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鳩山内閣がぶれるわけ

(庭のクジャクサボテン)

今朝、新聞は一面トップで「杭打ち桟橋断念、辺野古結局埋め立て」という活字が踊っていた。鳩山内閣は政治のシロウトでも無理と感じられた「杭打ち桟橋」案を掲げて、結局断念することになるようだ。他にも一面には「高速6月新料金断念」の記事も出ていた。土日1,000円の制度が継続されるらしい。

これだけブレまくり、すべてにおいて後手後手になってしまう内閣を国民は今だかつて見たことがない。政権交代してまだ一年経たない、青葉マークの内閣なのだから大目に見ようという論調が一部にあるが、この間にも日本は毎日のように国益を失っていることを忘れてはならない。このまま行けば、日本は戦後間も無しのような三等国に成り下がってしまう。

日本は民主主義に基く政党政治ですべて動いていると思うのは幻想で、戦後60数年、日本の政治は一貫して官僚たちが牛耳ってきた。もっとソフトに言うならば、日本の政治を官僚たちがしっかりと下支えしてきた。自民党政権はその官僚機構の上に乗っかっておれば、どれだけ青葉マークでも60点は取れた。

官僚たちは戦後復興から高度成長へと日本を繁栄に導いてきたのは自分たちであるとの自負から、官僚組織を守ることが国益と合致すると思い込んできた。しかし、世界の中で日本だけが繁栄を謳歌する時代は終った。肥大化した官僚組織は簡素化しなければならない時代がやってきた。ところが、官僚組織の上に乗っかって政治をしてきた自民党政権は、長い間に官僚組織の代弁者に成り下がっていた。官僚組織にメスを入れることなど出来る相談では無かった。

有権者はそんな自民党政権に見切りを付けて、民主党政権を選んだ。政権交代を果たした民主党政権は官僚の力を見くびっていた気配がある。自分たちの実力も把握しないで、国会答弁から官僚を締め出した。すべてを民主党内閣の閣僚が答弁することにした結果、答弁がしどろもどろになり、聞いている国民はがっかりさせられた。官僚のレクチャーも十分受けないで(官僚側がレクチャーをサボタージュしたのかもしれない)思いつくままに、口当たりの良いことを口に出すから、ブレまくってしまうのである。

民主党政権に知恵者がいれば、当面は官僚の上に乗っかって政治をやりながら、政治家は10年先をにらんで、官僚組織の制度改革に取り組んだだろう。当面は官僚たちを味方に付けて、協力を得ながら、民主党の掲げてきたマニフェストを不十分ながらも実現を計って行くのが、日本の国益を失わない唯一の方策だったと思う。

裁判員制度や検察審査会の改革で考えられたように、官僚組織の中に民意をどのように取り入れるかが問題である。新卒の優秀な人材を採用して純粋培養するように官僚を育てていく現在のやり方は、結局、人生で一度も挫折した経験のない人だけが、官僚のトップになれる歪な制度である。人は挫折することで人の痛みを知ることが出来る。挫折を知らない人はそれだけで人格に欠陥があると思う。ひたすら挫折者を排除していく制度はそれ自体欠陥制度である。

民意を入れるためには、国家公務員の3割ぐらいは10年ほど民間で働いてきた様々なキャリアの人から中途採用するというような思い切った制度改革が必要である。
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