映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

帰れない山(2022年)

2023-06-12 | 【か】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv80483/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。
 
 都会育ちで繊細な少年ピエトロは、山を愛する両親と休暇を過ごしていた山麓の小さな村で、同い年で牛飼いをする、野性味たっぷりのブルーノに出会う。まるで対照的な二人だったが、大自然の中を駆け回り、濃密な時間を過ごし、たちまち親交を深めてゆく。

 やがて思春期のピエトロは父親に反抗し、家族や山からも距離を置いてしまう。

 時は流れ、父の悲報を受け、村に戻ったピエトロ(ルカ・マリネッリ)は、ブルーノ(アレッサンドロ・ボルギ)と再会を果たした。

=====ここまで。


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 大分前にチラシを目にしたときから見たいと思っていた本作。なかなか上映時間と都合が合わずに、これはこのまま終映か、、、と諦めかけていたところに、たまたま運良く都合がつきましてようやくスクリーンで見ることができました。

 ……と思って見に行ったら、いきなり、あり~?と。だって、スタンダードサイズなんだもの。雄大な山の風景をワイドスクリーンで見られるのだとばかり思っていたので、、、。でもでも、そんなのは始まって数分もしないうちにどーでもよくなりました。それくらい、映像美と音楽、ストーリー、何より主演2人の素晴らしさに引き込まれたからです。


◆人生いろいろ、男もいろいろ。

 少年時代のピエトロとブルーノの交流が、汚れ切ったおばさん(私)の心を浄化してくれる。2人が互いに距離を測りつつ、少しずつ、、、いや、あっという間に親しくなる様が見ていて微笑ましい。

 ピエトロのお父さんと、少年2人の登山シーンがなかなかスリリング。クレバス(?)を越えるシーン。お父さんとブルーノは何とか飛び移るんだが、それもまあまあ怖いんだけど、ピエトロが高山病で息苦しくなって「ダメだ、、、」ってなる直前に頑張って飛び移ろうとするところなど、もう怖くて手に汗握ってしまった。私がお父さんだったら怖ろしくて「頑張って飛べ!」なんてとても言えないなぁ、、、などと思いながら見てたので、お父さんがピエトロに「大丈夫か?」と言って、ちゃんと引き返してくれたときは、ホッと胸を撫で下ろしました。

 これ見ていて、「プロヴァンス物語」をちょっと思い出していた。都会っ子マルセルが夏にやってくる山で少年リリと出会って、友情を育むお話。2人には哀しい未来が待っていて、映画ではそれはサラリと最後にナレーションで流れるだけだが、少年時代のキラキラとのあまりのコントラストに衝撃的で、鑑賞後感はかなり重かった。マルセルとリリを引き裂いたのは、その後の戦争なので、余計に辛い。

 一方、本作は、そういう不可抗力的な惨事には見舞われることはなく、成長過程で交流に中断はあるものの、再会後にすぐ友情は戻る。その、久しぶりの再会も何とも呆気なくて、それがまた良い。久しぶりだね、、、という感じでハグするだけ。

 チラシのスチール画像にもあった、2人が山で家を建て直すシーンはただただ作業している場面を見ているだけで楽しい。ブルーノが巧みに柱や梁を組んでいく様は見もの。

 その建て直した山小屋で、青年になった2人のそれからの物語が紡がれていく。ピエトロが人生に迷っているときに、ブルーノは山で生きる一択で迷いがないのだが、歳を重ねるにつれて、立場が逆になって行く。ブルーノはむしろ、一択だからこそ迷いがないようで、迷うのだ。それは、伴侶を得て、子供を持ち、自分一人の人生ではなくなったからだろう。そんなブルーノを見ていて、結局、伴侶は子どもと共に去って行く。

 一人になったブルーノは、やはり山に生きる一択の人に戻るが、それは伴侶を得る前の一人だったブルーノとは明らかに違っていて、それを定期的に会って目の当たりにするピエトロの気持ちが、直截的には語られないけれど、山と小屋の風景が雄弁に物語る。


◆幸せ~って何だっけ?

 最終的には、2人には哀しい結末が待っているのだが、「プロヴァンス物語」とは違って、鑑賞後感は悪くない。

 途中、ネパールから帰ったピエトロが「鳥葬」の話をするシーンがあって、それを聞いたブルーノの妻は嫌悪感を示すのだが、ブルーノは「それは理想的な埋葬だ」(セリフ正確じゃありません)と言う。そして、ブルーノの最期は、まさに「鳥葬」を連想させる描写で終わっているのである。

 ブルーノは、実の父親とは不仲だったし、妻子とも離れ離れになってしまったけれども、ピエトロの父親とは実の親子のように親しく交流していたし、ピエトロとも長く友情を保って、山にこだわった生涯を全うして理想的な最期を迎えた、、、と思えば、かなり幸せな人生だったと言っても良いのでは。

 ピエトロも、なんだかんだとあったけれども、好きなことをしながら才能を開花させることができたわけで、こちらもおおむね幸せだと言って良いだろう。

 だからおそらく「プロヴァンス物語」を見終わった後の悲壮感はないのだと思う。どんな人間関係にも必ず終わりは訪れるのであり、ピエトロとブルーノにもそれが訪れただけだ。ただ、少し早かったということ。

 こういう映画を良いと思うのは、やはり私が歳を重ねたからだろうなぁ、と思う。若い頃見たら、途中で爆睡していたかも、、、。いや、2人のイイ男を見ているだけで、バッチリ覚醒していたかもだけど。

 ルカ・マリネッリとアレッサンドロ・ボルギは、当初、互いに逆の配役の方が良いと思ったとか。でもまあ、これは作品となって見たからそう思うのかもだけど、やはり、ブルーノはボルギの方が合っていると思ったなぁ。パンフを読むと、ボルギ自身は「自分は誰とでもすぐ親しくなっちゃうから、ブルーノとは全然違うヨ」みたいなことを言っているのが面白い。
 
 このパンフが実にオシャレな作りだったので、画像載せちゃいます。表紙をめくると、あらお手紙? 入っていたのは……!!

 

 

 

 

 

 

モンテ・ローザ(居酒屋じゃないよ!)の美しさよ、、、!!!

 

 

 

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4 コメント

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帰ってこいよ (松たけ子)
2023-06-12 23:16:44
こちらにもお邪魔(^^♪
この映画、アレッサンドロ・ボルキ&ルカ・マリネッリ、イタリアのイケメン二人の競演ということで、勝手にBLだと思い込んでいました💦BLではないんですよね?どこまで腐ってるんだと我ながら呆れますが、眠りを妨げるほどの男前二人を目当てに、私も観にいくつもりです(^^♪アレッサンドロご本人は、とっても明るいおちゃめな男性みたいですね。顔よし性格よしなんて最強じゃん!
美しい山の風景も楽しみ。観たらまたトレッキングしたくなるでしょうか。
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きっと帰って来るんだ~! (すねこすり)
2023-06-13 21:53:48
たけ子さん、こんばんはagain!
BL要素、ゼロでした。
私も、ちょっとくらいそういう感じもあるのかな?と思っていたのですが、まったく、、、全く!!!ナシでした。
ブロークバックマウンテンとかありましたからね。
イケメンに美しい風景に良い音楽、映画としてサイコーですよ。ぜひぜひ!
たけ子さんの感想お聞きしたいです。楽しみにしています。
トレッキング、そういえば最近記事でお見かけしていないような、、、?
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モンテローザ、居酒屋? (amore)
2023-06-21 00:59:57
急に蒸し暑くなってきたので、涼し気な風景が出てくる映画を何本か観た中の1つがこれ。ああ、やっぱり映画館で観たかったァ。ワイドだろうがスタンダードだろうが、あの勇壮な景色や大自然が観られるならどちらでもOKです。本当に素敵なパンフレットですね。映画パンフって日本だけ?イタリアにはないんです。

2人のイケメン目当てで観ました、キリッ!私も逆の配役だと思っていたので、観始めはやや違和感がありましたが、あれでよかった。男の友情っていいなぁと(しみじみ)。友情や愛情は、ずっと同じ太さで続くものではなくて、細くなったり切れてしまったりするけれど、良い関係を築いた事実は、自分の中に残っていくと思っています。
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Unknown (すねこすり)
2023-06-21 22:21:20
amoreさん、こんばんは☆
モンテローザは、日本では大きな居酒屋チェーンを経営する会社として有名なんですよ。
あんな美しい山々の名を、、、厚かましいというかなんというか。
本作みたいな映画こそ、やはりスクリーンで見るのが良いですね。ホントに、劇場で見て良かったです。
イタリアには映画パンフがないのですか?
良かった映画のパンフはなるべく買うようにしているんですけど、パンフがないとちょっと寂しいかな。
それにしても、2人のイケメン、良かったですよね~。日本でリメイクするならだれが良いでしょうか。玉木は確定。もう一人は、、、うーん。
「友情や愛情は、ずっと同じ太さで続くものではなく」って本当にそうですね。それぞれの環境などで距離感は変化しますけど、細~~くでも繋がっていられるかどうかが、その関係性の真価なのかもですね。
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