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ギリシャ財政危機と消費税

(庭のシラン)

現代は世界で起きるどんな事件でも、対岸の火事としてすますことが出来なくなった。先のアイスランドの火山噴火で、我々はそれを再認識させられたばかりである。噴煙で世界の航空網が一時麻痺してしまい、旅行者が影響を受けるだけでなく、部品が届かなくて日本の工場が一時操業停止になるという事態にもなった。

そこへ今度はギリシャの財政危機である。米格付け会社によるギリシャ国債の格下げが引き金になって、信用不安が全世界に広がり、株の暴落の連鎖、円高、ユーロ安、さらにドル安へと波及して、連休明けの日本でも大変なことになっている。

EU圏では、ユーロによる通貨統合はなされたが、財政は各国バラバラに行われている。この矛盾が今回の財政危機の根本にあるという。財政赤字を各国とも3%以内に押えるというルールはあったが、矛盾を回避することにはならなかった。今はギリシャに留まっているが、財政危機はPIGSといわれる諸国、ギリシャの他に、ポルトガル、イタリア、スペインといった諸国が抱えており、ヨーロッパ全土に野火のように広がりかねない。信用不安が一気に世界に広がったのはそのためである。

一方、日本でも遠いギリシャのことと笑ってはおれない。日本の財政も大変な状況になっている。国債の発行高はうなぎのぼりである。普通であれば格下げになっても不思議ではないのだが、日本の国債はほとんどが日本人の個人金融資産で買われているため、国際的な評価が格下げにならないだけである。個人で国債を買った覚えはなくても、金融機関に預けたお金で国債が買われている。日本が財政破綻したら、日本人の個人金融資産が消えるだけである。

つまるところ、財政赤字はすべて日本国民が支払わねばならない。このまま、財政赤字を増やしていったら、本当に大変な事態となる。ギリシャの状況を見てみれば、明日はわが身であろう。幸い消費税19%のギリシャと比べて、日本の消費税は5%、世界の水準から飛びぬけて低い。上げる余地は十分にある。1日も早く消費税を上げて、財政の健全化を計らなければ、先送りをすればするほど、税率の上げ幅が大きくなる。

日本の国民は政治家が思っているほど愚かではない。そこをしっかり説明して消費税の増税を訴えれば、否とは言わないであろう。消費税導入時の世論の幻影に今だにおびえているのではないだろうか。仕分けもけっこうだが、何十年単位で溜まってきた垢である。すっかり落とすには十年以上かかる問題であろう。それが出来なければ消費税を増税できないといっていると、財政赤字の解消に荒療治が必要な事態になる。荒療治の内容は、ギリシャ議会で財政再建案として可決された法案を見ればよく判る。公務員給与や年金の削減と増税がセットになった法案である。ギリシャでは法案の是非について暴動が起き、死者が出ている。
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