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「亜米利加応接書」 9

(庭のシンビジウムの鉢)

元はどなたかから頂いたものなのだろうが、今では記憶も失われている。我が家で20年近く、花を咲かせ続けているシンビジウムである。

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「亜米利加応接書」の解読を続ける。

一 日本は誠に天幸にて、戦争の辛苦は書史にて御覧成さるべく候までにて、遂に、実地を御覧相成り候儀、これ無き段、重畳の事に御座候。
※ 書史(しょし)- 書物。書籍。
※ 重畳(ちょうじょう)- この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。


一 大統領心願も、日本人をして、戦争を史録にて見及び、実地御熟覧これ無き様致したくとの事に御座候。

一 英吉利、仏蘭亜西、両国に候わば、無論仮令一国に候ても、御国と格別掛隔て居り申さず候わば、疾(はや)くに戦争相起り候事にこれ有るべく、全く掛け隔て候故、只今以って、その沙汰これ無きの趣に御座候。

一 戦争の終りは、何れ条約取り結び申さず候ては、相成り難き事に候。

一 大統領の願いは、戦争に至らず、互いに敬礼を尽くし候、条約相結び候様、致したきとの儀に御座候。

一 西洋近来、名高き惣提督の語に、格別の勝利を得候戦いよりは、つまらぬ無事の方、冝しき旨にこれ有り候。

一 大統領の心得にては、合衆国と堅固の条約御結び成られ候わば、必ず外国も右を規則と致し、御心配の儀などは、向後、決してこれ有るまじく存じ奉り候。

一 大統領儀、御国の誉れを落さず、敬礼を尽くし、条約取り結び、御混雑これ無き様、心掛け居り申し候。
※ 敬礼(けいれい)- 敬意を表して礼をすること。
※ 混雑(こんざつ)- もめごとがあること。ごたごたすること。また、いざこざ。


一 合衆国政府の別府として、罷り越し候船も筒もこれ無く、私と条約御取り結びに相成り候わば、御誉れを落し候儀はこれ有るまじく存じ奉り候。

一 壱人へ条約御結び成され候と、品川沖へ五十艘の軍船引連れ参り候ものと条約相成り候とは、格別の相違に御座候。

一 今般、大統領より私差し越し候は、懇切の意より起り候儀にて、隔意これ有り候ての事にはこれ無く、外国より使節など差し越し候とは、訳違い申し候。右などの儀、得と御推考下さるべく候。
※ 懇切(こんせつ)- 細かいところまで心が行き届いて親切なこと。
※ 隔意(かくい)- 心にへだたりのある思い。打ち解けない心。遠慮。


読書:「刑事の絆 警視庁追跡捜査係」堂場瞬一 著
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