映画 ご(誤)鑑賞日記

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愛する映画の舞台を巡る旅Ⅰ ~コペンハーゲン(デンマーク)~その②

2017-08-02 | 旅行記(海外)


**ハムレットの舞台クロンボー城の地下牢に幽閉されたカロリーネ・マチルデ** vol.2
 




その①につづき

 “地下牢は真っ暗”という事前情報の通り、マジで真っ暗でした。本当に、照明はおろか、非常灯も何もない。これ、火事とか起きたらどーすんの?? と、身も蓋もない疑問が頭をよぎる、、、。

 通路に出ると、辛うじて照明があって、ちょっとホッとする。



 これはかなり明るく撮れていますが(フラッシュのおかげ)、実際はこれでもかなり暗い方。牢のあるところは、まさに漆黒の闇です。

 こんな真っ暗な中を、どうやって歩くのか? はい、個人で勝手に照明を用意するのです。入り口の売店で、懐中電灯のようなものは売っています。でも、観光客の皆さんは大抵、スマホの照明(?)を使っていましたね。私もそうしました。それでも、ゼンゼン暗い。暗すぎて、写真を撮る気にもならない

 暗い、ってこんなに心細く、不安になるものなのですね。かすかな灯があってもこれだけ不安で、とにかく明るいところへ出たいと気が急くものなのに、カロリーネ・マチルデは、恐らく、灯も何もなく、漆黒の闇の中に幽閉されていたのだと思われます。そう思うと、やはり、いくら王室大不倫劇の当事者とはいえ、かなり気の毒に思えてくるのでした、、、。



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 精神的に病んでいる(統合失調症といわれている)王クリスチャン7世のもとに嫁いできた、英国王ジョージ3世の妹カロリーネ・マチルデ。しかし、王は王妃を愛さなかった。そして、王の侍医となったドイツ人精神科医ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセは、王の絶対的な信頼を得、また王妃とも恋愛関係に落ちる、、、。

 デンマークじゃ知らない人はいないと言われる、この王室大不倫劇は、『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(2014)を見て初めて知りました。あまり期待せずに見に行ったのですが、これがなかなかどーして。グッとくる逸品で。


映画のパンフ


 何しろ、王の精神科医ストルーエンセを演じたマッツ・ミケルセンがとってもセクスィー。みんシネにも書いたけど、決してイケメンというか、美男という感じじゃないのに、ものすごい色気です。

 こんな精神科医がいつも傍をウロウロしていたら、おまけに芸術にも造詣が深く頭も切れるとなれば、そら、王妃でもクラッと来てアタリマエ。肝心の夫は、何より王妃である自分を微塵も愛していないどころか、嫌ってさえおり、人前で公然と彼女を侮辱する言葉を口にするという、、、。これじゃあ、英国という先進国から嫁いできた小娘(結婚当初彼女は15歳)は立つ瀬がない。

 しかも、王自身、ストルーエンセを信頼して慕っており、三角関係というよりも、王にとって、自分の妻が信頼する侍医と恋愛関係にあることなど、ハナから興味もなかったことのよう。


クリスチャン7世とストルーエンセ


 ストルーエンセは、ドイツ人。貴族ではなく、ルソーの『社会契約論』を愛読する啓蒙思想家。教養あるカロリーネ・マチルデは、ストルーエンセの本棚に『社会契約論』を見つけたことがきっかけで、2人の心の距離が一気に縮まる、、、というのが、映画の描写だったのだけれど、史実的にも大きくここから外れてはいないらしい。カロリーネ・マチルデは、ストルーエンセの知性に惹かれたのだ。

 映画でのストルーエンセの描写は、なかなか巧妙で、史実では(政治的に)かなりえげつないこともやったとはいえ、そもそもは、啓蒙思想に基づく理想主義が根本にあるという点をフォーカスし前面に押し出すシナリオだった。王の信頼をバックに、演劇好きな王をストルーエンセがストーリーを仕立てて巧みに動かし、印刷物の検閲や、貴族の特権を廃止するという、ちょっと時代の先を行き過ぎた啓蒙主義的な政策を矢継ぎ早に進めた結果、貴族や、王の義母の反感を買い、足下を掬われたのだ。

 不倫発覚後、、、というより、不倫を口実に突如起きたクーデターにより、ストルーエンセは捕えられあっという間に斬首


斬首台に引きずり出されるストルーエンセ


 カロリーネ・マチルデはクロンボーの地下牢に幽閉された後、ドイツ・ハノーファーに近いツェレに追放され、数年後23歳の若さで病死する。毒殺されたという説もあるとか、、、。

 『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』は、演技の確かな主役3人による締まった展開で、見応えのある映画。見て損はない、、、はず。

 カロリーネ・マチルデと、王クリスチャン7世の間には、長男フレデリク6世と、長女ルイーセ・アウグスタが家系図には載っている。でも、長女ルイーセ・アウグスタはストルーエンセの子と言われており、肖像画にも、ストルーエンセの鉤鼻を受け継いだ顔が描かれているとか、、、。


この子こそルイーセ・アウグスタ


 しかも、その直系が、現在のスウェーデン王カール16世グスタフというのだから、歴史の流れとは恐れ入る。



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 この地下牢には、有名なホルガー・ダンスクの彫像があります。この彫像は、デンマークの彫刻家H.P.ピーダセン=ダンが1907年に制作したオリジナルのブロンズ像。



 ホルガー・ダンスクとは、万が一、デンマークに危機が迫った場合は目を覚まして闘うと伝えられている伝説の戦士。だから彫像はこうして、腕を組んで座ったまま眠っているのねぇ。

 その伝説によると、デンマーク王子であったホルガーは神聖ローマ帝国のカール大帝に人質として送られ、その奉仕中に偉業(どんな偉業??)を成し遂げたんだとか。もとはといえば、フランスのものだったホルガー・ダンスク(フランス語でオジェ・ル・ダノワ)伝説の歴史は、1000年以上前に遡り、民族意識が高まった1800年代、ホルガー・ダンスクはデンマークの強力国家の象徴となったんだそうな。

 まだ、一度もこのホルガー・ダンスクは目を覚まして闘ったことはないのだそう。これじゃ、目を覚ましても、足腰が立たなくて闘えそうにないよなぁ、、、。

 まあでも、そんな伝説に頼らずとも、クロンボーには頼もしい備えがあるのだ!!

その③につづく

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2 コメント

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私もロイヤル不倫したい! (松たけ子)
2017-08-04 22:49:55
すねこすりさん、こんばんは!
待ってました第2弾(^^♪今回も楽しく拝読😊
地下牢、怖いけど何だかダークな浪漫がありますね~。地下牢に幽閉とか、一生縁がなさそうな私。せいぜい泥酔して暴れて留置所で一晩、ぐらいですわ~。
カロリーヌ・マチルデの一生は悲劇的だけど、そういう破滅的な波乱とか情熱、憧れます。「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」のマッツ、いい男でしたね!アリシア・ヴィキャンデルも可憐だけどナヨナヨしてなくて良かった。コペンハーゲンにも行ってみたいな~。「リリーのすべて」でも街並みとか素敵だったな~。
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女王と一緒に埋葬されたくない!! (すねこすり)
2017-08-06 16:56:14
たけ子さん、こんにちは!
タイトルは、つい先日、デンマーク現女王の夫がそう宣言したのだとか…。新聞に載ってました。
記事を読む限りでは、どーも夫がただ器の小さい男みたいに見えるんですが、実態はどーなんでしょ? ロイヤルファミリーもいろいろタイヘンそうですよね。
泥酔して留置場で一晩明かす小市民がやっぱり幸せなのかも(?)。
ちなみに、我がパートナーは売られた喧嘩は必ず買う主義なので、これまでに留置場は数回経験してます パトカーから電話してきたこともありました 慣れましたけどね。
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