河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

647- ドン・ジョヴァンニはテイトの棒で MET 1983.11.19

2008-07-28 00:05:00 | オペラ





1983-1984シーズン聴いた公演を書いてます。

1983年11月19日(土) 8:00pm メトロポリタン・オペラハウス

モーツァルト/ドン・ジョヴァンニ (MET257回目)

ジェフリー・テイト 指揮
ヘルベルト・グラーフ 演出

レポレルロ ポール・プリシュカ
ドンナ・アンナ エッダ・モーザー
ドン・ジョヴァンニ ジェイムス・モリス
騎士長 ジョン・マッカーディ
ドン・オッタヴィオ デイヴィッド・レンダル
ドンナ・エルヴィラ キャロル・ネブレット
ツェリーナ キャスリーン・バトル
マゼット クリスティアン・ブッシュ


昔(1977)、銀座ヤマハで、フルトヴェングラーの指揮するドン・ジョヴァンニのカラー映画を上映するというので、師走押し迫った頃だったと思うが観に行ったことがある。今はDVD等で簡単に手にはいると思うが、当時なかなかそうはいかなかった。
フルトヴェングラーが映っているのは最初の序曲の部分だけであり、あとはほとんど舞台の上の映像。それにしてもウィーン・フィルの、なぜか超ヘヴィーな音に肺腑をえぐられっぱなしだった。そのせいかどうか、ドン・ジョヴァンニは昔からどちらかというと苦手。
フルトヴェングラーのドン・ジョヴァンニはどこをなにを目指したものだったのだろうか。デモーニッシュとよくいわれるけれど、フルオーケストラで音を全部鳴らして進む音楽は重量戦車みたいな感じだが、だいたいにおいていつものフルトヴェングラーのスタイルだ。
でもドン・ジョヴァンニというのはどうもフルトヴェングラーの作る音楽と少し位相が異なるような気がする。空回りと言っていいかもしれない。彼の指揮するドン・ジョヴァンニは多種あるのでいつでも聴けるが、聴くときはいつも、あんなはずじゃなかった、だからもう一度よく聴いてみる、といった心構えになってしまう。

さてMETのほうだが、この日は土曜日なのでマチネー公演あり。
そのお昼公演はブリッテンのピーター・グライムズ。
ピーター・グライムズをやって夜はドン・ジョヴァンニ。指揮者とソロ歌い手は完全に変わるので問題ないが、オケ、合唱は大変だ。

これも歌詞が理解できたらなと思ってしまう。いずれにしても有名なドン・ファンのことなのでなんとかなる。
ドンナ・エルヴィラ役がかなり調子が悪く、最初はちょっと正聴できないぐらいひどかった。オペラは生き物だからしょうがない。でもシンフォニー・コンサートはどうなんだろう。
タイトルロールのモリスは非常にスキニーでスタイルがよく、かといってあまり動き回るわけではない。メトのステージを舞台狭しと動き回るのは大変だろう。それでももう少し動きがあってよかった。動きがありすぎると、邪悪なものが軽くなってしまうのだろうか。
エッダ・モーザーのドンナ・アンナとツェリーナのキャサリン・バトルは全く対照的。同じソプラノでもこれだけ違えば役どころが明確になりわかりやすい。モーザーは少し乾いたような声質で曲によっては溶け込まない、馴染まない。
バトルはとにかく細い声。針金のような綱渡り的細さであるがはずすことがなく巧みな歌唱。彼女の人気はすごい。おばさん連中に絶大な人気がありそうだ。
(河童注:バトルがメトとバトルしたのはもっとあと)

ジェフリー・テイトはその身体をささえる杖さえアクセサリーのステッキのようにあやつり、やたらと様になっている。
序曲から第1幕は快走。
第2幕の幕間が間延びしていて、第1幕に比べてちょっと精彩がなかった。
おわり

 


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