映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ハウス・オブ・グッチ(2021年)

2022-01-22 | 【は】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv74864/


以下、wikiよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。

 世界的ファッションブランド「グッチ」の創業者一族出身のマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)にとって経営参加は魅力的には映らず、経営権は父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)と伯父アルド(アル・パチーノ)が握っている状態だった。

 そんな中、グッチの経営権を握ろうと野心を抱くパトリツィア・レッジアーニ(レディー・ガガ)はマウリツィオと結婚し、グッチ家の内紛を利用して経営権を握っていく。しかし、一族間の対立激化と共に夫マウリツィオとの関係が悪化し、夫婦間の対立はやがてマウリツィオ殺害事件へと発展していく。

=====ここまで。


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 それにしても、ギャスパー・ウリエルの事故死ニュースには驚きました。20日の朝、職場でコーヒーを飲みながらネットをボケ~っと見ていたら、「ギャスパー・ウリエル氏死去」の文字に、思わず「えーっ!?」と声を上げてしまい、一気に覚醒しました。

 スキー事故。確かあのシューマッハもスキー事故だったのでは、、、。しかも衝突した相手の方は無傷だったとか。相手の方もやりきれないでしょうね、、、。ウリエル氏はノーヘルだったと書いてありましたが、考えてみれば、スキーは生身の人間が時速数十キロで滑降しているわけですから、かなり危険なスポーツなのですね。スキーなんてもう何十年もやっていませんが、スキーでヘルメットなんてかぶっていた人、当時のスキー場ではほとんどいなかったと思います。当時は、スノボなんてなかったし、、、。

 ウリエル氏、フランスの映画界にとっては貴重な人材だったはず。残念です。彼の出演作をいくつか見てきた者としても、かなりショックです。もっといろんな彼の演技を見たかった。

 小さなお子さんもいたとのこと。亡くなるには若過ぎる。彼の映画デビュー作『ジェヴォーダンの獣』を見て、ささやかながら偲びたいと思います。

 ……で、本作ですが。大分前(調べたら98年だった)に、グッチ家の悲劇をNHKスペシャルの「家族の肖像」シリーズでオンエアしていまして、その内容がかなりショッキングだったのですね。番組は、本作のネタとなった事件の後日談で(三代目当主ロベルトのブランド再建の話)、本作で登場する人物はほとんど出てこなかったんだけど、あの番組の前提となった事件が描かれる映画ということで、劇場まで見に行ってまいりました。


◆グッチ家崩壊は既に始まっていたのだ。

 大体の筋は分かっているとはいえ、マウリツィオがあまりにも世間知らずのおバカで、終始、呆れて見ておりました。パトリツィアにとっては、彼を落とすことなど、赤子の手をひねるより簡単だったに違いない。

 一体、彼の父親ロドルフォはどういう教育をしてきたのか。金持ちのぼんぼんなら、処世術もある程度は教えておけよと。弁護士を目指していたそうだが、勉強ばっかりしていたのだろうか、、、。人を見る目って、育つ部分もあるけど、持って生まれた能力もあるから、親のせいばかりとは言わないが、無菌室からいきなり汚染地帯に放り出したら、そりゃああなるわね、、、としか。

 よくある三代目問題ですな。そして、やはり同族経営というのは限界があるんだろう。私の知り合いの会社も、創業者がすごい頑張って軌道に乗せて、息子の一人に社長を譲り、自らは会長だか何だかで院政を敷いていたんだが、経営陣にいた創業者の兄弟と揉めに揉めて、結局、創業者たちの方が会社にいられなくなり分裂していた。

 でも、お家騒動の一番の被害者は、そこに努める社員たちなんだよねぇ。騒動の当事者たちは勝手にやってりゃいいけど、社員たちにしてみりゃ、ホントいい迷惑だと思うわ。グッチの職員たちも、さぞや大変だったに違いない。アラブの富豪に経営権が渡ったのは、働く環境の安定という意味では、むしろ社員たちにとっては良かったのかも。

 マウリツィオの悲劇は、パトリツィアの本性を見抜けなかったことと、自身に経営能力がないことが分からなかったこと。でも、仮にマウリツィオが経営に携わらなかったとしても、グッチ家によるグッチの運営は早晩行き詰まっていたのは火を見るより明らかなわけで、グッチ家の悲劇は、マウリツィオとパトリツィアの結婚前から既定路線だったのだと思うな。

 とはいえ、マウリツィオが暗殺されたのは、確実に“パトリツィアと結婚したから”だけどね。マウリツィオにしてみれば、自業自得にしては、あまりにも代償が大き過ぎる。


◆豪華出演陣とか、、、

 本作では、グッチ家の崩壊の根源みたいな描かれ方をしていたパトリツィアだが、演じたのはレディー・ガガ。ガガ様の歌も演技も、私は全然知らないので、本作がガガ初見に近いのだけれど、なかなかの好演だったと思う。

 印象的だったのは、マウリツィオとの出会いのシーン。マウリツィオが自己紹介で「マウリツィオ・グッチだよ」と名前を言った瞬間のガガ様の目!!! ギラッ!!とロックオンした瞬間が実に見事だった。あと、殺し屋にマウリツィオ殺害を依頼するシーンの下品さ(というか、下劣さというべきか)全開なところとか。内面を演技で表現するって、まあそれが役者の仕事とはいえ、難しいと思うが、ガガ様、お見事でございました。

 マウリツィオと、自身の父親の会社の事務所でセックスするシーンとか、ほとんどコメディで苦笑してしまった。全然セクシーに描いていない。これが、彼らの結婚の本質を暗示しているようで、笑えるけど笑えないというか。傍から見れば、実に珍妙な結婚だったのだ、やはり。

 マウリツィオが父親のロドルフォとパトリツィアを会わせるシーンもねぇ。私でも見ればすぐに分かるクリムトの絵を「ピカソ?」とか言っちゃうパトリツィア。ほかにも教養のなさ過ぎなのを発言の端々で露呈させる。ジェレミー・アイアンズ演ずるロドルフォは、しかし、露骨に本人に嫌悪感を表すような無粋なことはしない。そして、彼女がいなくなった後の「トラック屋の娘だぞ!」とひどい侮辱の仕方。その対比が凄い。実際がどうだったのかなど知る由もないが、アイアンズのニヒルな雰囲気が、より一層違和感を物語る。

 アルドを演じているのがアル・パチーノだって気付いたのは、中盤になってからだった。それくらい、分からなかった。歳をとったとか何とかよりも、全体的な雰囲気が、何か別人やった。いきなり「コンニチハ! サイキン、ドオ?」なんて日本語しゃべりながら現れるから余計に、、、。このアルドというお方は、かなり早い時期から日本進出を考えていたそうな。ゴテンバなんて地名もセリフに出てくる。

 もっとビックリしたのが、アルドの次男・パオロを演じていたのがジャレッド・レトだったこと! なんと、私は後からネットを見て知りました! ガーン、、、、。だって、頭髪も顔もゼンゼンちゃうやん!! このパオロがまた、悪い人じゃないんだけど、悪いのよ、頭が。多分、実際よりおバカっぽく描いているのだと思うけど。ロドルフォに自身のデザインをダメだしされた腹いせに、ロドルフォお気に入りデザインのスカーフに小便を掛けるシーンとか、もう、見ていられなかった、、、。

 殺されちゃうマウリツィオを演じていたアダム・ドライバーは、序盤から人の好さそうなぼんぼん感を出し、後半パトリツィアを突き放すときも冷酷という感じでもなく、良くも悪くも“イイ人”。唯一、感情を露わにしたシーンは、経営権を譲渡するところだけど、それもこれも、自身の人を見る目のなさが招いたことなのよね。気の毒ではあるけど、あまり同情する気持ちにもならなかった。

 中盤以降は、パトリツィアの描写が減って、グッチ家のいざこざの内容も分かりにくくとっ散らかっている印象。パトリツィアとマウリツィオ夫婦から焦点をずらさない方が良かったのでは。

 グッチ家は、本作に対して抗議しているらしい。ま、そらそーでしょうな、、、。

 冒頭に書いたNHKスペシャルの「家族の肖像」では、ロベルト(パオロの弟)の娘(確か長女だったと思う)が修道院に入る話があった。一族の争いに絶望し、神に仕えることを選んだ、、、のだったと思うが、ロベルトが修道院にまで娘を訪ねて翻意させようとしたが、逆に娘の心情を聞いて、諦めるシーンがとても心に残った。娘の気持ちがすごく分かる気がして、胸が苦しくなったのを覚えている。自分の意思でどうにもならない事態に現実が動いて行ってしまうとき、もう残された道は俗世を捨てることしかない、、、というのは、私にもあったから。私は実行力がなかったので、現実に流されるままになってしまったけれど。父親の側から見れば、確かに悲劇的かもしれないが、娘さんにとっては唯一の生きる道だったのだと思う。

 もう一度、番組を見たいと思ったけど、簡単には見られそうもなくて残念。再放送してくれないかしら。とりあえず、番組を書籍化しているみたいなので、図書館で予約しました。

 

 

 

 

 

 

 


またセリフがイタリア語みたいな英語だった、、、

 

 

 

 

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2 コメント

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ハウス・オブ・愚痴 (松たけ子)
2022-01-23 22:31:57
すねこすりさん、こんばんは!
ギャスパー・ウリエルの急死はショックすぎて、いまだに受け入れられずいます…
グッチ家、お話よりもキャストの個性と演技が楽しかったです(^^♪ガガは悪女というより鬼嫁って感じ?ジャレッド・レト、原型とどめてないじゃん!アホ演技も笑えた。弁護士のドメニコがイケメンで気になって仕方なかったです。ドメニコと若きトム・フォードって、BL関係だったのかしらん?
心憂いことばかりで、私も修道院に入りたい今日この頃です…
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Unknown (すねこすり)
2022-01-24 21:04:02
たけ子さん、こんばんは☆
ウリ坊、、、なんてもう呼べない
本当に残念。
グッチ、シリアスな顔して、ちょっとコメディでしたね。
ドメニコ、怪し過ぎ!! あんな男を信じちゃうマウリツィオは、ホンマにぼんぼんですな。
トム・フォードとBL? ありそう。美男美男ですからね。
ガラスの動物園、どーでした? また感想読ませてくださいね~!!
ドライブマイカー、見てきました♪
やっぱハルキーでした、、、ガーン(-_-;)
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