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「三河物語 第三 下」の解読 3


(庭のマンリョウの花と実)

マンリョウの実は去年のもので、花は今年の蕾である。実がなかなか永持ちするものである。庭のサザンカの根元あるレンギョウの赤い実は、5月6日に紹介したが。その花が咲くようである。

夜、6月の班長会。

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「三河物語 第三 下」の解読を続ける。

然る間、信玄は、城を取りてより、東三河に、奥平道文と、菅沼伊豆守と、同新三郎、これらは、長篠、作手(つくで)、段峰(だみね)。これらが山家三方を持たるが、逆心(ぎゃくしん)して信玄に付く。菅沼次郎右衛門と、同新八郎は、御味方を申して、逆心は無し。然る間、信玄は、上方(かみがた)に御手を取る衆の多く有りければ、三河へ出て、それより東美濃へ出、それより切って登らんとて、味方ヶ原へ押し上げて、井の谷へ入り、長篠へ出んとて、祝田(ほうだ)へ引き下ろさんとしける処に、
※ 手を取る(てをとる)➜ 親愛の気持ちなどを表すために他人の手を握る。

元亀三年壬申(1572)、十二月廿二日、家康浜松より、三里に及びて打ち出させ給いて、御合戦をなさるべくと仰せければ、各々年寄どもの申し上げるは、今日の御合戦、如何に御座あるべく候や。敵の人数を見奉るに、三万余と見申し候。その上、信玄は老武者と申す。度々の合戦に慣れたる人なり。御味方はわずか八千の内外に御座有るべくやと申し上げれば、その儀は何ともあれ、多勢にて、我が屋敷の背戸を踏み切りて通らんに、内に有りながら出て咎(とが)めざる者やあらん。負くればとて、出て咎むべし。その如く、我国を踏み切りて通るに、多勢なりというて、などか出て咎めざらんや。莵に角(とにかく)合戦をせずしては置くまじき。陣は多勢無勢にはよるべからず。天道次第と仰せければ、各々是非に及ばずとて、押し寄せけり。
※ 背戸(せと)➜ 家の後ろの方。裏手。
※ 天道(てんどう)➜ 天地を主宰する神。天帝。上帝。また、その神の意思。天地間の万般を決定し、さからうことのできない絶対的な意思。
(「三河物語 第三 下」つづく)

読書:「半化粧 知らぬが半兵衛手控帖 3」 藤井邦夫 著
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