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「竹下村誌稿」を読む 338 衛生 9

(散歩道のシノブ)

シダ植物の一種、シノブが二股に分れた太い木の幹をすっぽりと被ってしまっていた。それが部分的に紅葉して、なかなか見栄えがした。(12/12撮影)

午前中より準備をして、お昼から、近所の有志による、恒例の芋汁会が五和会館であった。22人出席。準備はひたすら、SHさん提供の、イワナ、アマゴ、落ちアユを油で揚げた。

会の中でWMさんとたくさん話した。来年春に、自分が贈呈したお遍路の本2冊を持って、自転車でお遍路に出掛けると聞いた。色々考えると心配なことはたくさんあるだろうが、思い切って一歩踏み出せば、先は自然と開けてくると、アドバイスした。行きたいと云いながら、いつまでも出かけられず、その内に身体が言うことを聞かなくなる例を、何度か聞いている。

今年も御近所さんとは良い一年を過ごせたと感じた。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

一 痘瘡(とうそう)

径路 一名天然痘、或るは疱瘡(ほうそう)、また、モガリとも云う。原因は豆大の腫物の内に存在する病毒が血液の中に侵入し、その痘疱より出る膿汁が、糞便尿などの排泄物中に含有せられしものが、飲食物と共に体内に入れば、勿論接触しても忽ち伝染発病するものにて、患者の衣服、寝具、その他、直接間接伝染することあり。或るは接触伝染することあり。専門学者間にその病原体が何物なるや未だ発見せられず。されどその病毒の抵抗力、非常に頑強にして、普通伝染病菌の如く、日光や乾燥によりて死滅せざること明らかなりと云う。

症候 潜伏期は十日乃至十五日位にして、前駆としては、悪感、戦慄を覚え、三十九度以上の高熱を発し、頭痛、眩暈、腰痛、痙攣を起し、精神朦朧となり、囈語(げいご、=うわごと)を発し、食欲不進、悪心嘔吐などの消化器障害を現わし、なお軽度の眼結膜炎、咽頭炎、気管支加答児(カタル)を起し、腸チフスと同じく、脾臓腫脹し、発病二日にして下腹、太股の内側、腋下などに紅色の斑点を現わし、暫時にして消散す。これを前駆の発疹と云う。三日目、四日目は熱度も三十八度位に下がり、五日目位に皮膚に小豆大の吹出物現われ、始めは赤色斑状にして、軈(やが)て粒状となり、六日目には水胞状の凹形となり、九日目には豌豆大となり、その中にある透明の液が膿性に変化し、十二日目に痂皮となり、熱も下がり自然的に乾燥して十五、六日位にして剥落したる跡は即ち痘瘡となり、如何なる才子美人の花の顔(かんば)せも、無残なる凸凹面と化し了る。
※ 悪心(おしん)- むかつき。一種の毒物に対する防御反応で、嘔吐に際の、吐き気のこと。
※ 豌豆(えんどう)- エンドウ豆のこと。
※ 痂皮(かひ)- かさぶた。


痘瘡の軽重によりて、真痘、仮痘とに区別す。真痘は右に記するが如く、仮痘は天然痘の軽症なるものにて、痘の数も少なく、単に水胞のみにて膿を持たず熱も高からずして、乾燥も早く経過短く、治後皮膚に痘瘡を残さず、また水痘と云うものあり。天然痘の一種にして子供に限りて発生し、仮痘と同じく水胞に止まり膿を持たず。俗に水疱瘡(みずぼうそう)と云う。軽ければ一週間、重症なれば半月位にて治癒す。

予防法 最善唯一の予防は種痘を行うにあり。種痘は全国至る所、随意に行うことを得べし。種痘せしものは、如何に天然痘が流行するも絶対冒さるゝ虞(おそ)れなし。元来疱瘡は免疫性のものにして、一度罹る時は二度冒さるゝことなしと云う特性を有す。されど種痘せしものといえども、天然痘流行地に接近し、または患者に接触することは禁ずべし。不幸にして冒さるゝことあらば、糞便、尿、咯痰、衣服、寝具、器具、その他一切、厳重に消毒を施すべし。なお、種痘の有効期につきては、前目種痘の部、参照あるを要す。
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