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「江戸繁昌記 ニ篇」 13 混堂(ゆや)11

(散歩道のシコンノボタン)

迷走している台風10号が、海水温の高い海で発達して、やっと東へ動き出した。来週頭には東海、関東辺りに上陸して、日本海へ抜けるコースをとる模様である。家の周りには、外壁塗装用の足場が組まれているから、風が心配である。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

一日両浴、三銭、糠を費やす。熱を好む者。温を喜(この)む者。寒を療する者。浄を貪(むさ)ぼる者。千磨百剔、汚れを除き、光を放ちて、孰(いずれ)か、能く心を洗う。湯の盤の銘に曰う、苟(まこと)に、日に新たにして、また日新なり。庶幾は、都人心を併せて、これを滌(あら)いて、六根清浄ならんことを。
※ 両浴(りょうよく)- 朝夕、一日に2度風呂に入ること。
※ 千磨百剔(せんまひゃくてき)- 何度もえぐりとり、何度も磨きをかけること。
※ 庶幾(しょき)- こいねがうこと。切に願い望むこと。


混堂、或は湯屋(ゆや)と謂う。或は風爐屋(ふろや)と呼ぶ。堂の広狭(こうきょう)、蓋し常格無し。一堂を分画して、両浴場と作し、以って男女を別く。戸、各々一つ、両戸間に當りて、一坐所を作す。形、床の如くにして高く、左右下(くだ)し監すべし。これにして銭を収め、事を誡(いまし)める。これを伴頭(番台)と謂う。
※ 常格(じょうかく)- 常に定まった格式。
※ 分画(ぶんかく)- 分割して区画すること。


戸に並んで(かきね)を開き、の下に数衣閣(トダナ)を作し、の側に数衣架(タナ)を構ず。単席数筵(座敷)、筵を界してを施し、より室に至る中霤の間、尽(ことごと)く板地を作して、澡洗所と為す。半ばに当りて溝を通し、以って余り湯を受く。
※ 牅(よう)- かきね。
※ 闌(らん)- てすり。
※ 中霤(ちゅうりゅう)の間 -(「霤」は、あまだれ。)座敷と浴室の間に、板敷の洗い場がある。水に濡れることを前提にした板の間である。
※ 澡洗所(そうせんじょ)- 洗い場。


湯槽広がり、方九尺、下に竈(かまど)有りて爨ず。槽の側に穴を穿ち、湯を泻(つな)ぎ、水を送る。穴に近くして、井有り。轆䡎、水を上す。室の前面塗るに、丹艧を以ってす。半上はこれを牅にし、半下はこれを空にす。客、空所より俯(ふ)し入る。これを柘榴口(ザクログチ)と謂う。牅戸画くに雲物花鳥を以ってす。常に鎖して啓(ひら)かず。蓋し、湯気を蓄うるなり。
※ 爨ず(さんず)- 炊く。
※ 轆䡎(ろくろ)- 回転運動を利用する装置の総称。ここでは、釣瓶の滑車のこと。
※ 丹艧 -(意味不明)「舟用の赤い塗料」(?)


湯船のそばに井戸があったとは、想像もしなかったが、湯温を下げるためには水が必要であり、手っ取り早く水を得るには井戸がそばにあるのが便利である。
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