映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ローズマリーの赤ちゃん(1968年)

2015-03-09 | 【ろ】



 NYのとあるアパートに引っ越してきた新婚夫婦、ローズマリーとガイ。やがて、ローズマリーは待望の妊娠を果たすが、ただごとではない腹痛に数か月にわたって苦しめられる。

 だんだん、周囲の者たちが信じられなくなっていくローズマリー。しかも、長年信頼してきた親代わりのハッチが不審死し、遺品として彼女に渡された本には驚愕の事実が・・・!

 果たして、ローズマリーの周囲の者たちは何者なのだ!!!
  

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 もう一体、何回見たことやら、、、。最初に見た時の衝撃は今も忘れられません。そう、あれは、私が小学生の頃。たまたま家で一人で留守番をしていて偶然見てしまったこの作品。ローズマリーがアナグラムで謎解きに至る辺りから見始めたように記憶しています。当時の私にどれほど理解できたか疑問ですが、見終わった後、恐ろしくて家に一人でいられなくなって、外に遊びに行ったのでした。40年くらい前のことですわ。

 その後も、何度も見ていますが、見るたびにゾワ~ッとしますねぇ。怖いというより、不気味度満点。途中、ローズマリーを演じるミア・ファローのメイク(目の下が真っ黒なクマ)が、凄いです。

 今回、久しぶりに見て、本作はやっぱり名作だと改めて思いましたね。これ、下手すると、トンデモナイB級、、、いや、C級キワモノ映画に成り下がっていたと思うのです。だって、悪魔崇拝ですよ!? ポランスキーもよく手を出す気になったなあ、と。

 とにかく、この悪魔崇拝というものが本当にありそうと思わせる、じわじわとその謎が明かされていく過程が、実に巧みなのです。隣人のカスタベット夫妻は、最初はフツーっぽく、でも??と思わせる描写。なにしろ、その風貌――夫婦そろってピンクのファッション!!おまけにルース・ゴードン演じる妻ミニーはもの凄い毒々しい化粧――からして、異様です。でも、言動はマトモだったりと、違和感を上手く醸し出しています。

 そして、カサヴェテス演じる夫が、徐々に怪しくなっていく様も、実に微妙に、観客に「あれ?・・・あれ?」と思わせながら、じわじわと描写していくのです。

 だから、観客としては、どこで心理的に一線を引けば良いのか全く分からなくなってしまう。これってただのオカルトじゃん、と思えない不気味さに、知らず知らず呑み込まれていくわけです。

 上手いなぁ~、ポランスキー。弱冠35歳の仕事ですよ? 信じられません。

 もちろん、監督だけの手腕ではありません。ミア・ファローは、怯え、一人立ち向かう強さを、実に巧みに演じています。彼女のひときわ大きな瞳は、恐怖を演出するのに最適です。ファッションもすごく素敵です。若い妻ってことで、ミニが多いんですが、とてもよく似合っています。

 また、ルース・ゴードンは相変わらずの貫録振りで、シャーシャーと頭のおかしいカルト婆を演じておられます。すげぇ、、、。終盤、ローズマリーが肉切り包丁をショックのあまり取り落とし、床に刃が突き刺さるシーンがあるんですけれど、ここで、ルース・ゴードン演じるミニーは、淡々とその肉切り包丁を床から抜き取って、その後、床の傷をちゃちゃっと指で撫で隠すんですね。この狂った場面で見せるマトモな極々フツーの動作が、場面の狂いっぷりを強調していてイイです。

 男優陣も引けは取りませんよ。カサヴェテスはさすがの一言。ミア・ファローと並んで歩くと、頭のでかさが目立つけれども、まあ、それもご愛嬌。後半、悪魔に魂を売り渡すに相応しい雰囲気を見事に纏っていきます。で、一番、悪魔崇拝の信者としてハマっていたのが、カスタベット氏を演じたシドニー・ブラックマーですね。彼が終盤見せる“イッちゃってる”顔は、忘れられません。おぉ、気味悪っ!!

 正直、こんなに品のあるオカルト映画って、そうそうないと思うのですよ。特に、本作の場合、ホラー要素はほとんどありませんからね。オカルトだけで勝負しているのは、ある意味凄いと思うわけです(本作がホラーだと思う方を否定する意図はありません。飽くまで私的には、本作は、オカルトであってホラーでない、というだけ)。

 ま、ホラー要素抜きのオカルトで品性が感じられてなおかつ怖い映画って言うと、本作と、あとは『チェンジリング』(1980年)くらいしか思い浮かばないわ。オカルト映画の代表作みたいに言われる『シックス・センス』なんてホラー要素バリバリな上に、夢オチに等しいサイテーなラストで、私的には全く好みでないのよね。『シャイニング』は、どっちかってゆーとホラーだと思うし。

 ・・・というわけで、最後はオカルト論議になってしまいましたが、そんなこととはカンケーなく、本作は、純粋に面白い、良い作品だと思います。オープニングの哀愁漂うテーマ曲をバックに空撮で映し出されるダコタ・ハウスが雰囲気をよく醸し出していて、もうここで鷲掴みにされてしまいます。

 そう、何が恐ろしいかって、悪魔とかお化けとかじゃなく、人間なのです。自らの出世のためには、愛すべき我が子でさえ悪魔に売ってしまう、その心。これが本作のキモでしょう。、、、自分にはあり得ないと思いますか? いえ、人間は弱くて愚かなのです、本質的に。自分を過信してはいけません。


 


ローズマリーの産んだ赤ちゃんは、、、!?




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