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今朝の夢と孤独死したH氏

(庭の遅咲きのゼフィランサス・グランディフローラ《サフランモドキ》)

久し振りに夢を見た。夜半が過ぎて表に人の声がする。女房が表の戸締りがしてないかもしれないという。玄関へ行ってみる。左側に土間があって玄関へ通じている。間取りは建替え前の故郷の家であった。玄関の引き戸が三分の一ほど開いていた。閉めながら外を見ると、向かいの家に車が寄って、人が何人か動いていた。お葬式の準備だなと何となく感じてしまった。二階の壁一杯に大きな旗が張り付けてある。角ばった文字のような図形が染め出された旗である。ああ、新興宗教の変わったお葬式なんだと思った。顔が灯りの陰になって表情が判らない黒服の女性がこちらをうかがっていた。急いで捻じ込み式の鍵をねじった。あせってねじった。‥‥‥

目が覚めた時、まだ朝には時間があった。こんな夢を見たのは、昨日、H氏が関東地方の古アパート(場所を聞いたがはっきり覚えていない)で孤独死したという話を聞いたからだろうか。

H氏は同じ大学の2年先輩で、会社の寮で同僚として二年足らず同じ釜の飯を食った。工学部の彼とは畑が違い、一緒に仕事をしたことはなく、特に親しかったわけではない。H氏が会社を辞めてからもう40年経つ。その間ずーと同じアパートに住み続けたらしい。そして孤独死した。死んだことに誰も気付かず一週間が経っていたという。会社を定年退職して年金生活に入っていたのだろうか。すぐ下に住んでいた人もどんな人が住んでいたか知らないという、都会のアパートであった。

寮に居る時の印象では田舎の会社の野暮ったさを感じないスマートな男性に見えた。あるとき、近くのマーケットのレジ係の女性に人を通してプロポーズをしたという話を聞いた。付き合いもない女性を見初めた形であったが、見事に断わられた。理由がどんなものだったのか知らないが、けっこう不器用なんだと思った。

その後、会社の社長に酒の席で殴りかかって、皆んなに止められ寮に逃げ帰ったという事件があって、間もなく退社して行った。その当時の社長は田舎の会社から何とか脱皮しようと、学卒などの人材を自ら出向いて積極的に採用していた。定着率はよくなかったが、一生懸命であった。採用してくると寮に入れて、日頃から彼らの勤めぶりを気にかけていて、よく自宅に呼んでくれたりした。その日も寮の忘年会を町の料理屋で行った。その席に社長も出席して、H氏は飲みすぎてそんな振る舞いに及んだ。それで首にするような社長ではなかったが居辛かったのであろう。

昨日聞いた話では、H氏は子供の頃に輸血を受けることがあって、それが原因でC型肝炎に感染して、それを一生抱えていたと聞いた。結婚しなかったのもそんな理由があったのだろうか。死因にもそれが関わっていたのだろうか。
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