東京公演で改善されることを祈って…! お稽古期間も気持ち長いようだし!!
●第1場A プロローグA・ロンドン市内
ベン「シェイクスピア夫人?」
アン「ええ」
ベン「あなたをお迎えに参りました」
ここでアンに「ええ。あなたは?」と言わせて、ベンの名乗りを引き出したい。そして「ベンです。ウィルの劇団で劇作家見習いをしています」とかなんとか言わせたい。でないとこのあとずーっと「モンチの役の人、なんだったの?」ってなっちゃいます。名前も出てないし、劇中劇に出ていないから役者じゃないってことなの? なんなの?みたいな。かけるジェームズはたたずまいから劇団の座長っぽい感じがするからいいとしても(でも過去パートにいるし『ロミジュリ』大公としてカーテンコールに出ちゃってるし、微妙…)、ベンは扱いとしてもちょっとかわいそうすぎると思います。。
主要キャラクターには呼びかけるか名乗らせるかして早めにその名前を提示しましょう。名前が変わっても薔薇は薔薇、というのは詩だけでの話であり、名前がつかないと観客は登場人物をキャラクターとしてきちんと捉えられないのです。生田くん、ここ試験に出ますよ。
そのあとのアンの「結婚してすぐロンドンへ出ましたの」にも「彼は」と足したい。ウィルはロンドンにいる、彼女たちは今ロンドンに出てきた、だから迎えがこうして来ていて「彼とは久しぶりですか」なんだから。「彼が」がないと誰がロンドンへ出たのかわかりづらいじゃないですか。ささいなことですが、こういう親切さは大事だと思いますよ。
●第1場B プロローグB・劇場、ロミオとジュリエット
ウィリアム「いいな、台詞は僕が聞かせたように、自然な口調ですらすらと」
ここでもウィルに「いいなリチャード、」と言わせて、コマの役の人の名前を提示しましょう。彼は物語の鍵を握るキャラクターなのに、ずっと後まで名前が出てこないのは問題です。
そのあとのポープがコンデルを脅かして声を出させるくだりで、ポープの名前も出しておきたい。でないと彼はずっと「あっきーがやっていたパリスの人」になってしまいます。ストラットフォードでアンに求婚していた男と『ロミオとジュリエット』のジュリエットの求婚者をどちらも同じパリスという名前にするという無用なこだわりは、それを同じ生徒が演じていてそれが本当はトマス・ポープという役者の演じている役なのである、ということが伝わって初めておもしろさが出せるものなのですよ生田くん? 「パリスがストラットフォードから出てきてロンドンで役者になったの? なんで? ”ポープ”って誰?」とか思わせちゃ駄目なんですよ。
あと、この場ではまた帽子をかぶらせず、五月祭になってからかぶらせると、より舞台衣装感が出てパリスと素のポープとは違う役、という演出ができるのかもしれません。
● 第2場 6年前、ストラットフォード・アポン・エイヴォン(シェイクスピア家)
ジョン「何が書いてある」
ウィリアム「…台詞だよ」
芝居の台詞だよ、とした方がわかりやすいかもしれません。
そのあとのジェントルマン云々はジェントリとした方がいいんじゃなかろうか、というのは初日雑感に書いたとおり。
●第3場 6年前、ストラットフォード郊外、ウォリクシャーの森
ウィリアム「大丈夫? 怪我は?」
アン「痛い…けど、なんとか」
この「なんとか」は「なんとか大丈夫」とかの省略なんだろうけれど、怪我の有り無しを聞かれてるんだからありかなしかで答えるべきでは? それかウィルに「大丈夫?」と聞かせるかですよ。ねじれていて気持ち悪い。その前の木から落ちるときのアンの悲鳴の表記が「はわわ!」なのには目をつぶってやってもいいが(みりおんは最初の本読みでこのとおり発音したのかしら…)、こういうのはひっかかります。
そのあとのアンの「死んだ父さんの仕事を手伝っているうちに」も、「覚えたの」と続けたい。不必要な省略だな、と私はいつも耳障りに感じます。逆に「死んだ」はなくてもいいかも。
●第6場 6年前、ハサウェイ家の前空ハサウェイ家の中
パリス「こっちへ来るんだ」
アタマに「アン、」という呼びかけを足したい。その前の場面で読者は主人公であるウィルに感情移入しています。だからそこにこの台詞をぶつけられるとウィルに呼びかけているように聞こえるのです。でも違うでしょ? パリスはアンしか見ていなくて、アンに言っている。その視点の切り替えを観客に要求するためにも、こういう細やかな配慮が必要なのです。試験に出るよ。
●第9場 ロンドンでの生活・シェイクスピアとアン
ウィリアム「嫉妬してるんだ、父さんは!」
個人差があるかと思いますが、一般に「嫉妬」というと男女の色恋における意味合いがまず一番に想起されてしまうと思います。「僕の成功を妬んでいるんだ、父さんは!」とかにしてはいかがか。
●第17場 宮内大臣一座
ジョージ「お前…”アイアンメメイデン”されたいのか?」
何度も連呼させたり謎の動詞活用させても笑いは取れるかもしれませんが、台詞として意味がありません。アイアンメイデンが何かは一般常識ではありません。それが何か説明する台詞にしなきゃ意味ないです。
●第18場 酒場の外
リチャード「パトロン、役者、劇作家…確かに揃った」
その前に劇場は王宮、客は女王、と台詞にありますが、ここでも再度「劇場、観客」と足したいです。それでこそ確かにすべて揃った感が出るのですから。それでも足りない、ウィルにものを書かせるインスピレーション、ミューズ、愛の源であるアンがいないと駄目なんだ…ということになるのですから。
***
これだけですむなんて、やはりわりとよくできている作品なんだと思うなー!
ちなみにこの脚本つっこみはマイブーム第二期とっぱしの花『太王』からやっていると思うのですが、他に『TRAFALGAR』、『誰鐘』、『美生涯』、『華日々』なんかでも記事にしています。『華日々』は台詞をどうこうしてどうにかなるレベルの作品ではなかったと思っていますが、愛ゆえに書いたよね…(ToT)(『白夜』はどうにもならなさすぎて書けなかったよね…)
ブラッシュアップしての東上を心待ちにしています。
●第1場A プロローグA・ロンドン市内
ベン「シェイクスピア夫人?」
アン「ええ」
ベン「あなたをお迎えに参りました」
ここでアンに「ええ。あなたは?」と言わせて、ベンの名乗りを引き出したい。そして「ベンです。ウィルの劇団で劇作家見習いをしています」とかなんとか言わせたい。でないとこのあとずーっと「モンチの役の人、なんだったの?」ってなっちゃいます。名前も出てないし、劇中劇に出ていないから役者じゃないってことなの? なんなの?みたいな。かけるジェームズはたたずまいから劇団の座長っぽい感じがするからいいとしても(でも過去パートにいるし『ロミジュリ』大公としてカーテンコールに出ちゃってるし、微妙…)、ベンは扱いとしてもちょっとかわいそうすぎると思います。。
主要キャラクターには呼びかけるか名乗らせるかして早めにその名前を提示しましょう。名前が変わっても薔薇は薔薇、というのは詩だけでの話であり、名前がつかないと観客は登場人物をキャラクターとしてきちんと捉えられないのです。生田くん、ここ試験に出ますよ。
そのあとのアンの「結婚してすぐロンドンへ出ましたの」にも「彼は」と足したい。ウィルはロンドンにいる、彼女たちは今ロンドンに出てきた、だから迎えがこうして来ていて「彼とは久しぶりですか」なんだから。「彼が」がないと誰がロンドンへ出たのかわかりづらいじゃないですか。ささいなことですが、こういう親切さは大事だと思いますよ。
●第1場B プロローグB・劇場、ロミオとジュリエット
ウィリアム「いいな、台詞は僕が聞かせたように、自然な口調ですらすらと」
ここでもウィルに「いいなリチャード、」と言わせて、コマの役の人の名前を提示しましょう。彼は物語の鍵を握るキャラクターなのに、ずっと後まで名前が出てこないのは問題です。
そのあとのポープがコンデルを脅かして声を出させるくだりで、ポープの名前も出しておきたい。でないと彼はずっと「あっきーがやっていたパリスの人」になってしまいます。ストラットフォードでアンに求婚していた男と『ロミオとジュリエット』のジュリエットの求婚者をどちらも同じパリスという名前にするという無用なこだわりは、それを同じ生徒が演じていてそれが本当はトマス・ポープという役者の演じている役なのである、ということが伝わって初めておもしろさが出せるものなのですよ生田くん? 「パリスがストラットフォードから出てきてロンドンで役者になったの? なんで? ”ポープ”って誰?」とか思わせちゃ駄目なんですよ。
あと、この場ではまた帽子をかぶらせず、五月祭になってからかぶらせると、より舞台衣装感が出てパリスと素のポープとは違う役、という演出ができるのかもしれません。
● 第2場 6年前、ストラットフォード・アポン・エイヴォン(シェイクスピア家)
ジョン「何が書いてある」
ウィリアム「…台詞だよ」
芝居の台詞だよ、とした方がわかりやすいかもしれません。
そのあとのジェントルマン云々はジェントリとした方がいいんじゃなかろうか、というのは初日雑感に書いたとおり。
●第3場 6年前、ストラットフォード郊外、ウォリクシャーの森
ウィリアム「大丈夫? 怪我は?」
アン「痛い…けど、なんとか」
この「なんとか」は「なんとか大丈夫」とかの省略なんだろうけれど、怪我の有り無しを聞かれてるんだからありかなしかで答えるべきでは? それかウィルに「大丈夫?」と聞かせるかですよ。ねじれていて気持ち悪い。その前の木から落ちるときのアンの悲鳴の表記が「はわわ!」なのには目をつぶってやってもいいが(みりおんは最初の本読みでこのとおり発音したのかしら…)、こういうのはひっかかります。
そのあとのアンの「死んだ父さんの仕事を手伝っているうちに」も、「覚えたの」と続けたい。不必要な省略だな、と私はいつも耳障りに感じます。逆に「死んだ」はなくてもいいかも。
●第6場 6年前、ハサウェイ家の前空ハサウェイ家の中
パリス「こっちへ来るんだ」
アタマに「アン、」という呼びかけを足したい。その前の場面で読者は主人公であるウィルに感情移入しています。だからそこにこの台詞をぶつけられるとウィルに呼びかけているように聞こえるのです。でも違うでしょ? パリスはアンしか見ていなくて、アンに言っている。その視点の切り替えを観客に要求するためにも、こういう細やかな配慮が必要なのです。試験に出るよ。
●第9場 ロンドンでの生活・シェイクスピアとアン
ウィリアム「嫉妬してるんだ、父さんは!」
個人差があるかと思いますが、一般に「嫉妬」というと男女の色恋における意味合いがまず一番に想起されてしまうと思います。「僕の成功を妬んでいるんだ、父さんは!」とかにしてはいかがか。
●第17場 宮内大臣一座
ジョージ「お前…”アイアンメメイデン”されたいのか?」
何度も連呼させたり謎の動詞活用させても笑いは取れるかもしれませんが、台詞として意味がありません。アイアンメイデンが何かは一般常識ではありません。それが何か説明する台詞にしなきゃ意味ないです。
●第18場 酒場の外
リチャード「パトロン、役者、劇作家…確かに揃った」
その前に劇場は王宮、客は女王、と台詞にありますが、ここでも再度「劇場、観客」と足したいです。それでこそ確かにすべて揃った感が出るのですから。それでも足りない、ウィルにものを書かせるインスピレーション、ミューズ、愛の源であるアンがいないと駄目なんだ…ということになるのですから。
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これだけですむなんて、やはりわりとよくできている作品なんだと思うなー!
ちなみにこの脚本つっこみはマイブーム第二期とっぱしの花『太王』からやっていると思うのですが、他に『TRAFALGAR』、『誰鐘』、『美生涯』、『華日々』なんかでも記事にしています。『華日々』は台詞をどうこうしてどうにかなるレベルの作品ではなかったと思っていますが、愛ゆえに書いたよね…(ToT)(『白夜』はどうにもならなさすぎて書けなかったよね…)
ブラッシュアップしての東上を心待ちにしています。