映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

執事の人生(2018年)

2019-11-23 | 【し】

作品情報⇒https://www.imdb.com/title/tt6712374/?ref_=ttmi_tt

 

以下、ポーランド映画祭HPより紹介記事のコピペです。

=====ここから。

 20世紀初頭の激動の時代、運命に振り回される男女のラブストーリーを中心に、45年にわたる家族のドラマが壮大に綴られる。またポーランド北部のポメラニア地方に生きるドイツ人、ポーランド人、カシューブ人の複雑な民族関係も鮮明に描かれる。監督は『王者のためのアリア』(79)のフィリプ・バヨン。

=====ここまで。

 

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◆ポーランド映画祭2019

 今年で8回目を迎えるという、ポーランド映画祭。昨年に引き続き、また『戦場のピアニスト』がかからないかなぁ~、と期待していたけど、やっぱりかからなかったね、、、。まあ仕方なし。でも、今年公開された『COLD WAR』や同じ監督の『イーダ』、ワイダの『灰とダイヤモンド』他、かなりマニアックそうなものまでプログラムはかなり魅力的。

 ……なんだが、いかんせん、ほとんど平日の昼間上映、、、ってことで、これだけは見たい!!と思った2作品『人形』『執事の人生』を見に行って参りました。

 『人形』は1968年制作で、今回は、デジタルリマスターによるリバイバル上映。原作本は、厚さが10センチくらいはあろうかという大著。本屋で何度も手に取ったり棚に戻したりを繰り返したけど、やっぱり棚に戻した、、、。映画祭のHPには「美しい令嬢に心奪われた貿易商の旅を描く幻想的な物語」と紹介されているとおり、ある男の成り上がり人生を悲哀を交えて描いている映画。19世紀後半のワルシャワの光景を再現していて、衣裳、美術などビジュアルでも楽しめる。

 でも、今回の映画祭で個人的にツボだったのは、何と言っても『執事の人生』。上記作品情報のリンク先はIMDbのもの。今回は、プレミア上映ということだったんだけど、これは絶対に日本で公開して欲しい!!

 

◆執事の人生

 1900年、ポーランド北部に暮らすドイツ人貴族クラウスが当主の屋敷で働くカシューブ人の女性マリアが男の子を産み落とし、死んでしまったため、クラウスの妻ゲルダが引き取り、マテウシュと名付けられる。

 マテウシュの父親は分からないが、同じ屋敷で働く馬番の男ではないか、と使用人たちは言う。しかし、クラウスは女癖が悪く、マリアもお手つきだった可能性が高い。ゲルダは夫と愛人の子かも知れないと承知の上で引き取ったのだ。

 マテウシュは、クラウスの息子や娘マリタときょうだい同然に育つが、マリタと相思相愛になる。貴族と使用人の恋など、認められるわけがないのは当然だが、この2人の場合、もしかすると異母きょうだいかも知れず、近親相姦の可能性さえあるわけで、ゲルダはマリタをドイツへ留学させる。一方、ポーランドが独立したことでドイツ人貴族のクラウスは土地を取り上げられ経済的に厳しくなったこともあり、マテウシュに「明日からお前は執事になれ」と唐突に命じる、、、。

 その後、マテウシュとマリタの許されぬ恋を軸に、クラウスたちが時代に翻弄されて行く様を壮大なスケールで描いている映画なんだけど、監督がビスコンティやフェリーニを崇拝しているというのも納得の、非常に素晴らしい歴史大河ドラマとなっていて、2時間半なんてアッと言う間だった。

 三国による分割統治でポーランドが地図から消えていた時代に始まり、ポーランド独立、ナチスの侵攻、第二次大戦、ソ連による統治、、、と、時代の荒波が容赦なくマテウシュたちにも襲い掛かる。本作は、ナチスによるカシューブ人の虐殺「ピアシニツァの虐殺」が描かれた初めての映画だそうだ。そもそも、カシューブ人も、ピアシニツァの虐殺も、今回、本作を見て初めて知った次第、、、。

 ちなみに、ドイツのメルケル首相、EUのトゥスク大統領もカシューブ人とのこと。「ピアシニツァの虐殺」では、主に知識人を中心に殺されたという(カティンの森と同じ理由。こっちはソ連による虐殺だけど)。本作では終盤に虐殺シーンが淡々と描かれる。

 この虐殺を辛うじて逃れたマテウシュだが、ドイツ人だったクラウスやゲルダは、戦後、ソ連軍により呆気なく殺される。この辺りの悲惨なシーンは、ビスコンティというより、クストリッツァの『アンダーグラウンド』のワンシーンとダブってしまった。

 とにかく、150分にあれもこれもとメチャメチャ盛りだくさんな内容なのに、ほとんど破綻もなく、いくつか謎のままの伏線もあるけど、この壮大なるドラマの前には些末なことにしか感じない。

 何より、軸となる許されぬ恋の主役、マテウシュとマリタを演じる俳優さんたちが、2人ともすんごく魅力的。普段、私は作品内の画像は貼らない(メンドクサイから)んだけど、今回はいくつか貼っちゃいます。今後、公開されるかどうかも分からないので、IMDbの画像サイトのリンクも。

 絶対的な美男美女、、、という感じでもないんだけど、とにかく素晴らしく美しく魅力的な2人。2人ともポーランド人ぽいお名前な気がするが、ポーランドでは有名な俳優さんたちなんだろうか。

 衣裳や美術、音楽も良くて、まあ、これぞ映画!!って感じの映画でありました。

 あーーー、配給会社様、どうか来年、日本で公開してください。お願いします。必ず劇場に行きます。お願いします!!

 

 

 

 

どうしても、もう一度見たいっ!!!

 

 

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8 コメント

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Unknown (Lunta)
2019-11-24 12:06:11
ポーランド映画祭って毎年やってるんですね。
まったくノーマークだった。
アンジェイ・ワイダの建築に関する映画、見に行きたかったな。
ご紹介の映画はあらすじだけ読むとベルトルッチの「1900年」みたい?
ポーランド航空の機内ではどれを見ればいいのかわからなくて結局短編1本しか見なかったので、劇場公開されたら見に行きたいです。
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Unknown (すねこすり)
2019-11-24 21:28:37
Luntaさん、こんばんは!
今年で8回目だそうです。私もポーランドのファンになるまで知りませんでした(^^;
面白そうなのが沢山あって、他にも、ジャザのポランスキーの短編集とか見たかった…。
ベルトルッチの1900年、未見なのですが、背景はまんま被ってますね! イケメン執事の執事ぶりもカッコ良かったです♪
公開されたら是非ご覧ください!
ポーランド航空、Luntaさんの旅行記拝読しましたが、一度は乗ってみたいです!
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ランドならディズニーよりポー (松たけ子)
2019-11-25 01:12:11
すねこすりさん、こんばんは!
ポーランド映画祭!いいなあ~。いろんな国の映画祭が催されるお江戸って、ほんま田舎の映画ファンにとっては夢の国じゃのお~。
この映画、とっても佳さそうですね!観たい!貴族社会、ドラマティック、イケメン…ああ、私の大好物ばかり!ポーランドの貴族社会って、イギリスのそれと比べてどんなものなのかも気になります。
ポーランド航空、私も一度は利用してみたいわ~。ああ私も旅がしたい…海外より天国に旅立ちそうな今の心身ですが(^^♪
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Unknown (すねこすり)
2019-11-25 19:42:08
たけ子さん、こんばんは〜☆
東京は、息するだけでお金が飛んで行くコスパ最悪な場所ですが、まぁ、映画とか音楽とか外国のものが取り敢えず来るのは良いですね。
この映画、ホント、ツボでした〜! 私も貴族社会、ドラマティック、イケメン、だーい好き(*^^*)
本作の場合、貴族と言ってもドイツ人貴族なんですが、それはそれは素敵なお屋敷でござんした。「人形」の方はポーランド貴族なんですが、いかんせん落ちぶれた家という設定で、優雅とはちょっと違いましたね(ーー;) 同じ頃を描いているドラマ、ダウントンアビーともちょっと雰囲気違いましたが、どちらも目に楽しいです♪
嗚呼ポーランド、また行きたい!!
返信する
ポーランド映画 (フキン)
2019-12-01 14:13:02
京都でもポーランド映画祭やってたんですよ♪

私も絶対観たい作品があったんです!!
でも、とある理由により行けませんでした‥。泣
「執事の人生」めっちゃ、気に入ってるじゃないですかー♪笑
まさかの画像アップ!!!???

こちらの作品と「人形」も気になってたんです、私も。
p映画祭って毎年来るんですか??
来年も???
だとしても、上映一回こっきりって・・なかなか意地悪ですよね。
それにしても、「ぼくのエリ・・」未見だったんですね。意外でした。
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Unknown (すねこすり)
2019-12-01 21:31:14
フキンさん! ブログ拝見しました!!
えー、私、今までフキンさんのブログ存じませんでした。
あの日のように抱きしめて、私も好きです。ニーナ・ホスのファンになりました(^^)
これから通わせていただきます♪
そうそう、私も「尋問」見たかった( ; ; )
期間も短いし、平日昼間がほとんどだから、見たいのを全部見るのはなかなか厳しいです。「人形」は土曜日の初回、早めに行ったんですが長蛇の列で、始まりも10分以上遅れたんですよ。あんだけ並んでるんだから、少し開場早めるとか、臨機応変に出来ないものかと思いました。
毎年開催されているみたいですが、上映作品が発表されるのも割と直前なので、スケジュール合わない人も多いでしょうね…。京都は日程がさらに短いみたいなので、貴重な作品が1度きりの上映とかになっちゃいますよね。
ええ、執事の人生、ハマっちゃいましたわん(*^^*) 柄にもなく画像まで貼っちゃいました。イケメン執事、私も欲しい…♪ あ、でも四六時中イケメンが側にいたらリラックスできないですね(^^;
日本で公開して欲しいです。公開されたら、是非フキンさんにも見ていただきたいわ〜☆
ぼくのエリ、吸血鬼モノだと侮っておりました。面目にゃい(・・;)
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執事に夜伽を命じる (松たけ子)
2020-07-12 21:32:18
すねこすりさん、こんばんは!
この作品!やっと観ることができました!今頃になって広島でもポーランド映画祭。「イーダ」とか「尋問」もっ観たかったけど平日!運よくこの作品は日曜だったので観ることができました。
貴族ものが好きなので、お屋敷も衣装も風景もすごく目に楽しかったです!イギリスの貴族とはまた違ったテイストが興味深かったです。私も大勢の使用人にかしずかれて暮らしてみたいわ~。
でもラスト近くになって怒涛の悲劇、もうヤメテー!!😨😢でした。ドイツ人もロシア人も嫌いになりそう。
執事役の俳優さん、イケメンでしたね~。冷たい野性味。ちょっとヘルムート・バーガーをワイルドにして、内野聖陽をキツくスマートにした感じに見えたのは私だけでしょうか。

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Unknown (すねこすり)
2020-07-13 18:40:43
たけ子さん、こんばんは☆
なんと! 広島で! 今!! そーでしたか!
わ〜(*^▽^*) 嬉しいです、たけ子さんも見てくたさったなんて! レビュー、お待ちしてます♪
今、広島で上映ってことは…、道理で今年公開されない訳ですね。首を長くして待っているんですが。来年には公開されるかなぁ。もう一度見たい〜〜!
そそ、お屋敷とか衣装がすごく素敵ですよね〜♪ 大勢の人にかしずかれる生活、一度は経験してみたいけど、慣れない身には疲れそう(^^;
そうなんですよ、後半が淡々とヘヴィなんです。前にネットでどなたかが書いていましたが、ポーランドはロシアとドイツというヤクザに両脇を抱えられた国、ってまさにそのとおりだなぁ、とポーランド関係の歴史映画見る度に思います。
(ヘルムートバーガー+内野)÷2ですか? え゛〜〜〜( ´∀`) 冷たい野性味! そう、それそれ! 私の大好物(*´꒳`*)
あ゛ー、ダメだ、もっかい見たくて死にそうヽ(´o`;
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