駒子の備忘録

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星『1789』初日雑感

2023年06月04日 | 日記
 宝塚歌劇星組大劇場公演『1789』初日と翌日11時公演を観てきました。
 …と初日の夜に書き始めたのですが、なんと翌朝ホテルを出る直前に二日目の中止の発表がありました。初日だけはなんとしてでも、とムリクリ開けたのですね。それは…つらい…どうなんだろう…初日だけでも観られてよかったけれど、でも…ううぅ…
 そもそも公演関係者に体調不良が出たとのことで、直前に初日開演時間が13時から15時半に変更になるという、なかなか聞かない事態もありましたが、ともあれ初日は無事に上演できてよかったです。途中、稽古を中断した時期があったり、なかなか全員一緒に合わせられなかったりしたのかしらん…でも代役も休演もなく全員で出られて、出来はちゃんと100%だったと思います。ここからさらに進化、深化していくことでしょう! なんとか早めの再開を、そしてその後は是非ノンストップでゴールしていただきたいものです…!!
 そして台風の影響もなかなか心配でした。私は13時開演に合わせて早めの新幹線の便を安く取っていたので、まあ昼前までなら大丈夫かなと判断し、確かに定刻どおりに運行していただけて、午後は運休もあるかもと予告されていたJRもこの時間は普通に動いていて、昼前には宝塚駅に無事に着けました。西のお友達とお茶したりしていたら待ちの三時間なんてすぐで、降りもそんなでもない中、大劇場まで移動して、プログラム買ってコンタクト入れてチケ出しに行って、席についたら通路席でひいぃとなりました。ま、中通路より後方だったので客席登場が脇を通るわけではなかったんですけど、久々に銀橋に架けられた階段まで、通路をガシガシ歩いて行く生徒たちを見送れて感無量でした(あと幕間に「二幕に客席を使った演出が…」というアナウンスが久々に流れて、すごく感動しました)。ショーでハイタッチなどで観客と絡むような客席降りは正直まだどうだろう、とも思うコロナ感染状況ですが、こういうお芝居の中のものはやはり臨場感的にも効果的ですし、いいものだなと改めて思いました。
 帰りの降りもそんなでもなく、阪急はしっかり動いて、梅田の宿へ無事入れました。日帰り帰京予定だった方は、新幹線の運転見合わせで難儀されたことでしょう…遠征のトラブルもですが、どうぞ全国どこでも台風の被害が少ないもので済みますよう祈っています(><)。
 では以下、例によってネタバレ全開で語ります。ご留意いただければ幸いです。

 さて、そんなわけで観てきたわけですよ初日! ちなみに月組初日雑感はこちら、まとめはこちら、東宝版観劇記はこちら
 今日あたり自宅に届いているのかもしれませんが「歌劇」の座談会も読めなかったし、製作発表で披露されたロナンの新曲があるのと、初演でアントワネットとフェルゼンが歌っていた「許されぬ愛」はもともとオランプの歌だし今回はオランプが歌う、程度の変更の知識しかないままに席につきました。初演当時の月組は番手がカオスでしたが、今回も役の比重はそんなには変わらないのではないかなー、とも思っていましたし、ぶっちゃけ外部版が個人的にはあまり月組版と変わっていない印象だったので、今回もすごく何か変化を期待している、というわけではなかったのです。トップ娘役が主人公の恋人役で真性ヒロインをやる、というのは大きな違いだとは思いましたが、それでもちょっと色が違っただけのものをまた再度観る、という感じかなー、とかヌルく考えていたのです。
 しかし違いました! 超ブラッシュアップ再演でした! しっかり、がっちり手を入れられていました! プログラムの萩尾瞳氏の「再演というよりリメイク版とか新版と呼びたいほど」というのはちょっと言いすぎかもしれませんが、でも、確かにレベルアップしたものに仕上がっている気がしました。おもしろいものです! もちろん楽曲の良さという強みもあるんだけれど、もともとのキャラクターやドラマの構造が強いから、いろいろ手をかけて深めていけるんだなー、としみじみ感心、感動しました。
 残念ながらイケコにホントにそんな手腕があるんかいな、とか私はちょっと疑ってもいるので(なんせ忙しい人なワケですし…)、初演時は演出助手のセカンドで今回は演出補になっている谷貴矢先生が奮闘したのかもしれません。場面のカットや順番入れ替えや、ナンバーやミザンスの変更(入り出の上下が違うだけで印象ってだいぶ違います…!)、追加、そして脚本のちょこちょこ細かい改変により、より濃密でリアルな、細やかで濃い、深いミュージカル作品になったと思います。もちろんまさおとこっちゃんの持ち味の差かもしれませんが…もともとのフランス版からしたら、あちらはもっとストーリー・イン・コンサートみたいなタイプの舞台だそうなので、月組版の方がイメージが近かったのかもしれません(そもそもアントワネットがメインの群像劇っぽかったそうでもあるので、トップ娘役がアントワネットを演じたのも正しかったのかもしれません。それか宝塚でやるならトップに女役をやらせるか…それでこのときはロナンを立てることにしたのでしょう)。でも日本人ってショーみたいなものより芝居の方が好きなんじゃないかと思うんですよね、これは私の偏見かもしれないし主語が大きすぎたら申し訳ないのですが。また、初演から時間が経っていて時代も進んでいるので、やはりまんま再演なだけじゃもう鑑賞に耐えなくて、進化・深化が必要なんだろうな、とも感じさせられました。
 何しろとっぱしがものすごく印象的でしたねー(あ、オケピの蓋が開いていました! そして私は初日と新公と楽にしか開演アナウンスの生徒名乗りには拍手しない主義ですが、今回はラブ一郎先生とオケに拍手できるタイミングがちゃんと別にあります。なので次回からはここで拍手します。この機会がないとオケに拍手できなくて寂しいんですよね…)。ドラマチックでつかみはOK!みたいだった、クライマックスのバスティーユ開門をアバン的に先にここでやるプロローグがなくて(鎖を断つ斧を忘れた回のまさおは手刀で斬ったそうですが(笑)、クライマックスでもロナンが門…橋かな?の鎖を断つくだりがそもそもなくなっていました)、いきなりボース地方の場面から始まるのです。ここのミザンスも、そんなに記憶がないけど背景の絵も初演とはずいぶんと違っていて、静かな水墨画のような世界に突然持ち込まれる国家からの理不尽な要求…みたいな立ち上がりで、ものすごく惹き込まれました。まゆぽんペイロールの憎々しさはさすがでした。
 で、一方貴族たちは…とルーレット場面だよね?と思っていたら、そのままロナンがパリに出て、ありちゃんデムーランやかりんさんロベスピエールと出会うくだりになります。まさおみたいに空腹で気絶しちゃうことはないこっちゃんロナンですが、ここでもう革命家たちとの違いと、でも友達になろう同志になろう、みたいなくだりが足されてしっかり表現されていて、これもいいなと感心しました。ロナンが字は読めるけど新聞の難しい単語は読めないし意味もわからない、という描写があるのがいいんですよね。革命家はきみたち農民のための革命だ、みたいなことを言うんだけど、理論先行で頭でっかちになっていて、ここに格差と分断があることも表現されているのです。
 ここに増えた「革命の兄弟」は東宝版で増えたナンバーだそうで、せおっちが専科異動したら次はこの三人が123なんだなー、と感慨深かったです。色と華が違うスター揃いでいいですよね!
 で、やっとヴェルサイユ場面です。せおっちアルトワのセリ上がり登場に、ファンは遠慮なく拍手を入れればよかったのに…タイミングは初演からわかっていたことなんだからさー。初日はシーンと静かで寂しかったです。ところでゆりちゃんラマール好きだったなー、今回のさりおも取る笑いは取っていて良きでした。でもつんつんと大希くんをニコイチで使うと、つんつんがよりちっちゃく見えちゃわないかなーと心配です。
「全てを賭けて」は全部ありましたね! あの巨大小林幸子から出てきて脱いだら、ちゃぴのより色が濃い、でもノリが同じな新調のドレス! スカート幅がそこまででもないのはトップとの差かもしれません。あと髪飾りがすっごくよかった! くらっちアントワネットはホントにのんきで天真爛漫な乙女のようで、もちろん美声は素晴らしく、圧巻でした。トランプの女たちのお衣装も新調だったような気が…ハートに水乃ちゃん、るりなたん、ダイヤに彩園ちゃん、乙華ちゃんがいるのはチェックできました。オレキザキのネッケルはわりと熱血漢だったような…そらアルトワとかには嫌われそうです。
 ひびきちのノーブルな工作バカみたいなギヨタン博士が大好きだったのですが、朝水パイセンをチェックし忘れました痛恨…!
 このあともメインキャストのお衣装は新調がほとんどな気がしましたが、ポリニャック夫人のドレスは初演ママだった気がします。そもそも『スカピン』のマルグリットのドレスや昔サエちゃんが『薔薇の封印』で女役をしたとき着ていたヤツとか、なんか印象深い流用だったので、それはそのままで私は嬉しかったです。なっちゃんポリニャックもすーさんとはまた違った悪友感があってよかったです。
 王太子(美玲ひなちゃん、私はもの足りなかった…)の養育係としてヒロインたるひっとんオランプも登場。オランプのドレスがまた新調で、トップ娘役が着るので豪華になっているので、彼女も貴族ではなくともプチブルで王政派の人間なんだな、ということがよくわかり、のちのロナンとの身分や立場の違いに通じていいなと思いました。そしてこれはひっとんの持ち味だろうけれど、すごく凜々しくてはきはきしていてひたむきなオランプ像で、しんねりしたところが全然ないのがすごくよかったです。
 続いてパレ・ロワイヤル、ここはほぼママだったかな? でもロナンがデムーランたちに印刷工仲間をひとりずつ名前を呼んで紹介するのがすごくよかったです。初演にはなかった…よね? そして初演もそうだったけど印刷工が美形揃いすぎて目がつぶれる…! うたちリュシルが登場、ちっちゃくて可愛いけど山椒は小粒でも…みたいなきりりとした強さがあってとても良き。そしてありちゃんとラブラブでかーわーいーいー!
 初演時からここにロベピが出ていないのは何故だろう、とずっと思っていたのですが、今回のプログラムのかりんさんインタビューによれば彼が真面目だからだそうで、どんだけいかがわしい界隈とされているんだパレ・ロワイヤル…!とちょっとおもしろかったです。
 ここの娼婦のお衣装も新調だったように思いました。まああの衣装、その後似たケースで散々使い回してきましたからね…
「夜のプリンセス」にいたるくだり、ぴーダントンが最近本気な夜の女がロナンの妹、ほのかソレーヌと発覚するくだりですが、残念ながら今回も笑いが起きていましたねー…明らかにそういう演出でした。ダントンがもう少し深刻に驚けばまた違うのかもしれませんが、彼も結局はボンボンで、貧困女性が売春でしか食べていけなくなるという苛酷な現実をよく理解できていないのでしょうから、これは仕方ないのかもしれません。でも観ている私たちは、現代に生きる私たちには、ソレーヌの境遇は笑えないじゃん、笑っちゃいけないじゃん、笑いごとじゃないじゃん…観劇に来る余裕がある層はこうした貧困とは無縁かもしれませんが、誰でも船板一枚下は海なのであって、政治の腐敗が人々の暮らしにどう影響するかは今、なう、リアルタイムで経験中なワケでさ…そういう現実を忘れるために夢の世界に来ているのだ、という考え方もあるだろうけれど、私はここの笑いは嘘寒くて受け入れられません。ほのかちゃんは…なんかちょっとフツーだったかも、すみません。
 さてその真夜中、お忍びの意味わかってる!?ってなる初演ママのデーハーな赤マントを着てアントワネットがオランプとともに登場。この赤マント、まだ他では見てない気もするので、残っていて嬉しかったです! かのんくんフェルゼンとの歌はなくなってしまったけれど(そもそもフェルゼンパートも初演時に追加されたんですよね)、「もう私を愛していないのね」みたいな酔った泣き言感がちょっと減っていて、ここの芝居もすごくよくなっていたと思いました。からの秘密警察の乱入とオランプの狂言がまた、さすがのひっとんでめっちゃおもろくて可愛くて、楽しかったです! あ、るりはなシャルロットもとてもキュートでチャーミングでした。
 監獄での拷問も、まさおロナンの妙に色っぽかった呻き声はなくて(笑)、なんか質実剛健な味わいというか…まゆぽんの鞭捌きはさすがでした。
 助けに来るオランプは初演は兵士に化けていた気がしましたが、今回はただコートを羽織っただけだったかな? なのでロナン脱獄後の兵士たちの「♪チビの兵士を探せ」みたいなのがなくなっていました。
 ロナンとオランプの上手花道からの客席降り道行きは初演どおり。階段を上がるときにオランプが躓いて、ロナンが抱きとめて…みたいな少女漫画展開もママ。てかそのあとの別れ際の「助けてくれたお礼だ」のチューがなんかすごく良くて、ときめきまくりました…! やはりトップコンビって違うと思うんですよ、慣れている分遠慮がないっていうか、ガッていける。妙にチャラかったまさおと違って、性急で真剣で強引なこっちゃんロナンに激しく萌えました…!!
 続く三部会はママだったかな? その後の印刷所でのロナンと革命家たちとの対立場面、ヒリヒリしましたねー。いい兄貴系のデムーランやダントンと違って、かりんさんロベスピエールは珠城さんよりノーブルでプライド高そうで、わかっている振りしてホントはロナンと距離が一番遠そうにも思えるところが、このあと『ひかりふる路』に通じるのね…!と震える役作りだったと思うのです。ここでもロナンに兄弟なんかじゃない、みたいに言われてカッチーン!と逆ギレしているのがよくわかって、おもしろかったです。てかかりんさんのお衣装はホント大勝利で、ポスターやスチールの紺とグレーのお衣装もいいけど、それと交互に着て出てくる赤い襟の青いお衣装のヒーロー感がもうたまらなかったです! 今まで、好みで愛でてはいるけどホント下手だなー、とずっと思ってきましたが(すんません)、今回は一段ギアが上がったと思います。歌もホントよかった! キャー!!(アッ)
 王太子のお葬式でのロナンとオランプの会話も、だいぶ手が加えられていてよかったです。初演のオランプの「思いが違うのよ」の台詞とか、私は意味不明だと思っていたので…ここは「私と仕事と、どっちが大事?」みたいなことを言い出すロナンが可愛いわけで、それに対してオランプも自分には役目があるんだ、とちゃんと答えて、好きだけど上手くいかないわ、と別れを選択する形になるのがとてもいいですよね。「許されぬ愛」はここに入り、よりこのふたりの「バスティーユの恋人たち」の物語である感が強まったと思いました。
 サン・ドニ大聖堂の愛のコロスの振りは同じだったかな、どうかな…? 圧巻の一幕ラストもほぼ同じだったと思いますが、ロナンは銀橋にいて、本舞台のスポットはオランプに当たっていたかと思います。
 いやぁ、壮大で濃い、一幕でした…

 二幕。一、八扉から現れて中通路をガシガシ歩き、前方席通路をガンガン進む革命家たちと民衆たち…! 私の席からは逆光シルエットでもかりんさんがよく見えて、そのまま先頭切って進んで銀橋への階段に脚をかけ、振り返って熱く宣言!がド正面でした。カーッコいーい! からの「誰の為に踊らされているのか?」は振り、フォーメーションとも初演完コピだったと思います、当時珠城さんしか観ていなかった私もう大歓喜!! その後のボディパーカッション含めてあの重量感はなかったかもしれませんが、さすが極真空手経験者、シャープで切れ味抜群な動きで素晴らしかったのです!!! すみませんココ完全に目がハートで…そらペイロールも撤退しようというものです。
 シャルロットがロナンを呼びに来たあとの、印刷工たちの「アーメン」みたいな寒いギャグが変更になっていて、私は安心しました。当時の彼らのような最下層に宗教教育がどこまで浸透していたのかはよくわかりませんが、なんにせよチャカすようなのは私は不快だったので。てかここは毎回アドリブにできそう…!
 そしてアルトワの大ナンバー「私は神だ」へ。しかしせおっちはなんか精彩を欠いて見えませんでしたかね…? みやちゃんのあの妖しい存在感がなかったような…違うアプローチの役作りでもいいんだけれど、意外としどころがない役なのだろうかこの役は、とか思ってしまいました。もちろんこの場面自体はちゃんとしていたのですが。ここもほぼ初演ママかな? ここにこっちゃんの新曲あり。こっちゃん自身の録音コーラスと歌っていたような…? でも演奏は生だったし、カゲコーラスがいたのかな? プログラムには記載なし。
 デムーランの「武器をとれ」は東宝版のものに変わっていました。力強くて良き。ペイロールの「国王陛下の名の下に」も見せ場ですよねー、さすがでした。このあたりもママだったかな。だいたい二幕になると手が回らなくなるよねイケコ…
 ヴェルサイユでは貴族たちが脱出を始める中、アントワネットの身を案じたフェルゼンが任地から舞い戻ってきます。かのんくんがねー、いいんですよ。歌が削られても(ロナンとオランプ、アントワネットとフェルゼンの四重唱だった「世界の終わりが来ても」がまるっとカットでしたねそういえば!? 四人が前後と上下に別れるいい演出の場面だったのに、残念です…)芝居がいいし、華と存在感がありました。思えば当時のありちゃんはまだまだピヨピヨだった…ロナンとの対峙もそうですが、ここも本当によかったです。ちなみにここのくらっちのドレスが最も平凡で、なんだかなーな気がしました。ちゃぴのあの、部屋着か寝間着かな、みたいなあっさりほやんとしたドレスと髪型、大好きだったのになー…そしてあれは襟ぐりが深くてよく胸元をオペラで覗いたものでしたが(やめなさい)、今度のはガードか固くなっていて残念でした。ちっ…オランプとの別れはくらっち退団も重なって涙、涙。そして「神様の裁き」も素晴らしく、ギロチンは良きタイミングで綺麗に刃が落ちてよかったで(上手く落ちなかった回を観たことがある記憶アリ…)。
 マリー・テレーズがひよりんでルイ・シャルルはふみちゃん、可愛かったです! 聖母子像とかはよくあるけど、ここのパパと幼子ふたりの構図は本当に泣かされますよね…そうそう、美城さんもすごくよかったけれど、こりんちゃんの国王も脳天気っぷりと気弱さと優しさと慈愛とがバランスのいい、良きお芝居でした。あっ、でもどこだっけ、ネッケルが王に辞職を申し出るときの「辞職を請わせていただきます」という正しくないわけではないがあまり聞かない気がして引っかかる台詞はママだった…「職を辞させていただきます」か「辞職させていただきます」で十分だと思うのですが…
 そして「サ・イラ・モナムール」へ。ロナンと再会したオランプが将来の夢を語るとき、「あなたが進む道を踏み固めていくわ」みたいなことを言うのですが、直訳調なのでここも変更してほしかったですねー…ロナンが切り開くところを、あとからしっかりついていって踏み固めてきちんとした道にする、人生を運命を共にする、という意味の愛の宣言なんだろうけど、もっとわかりやすい、いい愛の言葉があると思うのですよ…
 ところでここで注目なのは、初演時に突然時ちゃんがやったロベピの女Sが誰か問題ですよ!(笑) まあこの場面の民衆女のメンツからして水乃ちゃんかなと思っていましたが、ズバリ正解。ロベピは独身でしたが確か下宿屋の娘と恋仲云々、みたいな史実はあるんですよね? でもこの作品では急にここで恋人が現れるのでなんかめっちゃおもろいです。暗い隅でもけっこうイチャイチャしてるしな!(ガン見)
 ここからは一気呵成の怒濤の展開ですが、ロベピがぴょーんと飛ぶところ(伝われ)がママでめっちゃ嬉しかったです! ロナンが壁をよじ登るようなくだりはなく、いつの間にか潜入していて中から跳ね橋を下ろし、みきちぐピュジェ中尉を連れて出てきて、ペイロールから彼をかばって銃弾に倒れます。初演では親子二代でペイロールに殺されるってひどくない?などと考えたものでしたが、こっちゃんとまゆぽんの同期の関係性もあり、今回はすんなり受け入れられたかな…ここのペイロールの立ち位置も違っていたような? ありちゃんの腕の中でひっとんの手を握りながら息を引き取るこっちゃん、良きですね…!
 その後の人権宣言の今なお響くことよ…! そして白いお衣装になってセリ上がるロナンに拍手が入らなかったのがよかった! まさおのときも初期は入らなかったのよ、途中から入るようになっちゃったのよ。でもスターが出てきたらなんでも拍手すればいいってもんじゃないと思うのよ、ここはこの静謐な時の中で彼の想いだけが戻ってくる、という表現が尊いのであってさ…! それを堪能しましょうよ!!
 そして歌唱指導のせおっちを除く全員が登場しての「悲しみの報い」と盆回り、最高ですね…! 最後は輪のセンターでロナンとオランプが抱き合って終わったかと思うのですが、これはちょっと次元を越えちゃうので、ロナンがオランプをバックハグするけど腕は触れていない、みたいなのだとよかったかもしれませんね。

 フィナーレとっぱしはせおっちのセリ上がりから。歌は「二度と消せない」、そしてデーハーなピンクのお衣装がよかったです! ロケットは、初演の初舞台生たちのお衣装とガーターベルトが思い出深いですが(笑)、ぐっとスモーキーなトリコロールになってキュートでした。ひよりんに気づけたよー!
 そして娘役群舞に囲まれるこっちゃん。ここはシックな色目のお衣装でした。まずいーちゃん、そしてうたち、ほのか、くらっちと絡んで最後は水乃ちゃんというコースでした。るりなたんも乙華ちゃんも観る暇がなかった、次回は是非…!
 そして男役たちがざかざか階段を降りてきて、こっちゃんも娘役ちゃんの陰でさっとお着替えして、またまたデーハーなピンクのお衣装でバリバリ踊ります。そしてここのかりんさんがさー! なんかマジでスターの自覚がやっと出てきたというかギアが一段入ったというか、『ベアベア』を経て今回ポスター入りもしてついにスイッチひとつ入ったんじゃないかい!?と刮目させられました。いつも楽しそうにやってるなー、とは眺めていたんですけれど、そしてなんせスタイルがいいし(イヤ見せ方もちょっとずつ上手くなっていて、決してただ天然なだけでやっているわけではないこともわかっています)華があるのでそれで十分成立してきたんですけれど、でもこんなに「俺だけを見ろ!」みたいなオラついた圧や「俺を見てくれた? ありがとうね(キラッ)」みたいな笑い方やウィンク飛ばすような色気なんて、こんなにこんなに発散してるの今まで観たことなかったよ…!?!?とオペラを持つ手が震えましたよね…!!
 こっちゃんがハケてせおありセンターになってから、後半には景気のいい手拍子。これも楽しかったです。
 デュエットダンスはこれまたシックな、銀鼠オリーブグリーンみたいな不思議な色のお衣装で、こっとんコンビニしては実にオーソドックスな、つまりバキバキ激しく踊るいつものこのふたりのデュエダンではなくてしっとり優雅な振りで、それもとてもよかったです。でもこれでこのあとこのふたりのコンビがしばらく観られないの…?という寂しさもありました。
 パレード、エトワールはうたち。きゃわいかったよー! くらっちはぴーと並んで降り、かりんさんが堂々の四番手ポジションでセンターをピン降り。ダブルトリオの最上手が乙華ちゃん、かーわー! そしてここのひっとんのどうしたここだけジャガピーかはたまた魔法少女か!?みたいなピンクのミニスカにグリーンのロングブーツ姿の激カワなことよ! そのままお人形にして売ってください、せめてアクスタを…! こっちゃんはブルー、雉羽根もナイアガラもとても豪華。大羽根はふたりだけだったので、最後の銀橋下手先頭はひっとんの方が見目はよかったでしょうが、ここは餞かせおっちでしたね。下手はなっちゃんの内がまゆぽん、くらっち、かりんさん、せおっち。上手はみきちぐの内はもうぴー、ありちゃん、ひっとんだったかな? まあそうなりますかね。かりんさんはスチールもありちゃんの次で組長の前、コメントページもありました。わかりやすい…!
 カテコはまあフツーだったかな。まゆぽんとの14年ぶりの共演に触れたり、外の荒天に触れたりしていました。開演時間変更への謝罪もありましたが、拍手はなく、よかったです。謝ってもらうことじゃないのよ、大丈夫よ…と伝えたいです。
 退団者や専科異動もあり、このメンバーで揃って舞台に立てる奇跡を噛み締めて…みたいなことを語り、「噛み締めて、ってもう四回くらい言いましたね、私」とか笑うこっちゃんが可愛かったです。滝汗でさすがにちょっとしんどそうで、全力投球だったんだな、でもホント素晴らしかったよ、これからはよりリラックスして緩急つけて着実にやっていけばいいからね、などと念じていたのですが…が……
 八日いっぱいまでの中止の発表…「出演者の体調不良が判明」とされていますし、コロナが5類になって今は隔離が五日間だから、みたいなことなのかもしれませんが、ご本人がどの程度しんどいのか、五日で出てきてホントにもう周りに感染させないのか、とかは正直わからないわけで、やはりちょっと厳しいですかね…新公もお稽古が進まないとなるとしんどいかもしれません。ああぁ、ホントいろいろ心配…今は信じて、祈って、せっせと感想のお手紙を応援している生徒さんたちに書きたいと思います。
 宙組の東京公演の方だっていつ何時…と思うとホント心配で仕方ありません。なんせ今の政府は何もしてくれなくて、子供を増やすどころか自分の周りのオトモダチ以外の国民は滅んでもいいとすら思ってるんじゃないかいな、なことしかしない集団なので、自衛しかありません。私も引き続きマスク生活は続けて、会社に申請できるテレワークはフルに使って在宅勤務に籠もり、うがい手洗いをし続けたいです。
 劇団はどうぞ生徒とスタッフのケアを、払い戻しその他大変でしょうし痛手でしょうが、なんとかがんばって対応してくださいませ。そしてマジで、本公演の上演期間を四ないし五十日に延ばし週八回程度の公演回数にして休演日を増やし、生徒もスタッフも上手く休める体系を作ることを検討していいと思いますよ…! あと、ここ二十年くらいでシステムとして固まりすぎているので、たとえば別箱主演は明らかな番手スターじゃなくても任せてみる、みたいな分散があってもいいと思います。私が見始めるちょっと前くらいまで、けっこうあったようなんですよね、そういう別箱公演って。組が二、三の別箱に別れるとき、トップコンビはお休み組にいたっていいじゃないですか。それじゃ集客が…とか言うなら、それを考えるのが経営側の仕事だろう、と言いたいです。あとは別箱が同時に上演されるんじゃなくて、順次公演されるようにするとか。その間別チームはお休みできるわけです。なんとでもできることはあると思うのよー!
 とにかく今までのようなペースで新作をバンバン出していくのはもう無理でしょう、演出家だってフル回転ですし。パフォーマンスとしてのクオリティが落ちるだけですし、それでもいい、なんでもいい、と言うようなファンとのチキンレースを続けても、あまりいいことはないと思うのです。百五十周年、二百年と続けていこうと思うのなら…

 私が安く取っていた帰京の便は無事に運休を免れ、二十分押しで新大阪駅を出てときどき止まりつつもなんとか進み、今のところ一時間押しで東京に着きそうです。JRにもホントお世話になっています、頭が下がります…おうちに着くまでが遠征です、あと少しがんばって、無事アップできますよう…!

 *追記。九十六分押しで無事東京駅に着き、その後はスムースに帰宅しました。車輌もSで、満席でしたがみなさまお静かで、快適でした。遠征はホント何があるかわからないものですが、天気予報もよく見て、行くならそれなりの準備と覚悟をして、誠実に向き合っているつもりです。まあ公演があってチケットがあるなら行くしか選択肢がないんだよ、とかは言っちゃうんですけどね…どうぞ全方面事故なく、無理なく、健康第一安全第一で…明日はぐーたらしたいと思います。
 おつきあいありがとうございました。






 



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