映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ロング・グッドバイ(1973年)

2014-06-02 | 【ろ】

★★★★★★★★☆☆

 原作未読。先日、NHKでドラマ化されていたのを見たので、アルトマン版を見てみようと思いました。

 もう、冒頭の5分でシビレました。なんなんでしょう、あのオープニングの素晴らしさは! ネコとマーロウ。このシーンだけで、本作は一見の価値ありと思いました。いやもう、マジで、惚れてしまいました。

 でもって、あの、マーロウの住む不思議な建物。お向かいに住む、これまたおかしな女たち。どうしてこんなシチュエーション、描けるんでしょうか。もう、やっぱりアルトマンは天才だとしか思えませぬ。

 そして、アルトマンお得意のダラダラ展開。この一見、ムダと思える描写の数々がどれ一つとしてムダでないことが最後に分かるという、、、。うー、アルトマン好きだったけど、本作でダメを押された気がします。愛してしまったかも、アルトマン!!

 なんといっても、マーロウ演じるエリオット・グールドが素晴らしいです。どうしてああいう、一見ダメっぽいヤサグレた雰囲気を醸し出せるんでしょうか。頻繁に擦るマッチと吹かす煙草の煙、だけじゃないでしょう、それは。もの凄いピンチな場面でもヘラヘラ笑っているマーロウ。女にもヘラヘラしているけど、女たらしって感じもない。とにかく、マーロウというキャラに全然気取った嫌味がない。これが素晴らしい。そんな彼が明らかに心惹かれていると分かるのがアイリーンですが、だからこそ、ラストはあのような展開にならざるを得なかった、ってことでしょーか。

 でも、私は、マーロウの人間性から言って、あのラストは、やはり違うと言いたいのです。エリオット・グールド演じるマーロウならば、テリーに冷笑を送って踵を返し、そして、本作のシーン通り、あの一本道で最後にアイリーンとすれ違ってもおもちゃのハモニカを吹かして去っていく、ではないでしょーか? それが、マーロウの美学ではないでしょうか?

(ちなみにリンク先のあらすじには、ハリーとありますが、作中では確かにテリーと言っております。単なる間違いと思われます)

 と、思ったけれども、いや、やはり本作通りの展開が一番しっくりくるのかも、という気もしてきました。一見ヘラヘラでも頭の良い男気ある彼だからこそ、きっちりケリを付けずにいられなかった・・・。うーん、アルトマンはこっちを選んだんだよなぁ。

 どうやら、NHKのドラマの方がかなり原作に近いようです。私は、浅野忠信の演技はなかなかだったと思うけれども、ちょっと頑張っちゃってる感が見ている方に伝わってきてしまった気がするし、小雪はどうも役に合っていない気がして、ものすごくNHKが気合い入れているのが分かっただけに、残念だなー、と思ったのですが。こんなもの凄い映画が既に世に出ていたのに、NHKもドラマ化に手を出すなんて勇気ありますね。出来はともあれ、その意気込みは素晴らしいと思います。

 ところで、冒頭シーンのネコはあの後ずっと出てきません。本当にいなくなっちゃった、ってことなんでしょーか。マーロウの下へ帰ってあげてよ、ネコちゃん。原作にも出てきたんですかね、ネコ。読んでみましょうかね、春樹訳じゃないのを。

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