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南アルプスを世界遺産に


(「世界自然遺産と南アルプスの自然」の看板)
 
南アルプスを世界遺産にしようという動きがある。昨日、静岡市役所内の市民ギャラリーで、特別企画展「世界自然遺産と南アルプスの自然」を催していた。11月2日(今日)までと書かれていたので覗いてみようと女房がいう。大道芸ワールドカップの人ごみに参っていたため、一休みにもなると、静岡市役所の旧庁舎内の市民ギャラリーに入った。中は外の喧騒とは別の世界であった。

床を埋めた南アルプスの巨大衛星写真の上で、自分が今までに歩いた山々を女房に説明していたところ、係りの男性(市の職員だろうか)が寄ってきて現状を色々と説明してくれた。

聖岳とか茶臼岳、光岳など南アルプス南部の山はなかなか厳しくて登るのも大変だと
水を向けると、南アルプスの人気コースは限られていて、北沢峠から甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳をそれぞれピストンするコース、広河原から北岳・間ノ岳・農鳥岳の縦走コース、二軒小屋あるいは椹島から千枚岳・悪沢岳・赤石岳の縦走コース、白鳳三山縦走コースくらいである。中で仙丈ケ岳から塩見岳に至るコースは入山する人も少なく、お花畑も豊富に残り穴場である。そんな説明をしてくれた。この中で自分が登っていないコースは白鳳三山縦走コースだけであった。

また3000メートル前後の付近にだけ雪を被っている衛星写真を示して、南アルプスにも氷河があった痕跡が残っている、ちょうど雪で白く見えるところが氷河のあった部分と重なると言う。大井川の源流といわれる間ノ岳のカールにも氷河の跡が確認されているなどと説明してくれた。

山伏岳の近くの林道で先日カモシカにあった話をすると、南アルプスの高いところは鹿や猿が生息域にしていて、日本カモシカはそれを嫌って人里近いところを生息域にしているという。日本カモシカは一時3000頭まで減ったと言われるが、現在は11万頭まで増えているようだ。鹿などが貴重な高山植物などを食べてしまう害が発生している。狩猟をしていた人間が保護するほうに回ってしまった、狼など、天敵がいなくなってしまった、温暖化で冬を越すのが容易になったなどの理由で、増えすぎてしまったのであろう。

世界遺産に登録する活動は始まったばかりである。静岡県の南アルプスは東海パルプの私有林が大半で、長野県は国有林、山梨県は県有林と、県によって所有関係がまちまちで、なかなか運動の足並みを揃わないのだという。

世界遺産になると何が違うのだろうか。確かに予算や法的規制で守られる部分も多いのだろうが、世界的に注目されることで、登山者が増え、俗化が免れない。自然破壊が一段と進むのは、屋久島の例を見ても明らかな気がする。今のままで、特殊な人たちしか入れない山域として残して置く方がいいような気もする。
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