとイングリット・バーグマン主演で映画化され、1978年には鳳蘭、遙くらら主演の星組で世界初の舞台化をした作品の32年ぶりの再演。
大昔に原作も読んで映画も見たかと思いますが、そしてマリア(野々すみ花)の
「キスってお鼻がぶつからないのかしら」
とかなんとかいう台詞も知っていましたが、他はきれいさっぱり忘れてしまったので、これを機会に読みなおしましたし廉価版DVDを買いました。
ちなみに映画としては『カサブランカ』の方が断然出来がいいですよね…
それはともかく。
初演はテレビでも見たことがありません。
今回は少しミュージカルふう場面が足されていたり、新曲があったり、グレイ基調だった岩山の舞台装置がオフホワイト基調に変更になっていたりのリニューアルがあるようです。
観てみて、うん、やっぱり、古風なところがあるな、と思いました。
でも台詞の端々に、そして何よりラブシーンに、柴田イズムが脈々とあって、柴田ファンの私には楽しかったです。
ただ、ラストの盛り上がりには欠けたかなー…まあ、騎兵隊とか砲撃とかは舞台には出せないし、戦争アクションが演出として難しいのは仕方がないんですけれどね。
あとは、去り際のマリアやプリミティボ(十輝いりす)、アグスティン(蘭寿とむ)の芝居が熱く濃くなっていけば、空気がもっと満ちてくるかなあ。
さらにロバート大空の死にっぷりが、より煮詰まってくれば。
とりあえず初日は苦悶のうめき声に萌えました(^^;)。
あと、最後の絶叫が
「撃ちちゅじゅけるぞーっ!」
みたくなっちゃったそうなんですが、私にはそうは聞こえなかった…
大丈夫か私の耳…贔屓耳になりすぎなのかもしれません(^^;)。
また、プロローグだったりピラール(京三紗)の幻想だったり、マリアの回想としてだったりの形で、いろいろとショーアップシーンがあるのですが、ここもまだ薄く感じられたかな。これも煮詰まりに期待。
あとは、どうしてもロバートとマリアのドラマに集中しがちで、ゲリラ隊の面々のやりようがないのが気の毒で、これはもう少し脚本をいじってもよかったんじゃないのかなあ…
アグスティンにもアンドレス(北翔海莉)にもせっかく設定を作ってあるのに、具体的なエピソードがなくて…
あれではまゆたんもみっちゃんもやりようがなかったと思うなあ。
アグスティンとロバートの男ふたりの友情の語らいシーン、伝令に出て前線を離れたアンドレスのルチア(すみれ乃麗)とのシーンなどは、ともによかったけれど…もっと物語に絡めてほしかった、というかぶっちゃけもっと出番が欲しかった。
なんかおふたりのファンに申し訳ナイ感じがしちゃって…特にまゆたん…
ましてプリミティボ、エラディオ(春風弥里)、フェルナンド(鳳翔大)あたりにいたっては…
ここまで台詞が少ないのは近年久々だったのでは!?
ほとんど背景画になっちゃってたよ…
みーちゃんはなんとか芝居していたし、だいちゃんはなんかムードがあってよかったけれど、それにしても気の毒かな…
エル・ソルド(風莉じん)隊のイグナシオ(蓮水ゆうや)もいかにも気の毒だったし…
ちや姉はソロ歌もあって大活躍なんだけれど、一幕ラストのせっかくの死が舞台では見せられず、パブロ(星原美沙緒)隊から見ただけの語りで片づけられちゃったのも、残念だったかも…
逆にラファエル(悠未ひろ)はキャラクターがけっこう描かれているのだから、ともちんもっともっとやれるよ!
パンフレットではいいこと語っているので、もっとロバートになついて、マリアをかわいがって、からんでいって、ラストももっと活躍するといいのにな、と思っています。
すみません、ファンモード(^^;)る
ホアキン(凪七瑠海)もせっかくキャラが立てられてるんだから、もっとできるぞ。
パコ(星吹彩翔)はよかったなー。
アンセルモ(珠洲春希)もとてもよかった。
ローサ(純矢ちとせ)もとっても扱いが良くて、キャラもとても良かったなあ。
恋人カシュキンを殺した人間として、最初はロバートに銃を向けて、その後はロバートに惹かれて
「私をつれてってよ」
と言って、マリアの存在を知ると引いて、父親を失うと
「女は廃業したよ」
なんて言っちゃって…
戦争が終わったら、絶対に幸せになってほしいキャラクターです。せーこよかったよ。
しかし何よりびっくりしたのが実はルチアれーれで、ホアキンの姉役とはなんたること、できるのかいな、とか思っていたんだけれど、ちゃんとお姉さん、しかも姉御っぽいキャラクターになっていて、やりやすいであろうかわいい女の子にしちゃうことがなくて、とってもよかった。
ぶっちゃけこんな芝居ができる子だとは思っていなかった。朋子効果か? 新公マリアが楽しみかもしれません。チケット取れてないけど(^^;)。
というわけで、全体としては、まあ地味とか単調とか言われてしまうかもしれませんが、今後の煮詰まりに期待して、あとはまたこちらも見え方が変わってくるから…というところでしょうか。
まったくのダメダメ演目、ということはなかったので、一安心ではありました(どんだけハードル低いんだ)。
で、ユウヒ。
いやー…
やっぱいいわこのヒト。
なんかねー…
そらファンだから欲目もあるけどさー…
ていうか、
「どんなにダメでも私はファンだから見守るからね!」
みたいな、いつもダメなときに向けての心の準備をして観ちゃう私なのですが…
まったくそんな必要がなく、
「あらっ、イイじゃん、意外」
みたいな。
すんません。
ホントにファンなのか私は。
まず感心したのは、ちゃんとロバートという新しいキャラクターになっていたこと。
たとえば、他国の戦争に首突っ込んでいるアメリカ人、ということでは『カサブランカ』のリックも同じなんだけれど、そして似た台詞もあったりしたんだけれど、ちゃんと違うニュアンスで言っていた。
違う人物だからです。
空とも、ホレイショとも、もちろん銀ちゃんとも違う(^^;)。
すごいなー、と思いました。役を自分に近づけるんじゃなく、自分がその役になりにいっている。
改めて、芝居の人だ、演技の人だ、と感動しました。
しかもほとんど着たきり雀なんだけどそれがまくたカッコいい(^^)。ジャンバー脱いだり着たり袖まくったりの小さな変化の付け方も素敵。
ブーツなんかぺたんこなんだけど、頭身高くてすらりとスマートで素敵。腰がホントに細くて素敵。
冒頭のパーティーシーンやマドリードでのすかしっぷり(^^)も素敵。幻想場面での闘牛士姿も素敵。
特に岩棚への腰かけっぷりが完璧! 足の開き方、膝の角度…カッコよすぎ!!
そしてマリアへの愛情表現が、本当に本当に素敵。
なんというか…さわやか? なんか、意外にも(^^;)。
なんかもっと濃く色っぽくやることもできると思うんだけれど、すごくさらりとやっていて、だからこそ自然で本当っぽい…誠実な、シンプルな愛、というか。
マリアは少女で、だからそれからしたらロバートは大人なんだけれど、大人になりすぎていないというか、酒も女もたしなんできたけれど溺れてはいない、うす汚れてない青年…って感じで、なんかいいんですよね。妙に渋く中年チックにしていなくて。
あと、
「ああ」「うん」「いいよ」
とかのごく短い言葉にとっても情感がこもっていて、きゅんきゅんしました。
「君の髪にさわってもいいかな」
ですって!?
だめですよロバートさん、普通だったらセクハラですよ!
だけど大丈夫なの、素敵だから(^^)。
「もう”うさぎさん”になっちゃったのかい?」
まったくそのつっこみはもっともだよ!
でもいいの、素敵だから(^^)。
マリアの「ひどい話」は悪趣味でない扱いになっていて、よかったです。
ただ、原作もそうなんだけど、何度も話題にしすぎだけれどね。一回でいい、せめて二回でいいよ。
で、これに対するロバートの反応がまた良くて、これまた変に力んだり男たちに怒りを見せてみたりマリアに変な同情を示したりしていなくて、それが本当に本当に素敵なの。
ただただ目の前のマリアのことだけを見ていて、愛していて、彼女のためだけに心配していて、つらそうだから話すのをやめさせたいし、話したがっているようだから話させるし、だけど本当に愛情は変わらなくて、過去を聞いても影響されることがなくて、そのことのために同情から愛したのでもないし、余計に気をつかったり余計に愛したりすることもなくて、ただただ
「そんなことは何もなかったのと同じだよ」
と言ってあげられているの。
そのまっとうさが、とてもとても素敵なのです。
そして女優スミカももちろん、イルザとも美雨ともエマとも小夏ともちがうヒロイン像を作り上げていて、かつ今までの役の中では一番やりやすかったんじゃないかな?
でもこれまた変にぶりっこになることなく子供っぽくなりすぎることもなく、きれいなきちんとしたすっとした少女、という清潔感、まっとうさがとてもとてもよかったです。
唯一…私は彼女の絶叫のすばらしさを本当に買っているので、でも初日のラストの
「ロバート!」
はちょっと足りなかったかなと思うので、そこはこの先に期待。
ここも煮詰まると、それこそラストの悲壮さを盛り上げてくれると思います。
そしてふたりのいちゃつきっぷりったら…!
そら初演が
「ラブシーンの多さで話題になる」
訳ですよ!
寝袋ソングのいちゃいちゃっぷりったらなかったですよ! ほとんど鼻持ちならなかったくらいですよ!
イヤでも私は全然ムズムズしなかったしテレもしなかったな。本当にほほえましくて、いじらしくて、すがすがしくて、楽しくニヤニヤデレデレできました。
柴田先生のラブシーンの台詞は本当にすばらしい。ほぼ一目惚れのふたりの恋の落ち方の演出も、繊細で、丁寧で、本当にすばらしい。
だからつっこみ、難点は、一応そんなにはないけれど…
二幕冒頭の「結婚の幻想」場面のセットは…一幕のバレンシア幻想シーンで流れるフラメンコが『哀しみのコルドバ』が始まりそうに思えたこともあって、ひまわり娘アンフェリータ登場?それともまさかの『ファンキー・サンシャイン』再来?とちょっとぎょっとしたし、あとなんかちょっとおバカにも見えるセットだったので、ちょっとなんか…
あと、「銀ちゃん?」とかも思いましたすみません。
あとフィナーレA、マタドール姿のみっちゃんみーちゃんカチャが歌いつつ銀橋を渡りますが、歌も振りもなんかもっとカッコ良くなんないの!?と言いたいです。
せっかくのスターがもったいない!
グレイッシュなピンクのお衣装で淑女たちに囲まれて踊るまゆたんはとてもとても素敵。
マタドールたちはグレイッシュな紺のお衣装でユウヒを囲み、まゆたんがユウヒをエスコートするさまがとてもとても素敵。
デュエダンも素敵でしたが、リフトはどうもまだ「よいしょっ」って感じだったかな。
パレード階段降り順序はセンシティブな話題ですが、確かにカチャの置き方と衣装の差がやや問題だと思ったぞ…
羽は素敵。
でもフィナーレは総じて『カサブランカ』のときのものの方が好みだったかなー。あくまで好みの問題ですが。
あっ、歩哨としてちょっとだけ台詞があった愛月ひかるんの声がやっぱり好きです。新公ロバート、がんばれ!
ということで、今後の進化・深化が楽しみな演目でした。
よかったよかった。
日帰りで慌ただしかったけど、満足、満足。
次の遠征はお茶会合わせです。変化が楽しみです!
ありがたいです。
こんな偏ったサイトで申し訳ありませんが、今後ともヨロシクです~