映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

彼らは生きていた(2018年)

2020-02-19 | 【か】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv70358/

 

以下、公式HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1914年、人類史上初めての世界戦争である第一次世界大戦が開戦。8月、イギリスの各地では宣戦布告の知らせと共に募兵を呼びかけるポスターが多数掲出され、志願資格の規定は19歳から35歳だったが、19歳に満たない大半の若者たちも歳をごまかして自ら入隊。よく分からないまま志願した者も多く、国全体が異様な興奮状態に包まれていった。

 練兵場での6週間ほどの訓練を経て、西部戦線への派遣が通達された。

 船でフランス入りしたイギリス兵たちは西部戦線に向かって行軍。イギリス兵たちは塹壕で監視と穴掘りに分かれて交代しながら勤務する。遺体を横切りながら歩き、ひどい環境の中、つかの間の休息では笑い合う者たちもいた。
 菱形戦車も登場し、ついに突撃の日。彼らはドイツ軍の陣地へ前進する。そこへ、突然に射撃が始まり…。

=====ここまで。


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 同じく上記公式HPの「イントロダクション」の全文を以下コピペします。

「イギリス帝国戦争博物館に所蔵されていた第一次世界大戦中に西部戦線で撮影された未公開映像を元に、ピーター・ジャクソン監督がモノクロの映像をカラーリング。3D技術を応用してリアルさを追求した。大戦当時は音を録音する技術がなかったため、音声は主に退役軍人のインタビュー音源を使用。一部の兵士の話す声や効果音などは新たにキャストを用いて演出し、今まで見たことの無いほどの鮮やかで臨場感あふれる戦争場面を復元。

当時の兵士たちの戦闘シーンだけでなく、休息時や食事など日常の様子も盛り込まれており、死と隣り合わせの状況でも笑顔を見せる兵士の姿が非常に印象的。異なるスピードで撮影されていた古い映像を24フレームに統一。戦士した仲間を埋葬するシーンや戦車の突撃、爆撃の迫力、塹壕から飛び出す歩兵たちなどを、アカデミー賞スタッフの力を総動員して、100年以上前の映像とは思えないほど緊迫感にあふれる映画に仕上げた。これまで、遠い過去の話としてしか捉えていなかった第一次世界大戦の戦場を、身近に、生々しくスクリーンに蘇らせることに成功。これぞまさに映画の力といべき、画期的な傑作ドキュメンタリー!」

 つまり、昔の早回しのコマ送りみたいな映像を、違和感なく見られる自然な動きの映像に修正し、彩色し、効果音を入れ、ナレーションを付け、ってことをして、現代人が見てもリアリティを感じられる映像に仕上げている。

 第一次大戦時の映像なんて、モノクロで人間は皆チョコマカとした動きで、どうしたってそこには、“どこか異世界で起きていること”を見ている感じがあった。とても、身近に感じられるものではなかった。

 本作は、冒頭15分くらいはそういうモノクロ&チョコマカ映像が続き、突然、カラーになって動きも自然なものになる。その瞬間から、なにやら急にリアリティを感じて、異世界ではない、地続きな感じが迫ってくる。

 ネットの感想を拾い読みしたが、本作を「ドキュメンタリーというのはおかしい」「兵士たちを貶める行為だ」というようなことを書いている方がいた。映像は実際の映像を元ネタにしているとはいえ、ここまで加工したら、もうそれは創作だろうと。監督はピーター・ジャクソンなんだから、むしろフィクションにしちゃえば良かったのに、とまで書いている人もいる。

 ……まあ、それも一理あると思う。元ネタの映像には音は全く入っていなかったわけだから(同時録音技術はなかったから、らしい)、効果音もナレーションも後付けである。一応、口パクを読唇術でもって音声再現しているというが、そのシーンはあまり多くなかったように思う。ナレーションは、ゼンゼン別の機会に録音されたものだから、本来関係ない映像に合わせてナレーションとして使うこと自体、確かに創作になるだろうと思う。

 そういう意味では、本作をドキュメンタリーとすることに抵抗を覚える人がいるのも当然と言えば当然だ。

 でも、私は、本作が試みた一連の工程は決して貶める行為だとは思わないし、フィクションというのも違うだろうと思った。こうして、カラー映像になり、動きも自然な動きで見せられることで、それまでどこか異世界だった第一次大戦の塹壕戦が、ものすごくリアルに身近なものに感じ、えげつなさは今まで見たどんな映像よりも圧倒的だった。彩色や効果音によって、現実よりも誇張が起きていたかも知れないが、私にとっては、異世界の話でなくなったというだけでも意義深い。

 本作は、1月末から劇場公開されたが、それに先だって、ネット配信されていた。気にはなっていたけれど、ネット配信で映画を見たことがないのでスルー状態だったのだけど、劇場公開されたことで俄然見たいと思った次第。こういう映像は、やっぱりスクリーンで見た方が良いように思う。

 太平洋戦争でのガダルカナル戦などの米軍によるカラー映像は度々見る機会があって、あれも相当のおぞましさを感じたが、本作の場合、兵士たちの戦闘以外の時間の描写も多く、それによってより戦闘の場面はリアリティが増した気がする。米軍の映像もカラーでリアルだが、やっぱりあれもどこか別世界な感覚は拭えない。

 フィクションでは、もうさんざん悲惨極まりない塹壕戦描写は見てきているが、今回ほど何とも言えない気持ちになったことはないように思う。賛否あるとは思うが、私は本作の試みは良かったと思うし、今後、このように映像が修復&再構築される機会は増えても良いのではないかと思う。それによって、遙か遠くと思っていた出来事が自分と地続きで感じられることは、歴史や他文化を身近に引きつけて考えることに大いに助けになるはずだ。

 

 

 

 

 

原題は“They Shall Not Grow Old”。原題の意図が邦題では伝わらない気がする、、、。

 

 

 

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