2017年5月15日(月) 7:00-9:35pm 東京文化会館
シュトラウス ドン・ファン 18′
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調 16-10+9′
ピアノ、チョ・ソンジン
(encore)
シューベルト ピアノ・ソナタ第13番より 第2楽章アンダンテ 5′
Int
ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調 14-9-9-7′
(encore)
シベリウス ぺリアスとメリザンド より メリザンドの死 7′
エサ=ペッカ・サロネン 指揮 フィルハーモニア管弦楽団
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前回来日時のエロイカはさっぱりでしたけれども、今思うと会場と席位置のせいが多分にあったのかもしれない。
1761- ブラコン、ハーン、エロイカ、サロネン、フィルハーモニア管、2015.3.7
今回はベートーヴェンを2本並べてくれた。端正な配置のベートーヴェンの前に大挙して来日しているオケ用にシュトラウスを一本。都民劇場用の無料プログラムとは別に500円のスーヴァニアな来日公演プログラム冊子があってそれを見てみるとホルンちゃんは9名、トランペット7名。他、推して知るべし。プログラム毎色々と出し入れしているのだろう。
シュトラウスはデッドな上野でなくても大いに引き締まった演奏だと思う。ホールにより音が足りなくなるようなスキニーサウンドではなくて、どこにおいても芯の通った演奏がこのコンビでは出来ていると思わせるに十分。力感あり、それよりもシャープさが先にきますね。このあとメンバーは大挙して抜けてベートーヴェン。
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2015ショパコンチャンピオン、ソンジンの弾くベトコン3。
ソンジンは既に3回ほど聴いている。チャンピオン前2回(モツコン21、ショパコン1)、チャンピオン後1回(エンペラー)、聴く方のバランスとしてはいいかもしれない。
ただ、これまで印象がいまひとつ。
今日はベートーヴェン3番コンチェルト。ハ短調、みずみずしい演奏も可能な作品ですね。
チョさんはドラマチックでダイナミックな事に力点を置いていない。関心外というか。
左のバスが殊更騒がず柔らかくすんなりとはいってくる。全く目立たない。自然な入り。全体に強弱の幅で音楽を鳴らすことはせず押し並べて一様で滑らか。細かい音符の進行はトリル風味にまとめて束にしてプレイしているように聴こえてくる。だからそのあとちょっとフレーズに隙間が出来る。息をしているという感じかな。そのうちフォルテピアノ風な響きに聴こえてくるところもある。一様なプレイのせいですかね。
今まで頭の中を全部ショパンが占めていたのかどうかは知りませんが、もしそうだとしたらヴェールを自分で剥がしてもう一つの世界に入っていかなければなりません。新種のベートーヴェン弾きの可能性も。
オケ提示部をはじめとして弾きの無いところはほぼ、指揮者を凝視。双方呼吸はソーソー合っていたと思います。目をつむるとオケの縦線がずれているというかちょっとささくれだったところも。
アンコールはシューベルト、ここらへんもねらいを定めているのかもしれない。
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プログラム後半はベト7。
前回来日時のエロイカでは意識が散漫状態だったせいかあまり見るものも見ていませんでしたが、前回もたぶん同じように端正な配置だったと類推する。(今頃)
14型左からv1-v2-vc-va-cb(たぶん)、ベースとチェロに挟まったあたり少し奥目にティンパニ(茶色のバロックティンパニ)。ナチュラルトランペットが2ではなく3、3番さんの横にもう一本立ててある。取り替えて吹いた記憶が無い。スペアなのかしら。ホルンちゃんは4本だけど、1番2番がメイン吹き。ウィンドは2管。
非常に引き締まったサウンド、カミソリモード。ティンパニのニュアンスが素晴らしい。強弱の間に無数のニュアンスがある。濃い表現力でした。
N‐tpのサウンドは弦とマッチ。一致ベクトル。奥のウィンド、さらに奥のN-tp、手前の弦。左サイドの一列ホルンちゃん。見事なバランスの演奏。このソノリティーの良さ。抜群のバランスですな。
それに品の良さも加わって、サロネン、動きの良い、スキニーガイの雰囲気濃厚。年齢を重ねているのを感じさせない。いい動き。
多少メカニカルでありながらメタリックさは無い。几帳面で引き締まった演奏はハイレベルでテンションの高いベートーヴェンでした。ベト7、満喫。
アンコールはシベリウス。引き締まったサウンドは持続していて副題をイメージさせる静謐な演奏でした、これも素晴らしかったですね。
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おまけ話、
このオーケストラを初めて聴いたのは2回目の来日公演1978年のこと。EMIクレンペラーのLPサウンド通り、でしたね。指揮者はブルゴス。
970- フィルハーモニア管弦楽団 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス1978.11.19
おわり