映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

黒蜥蜴(1962年)

2022-10-28 | 【く】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv20504/


 女盗賊「黒蜥蜴」と明智小五郎が“美”を巡って対決する。果たしてその行方は、、、。

 江戸川乱歩原作『黒蜥蜴』を三島由紀夫が劇化、脚本は新藤兼人、で井上梅次が監督。音楽は黛敏郎。主人公の黒蜥蜴を演ずるのは、泣く子も黙る、京マチ子、明智小五郎は大木実。有名な美輪明宏版より前の制作。

 
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 神保町シアターで特集されていたので、見てきました。乱歩は大好きなんですが、どっちかというと、初期の短編が好きなんですよねぇ。明智も嫌いじゃないですが……。原作の『黒蜥蜴』も何度か読んでいるけど、美輪版の映画は見ていないのですよね。美輪版の方が有名ですけど、あれは、深作監督なんですね。

 こちらは、監督は井上梅次。よく知らないので、今回ネットで検索してみたら、、、げげっ(後述)、

 まあ、とにかく、感想から。


◆黒蜥蜴様・京マチ子様

 本作を見ようと思ったのは、もちろん乱歩が好きで、原作を知っているのもあったが、世間一般では“黒蜥蜴=美輪明宏”みたいな印象だけど(舞台でも何度も演じているしね)、こちらは主演が京マチ子だったから。

 で、オープニングからしてもう期待値を上回る異様さで、ニヤニヤしてしまう。明智役の大木実が気取った調子であれこれ黒蜥蜴との思い出を語るシーンに始まり、怪しげな歌が流れて来たかと思うと、「聞こえるでしょう?この音。この鞭の音!」と思わせぶりな大木実の言葉に続いて、バニースタイルの京マチ子が踊りながら鞭を振るって現れる、、、。うわ~~~!!

 この怪しげな歌の歌詞は三島由紀夫が作ったらしい。全部は聞き取れなかったけど、♪不眠症の星 死体の瞳~とか歌っているのだ。♪くろとか~~~げ!ピシッ!!ピシッ!!!(←鞭の音) がしつこく繰り返され、いやー、のっけから参りました。

 ストーリーは、割と原作に近いのかな(私の途切れ途切れの記憶と符合するシーンが多かった)。前から読むたびに「ソファに隠れるってどういうこと??」と思っていて、今回も映像でそのシーンはあったのだが、あんなソファに人一人入れんだろう、、、と内心ツッコミ。

 でもそんなことはどーでも良いのだ。

 緑川夫人こと黒蜥蜴は、手下たちが手柄を上げるとご褒美をあげるのだが、それがね、、、「お前にも爬虫類の称号をやろう。今日からお前は青い亀(だったかな)を名乗るといい」とか言うわけよ。はぁ~~?爬虫類の称号?? もうね、面白過ぎる。これ、京マチ子が大真面目にセリフ言っているのだから。ヘマをしでかした雨宮は称号をもらえなくて心底ガッカリしているのもウケる。爬虫類の称号なんて原作にあったかしらん?? ちょっと読み直してみようと思った次第。三島の創作だとしたら、ありそうな気がするが、、、。乱歩のセンスではないような。

 まあ、乱歩原作モノを映像化すると、ほぼ100%B級orC級映画になるのだが、本作もB級っぽさ満載でありながら、格調高さも併せ持っており、これはひとえに、主演が京マチ子だから、、、に尽きると感じた次第。

 ところどころミュージカル仕立てになっており、京マチ子のカメラ目線なシーンもいくつかある。追われて逃げるシーンなのに、踊ってるしね。男装しているんだが、さすがの京マチ子様でも、男装はイマイチだと感じたわ。

 あと、売店のおばちゃんに変装するシーンもあり、京マチ子七変化、、、といったところ。

 ラストは恋する明智の腕の中で息絶えて、黒蜥蜴もそこそこ幸せな人生のエンディングだったんやないの??などと思いながらエンドマークとなりました。


◆今話題のアレが、、、。

 いやしかし、こんなヘンテコな話、小説だからその世界観も想像で楽しめて面白いけど、映像化となると、どうしたってB級路線にならざるを得ないでしょう。舞台はまた、そもそもが異空間なので成立すると思うけれども、、、。

 それを、これだけエンタメ映画としてクオリティを保った作品に仕上げた井上梅次監督の手腕はなかなかだな~、と感心したのだった。

 でも、私は邦画の監督って全然知らないので、見終わった後にネットで検索したら、Googleの検索窓に「井上梅次」と名前を打った瞬間、その後に、今話題の「統一教会」がトップで出て来てビックリ。

 井上梅次氏は、あの月岡夢路さんの夫だったのかー、とそれも知らなかったのだが、このご夫婦そろって統一教会と浅からぬ関係があるらしい。詳細はここでは書かないので、興味のある方はググってください(すぐにイロイロ出てきます)。

 何より驚いたのは、教団の資金で映画を作っているらしいということ。さすがにメジャー公開はできなかったらしいが、地方の公民館とかで地味に上映していたとか。出演者も、柴俊夫、国広富之、榎木孝明……となかなか豪華。本気で作った映画のよう。しかも中身がスパイ映画で、共産国家と闘う、、、みたいのだったらしい。

 井上氏、思いっきり反共で保守思想の方だったんだろうが、その映画が作られたのが1987年というから、統一教会の悪質さは知られていた時期であり、いくら思想が共鳴するからといって、そんな団体の資金で映画ってのはクリエイターとしてはかなりマズい行動だろう。その映画の後は、作品を撮っていない様子だけど、まあ仕方ないよね、、、としか。

 月岡さんの方は、関連団体のCMにも出ちゃっているというから、何をかいわんやである。別に信者じゃないだろうけど、そういう問題じゃないからね。

 井上氏は、土ワイで天地茂の「美女シリーズ」も撮っている。「美女シリーズ」も好きなのだけど、まあ正直言って残念な感じはするよね。作品と監督の思想は別、、、とはいえ、見る方としては切り分けはなかなか難しいところ。クストリッツァもそうだし、この問題、どうすれば良いのだろう。分からん。

 

 

 

 

 

 

 

 

爬虫類の称号、、、もらうならヤモリがいいかなぁ。いらんけど。

 

 

 

 

 

 

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