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「三河物語 第三 下」の解読 5



(散歩道のネムノキ花盛り)

夕方、女房と散歩に出る。快晴、午後四時というのに、まだ日が高く暑い。日陰を求めながら歩くが、なかなか見つからない。日陰に入れば、まだ涼しいのだが、日差しはもう真夏である。

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「三河物語 第三 下」の解読を続ける。

家康、御動転(どうてん)なく、御小姓衆を討たせじと思し召して、乗り廻し給いて、真ん丸に成りて退かせ給う。馬にて御供申す衆は、菅沼藤蔵、三宅弥次兵衛、その外は降り立ちければ、馬に離れて徒歩(かち)立ちなり。中にも、大久保新八郎を悲しませられて、小栗忠蔵に馬を一つ取れと仰せければ、相心得申すとて、頓(やが)て取りて乗りける。忠蔵も手負いけるが、その馬を新十郎に貸すまじきか、と仰せられければ、忠蔵御意より早く御請けを申して、跳んで降り、新十郎に乗せて、我は腿(もも)を鑓にて突かれけるが、痛まずして御馬に付き奉りて、御城まで御供を申す。上様よりも御先へ逃げ入りて、上様は御打ち死になされたると、偽りを申す処へ、何事無く入らせ給えば、かの者どもは、こゝかしこへ、また逃げ隠れけり。
※ 動転(どうてん)➜ 非常に驚いて平静を失うこと。驚きあわてること。

上方浪人に、中河土源兄弟は、覚えの者と申しつるが、浜松へは、え退(の)かずして、懸河へ逃げてゆく。水野下野殿は今切(いまぎれ)を越して逃げ給う。山田平一郎は岡崎まで逃げ行きて、次郎三郎様の御前にて、大殿様は御打ち死にを成され候と申し上げ候処へ、上様は何事無く御城へ入らせられ成され候。諸大名も一人も何事無く引き退(の)け申すなり。但し、信長よりの御加勢、平出と、御手前の衆には、青木又四郎殿、中根平左衛門ばかり、物主(ものぬし)は打ち死に仕り候。
※ 物主(ものぬし)➜ 戦陣での部隊の長。
(「三河物語 第三 下」つづく)

読書:「孤影の誓い 問答無用 5」 稲葉稔 著  
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