駒子の備忘録

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『誰鐘』脚本ちょっとだけ(?)つっこみ

2011年01月19日 | 日記
 僭越ながら、またまた、脚本改訂案について、考えてみました。
 私は基本的に柴田作品ファンなので、「やみくもだねえ」なんかも全然OKなのですが、ちょっとだけわかりづらいなとか、いくつか思わないわけではなかったので…


●第一部第5場
 これは台詞じゃなくて動きですが、ロバートが下手に消えた後も、ゴルツは動かずにそのまま正面ないし上手を見たまま最後まで台詞を言い終えた方が良くないですかね。
 移動があると空間を感じさせるんだけど、そうするとロバートがゴルツをおいて退室してしまったようにも見えてしまうので。

●第6場
ピラール「お父っつぁんは元気かい、エル・ソルド…」
 ここ、「エル・ソルドは…」と助詞を置いた方がいいと思うんですよねー。

 そのあと、何度か出てくる「張り番」という言葉は、わからなくはないんだけれど、耳で聞いたときに理解が遅れる気がしたので、見張り、見張り番、にした方がいいかもしれません。

 ラファエルがダイナマイトのそばで煙草に火をつけようとして、ピラールにどつかれるくだり、遠くからだと小道具の煙草が見えづらいときもあるので、
「あの中はダイナマイトだよ! 煙草なんか吸って、引火したらどうするつもりだい!?」
 みたいな台詞があるといいかも。

 この場面ラストのラファエル、「醒めちまったよ」は、目が覚めたと酔いが醒めたをかけているのかもしれませんが、そもそも酔いつぶれて寝ていた、というのがわかりづらいので、やはり何か言葉を足した方がいいと思います。

●第7場
ピラール「それがパブロのせりふかい」
 「あのパブロ」とかにしたい。あるいは何か異名をつけて、「○○パブロ」とかにするとか。
 聞いていてちょっと違和感があるんですよねー。

●第10場
ロバート「捕まったら拷問を受ける。喋ったら味方が不利になる。俺たちは、走れなくなったら殺してくれと約束していたんだ」
 ちょっと説明が飛んでいる気がしたので、
「捕まったら拷問を受ける。拷問に負けて味方の秘密を喋ってしまうかもしれない。そんなことになるわけにはいかない…だから、俺たちは、走れなくなったら殺してくれと、互いに約束していたんだ」
 とかは、どうかな? くどいですけれどね…

●第13場
マリア「あたしは両親を目の前で殺された悲しみがあまりに大きかったので」
 どうにも説明くさく感じるんですよねー。
「両親を目の前で殺されて、あまりに悲しくて」とか、なるべく話し言葉にするといいんじゃないかなー。

●第二部第19場
アグスティン「味方の総攻撃が敵に漏れているんだ」
 「味方の総攻撃の計画が」としたい。細かいことですが。

●第24場
アンセルモ「何を盗んでいきやがったんだろう」
 「パブロは」と足したい。ここ、原作も映画も知らないと、誰が何をした事態なのかわかりづらいと思うんですよね。
 ホント言うと、ダイナマイトを入れたリュックを覗き込んでいるだけの仕草なのも、ちょっとヘンです。

ロバートの声「お前は数時間後の死をまだ知らずにいる」
 「おまえ」という二人称に威圧感や男性の上から目線を感じる、というのもありますが、ロバートはそういうタイプではない。
 「君は」がいいかな、とも思ったのですが、ここはむしろ「彼女は」という客観性を出してみるのはどうでしょう。
 ちなみに歌詞で「あなたを」と歌っているのは、ヘンだと思ったなあ。「君を」にしたいなあ。

ピラール「いろんなお芝居があったんで、あたしゃ、くたびれたよ」
 なんとしても変更してもらいたい。
 芝居の最中に「芝居」という言葉を出してもらいたくない、断じて。
 あと、ピラールがパブロを呼ぶときは「おまえ」でなく「おまえさん」と言わせたい。仮にも女房なんだし。ラファエルたちを呼ぶのと同じだと、ふたりが夫婦だという関係性がただでさえ見えづらいので、ただの仲間同士と混同されそうなので。

●第25場
 これは演出というか演技の問題ですが、ルチアの寝言は酔っているみたいでいつもなんかヘンに感じます。

 ゴルツとデュバルの電話の会話、デュバルの台詞も全部聞かせるべきだと思う。
 あと、ここ、わかりづらい。
 ロバートからの手紙によれば、敵にこちらの総攻撃の計画が漏れているらしい。この攻撃は奇襲でなければ意味がない。だから計画は中止しよう、橋の爆破も中止だ。
 だが最初の爆撃機はもう出てしまった、無線は傍受を嫌って切ってある、中止命令は届かない。爆撃機は爆撃をし、ロバートたちはそれを合図に橋の爆破をするだろう。
 だが敵はそれらすべてを折り込み済みで準備を終えているのだろうから、すべては無駄なのだ。反撃され、負けるだろう。戦争はもう敗北に終わったも同然なのだ…
 ということを語らないと、「終わった」って歌だけでは、観客はついていけなと思うよ。

●第26場
 アンセルモが流れ弾に当たって落命する間に、銀橋か花道でエラディオやフェルナンドが死ぬくだりを見せてもいいと思います。
 いつの間にか死んでいるの、寂しいもん…



***おしまい***

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