ムーティはオペラの合間にヴェルレクを振った。
ほとんどオペラのような大曲はムーティにはよくあっている。
その日はこんな感じ。
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1988年9月11日(日)19:00
昭和女子大学人見記念講堂
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ヴェルディ/レクイエム
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ソプラノ、ダニエラ・デッシー
メッゾ、アグネス・バルツァ
テノール、山路芳久
バリトン、ポール・プリシュカ
指揮リッカルド・ムーティ
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いくらバブル期とはいえ、日曜日の夜にこのような場所まで出てくるのはつらい。いろいろと都合があったのだろうが、日曜の夜ぐらいゆっくりさせてほしい。
でも出てきた甲斐があった。
オンステージのスカラ座のサウンドを聴いたわけであるが、鋭い分解音というよりもマス・サウンドでせまる。馬力のある合唱とともに一体感あるアンサンブルが出来上がっているのは当然と言えば当然。
ムーティは少し方向性が異なるような気がした。
引き締まった表情で鋭い突っ込みをいれ、颯爽と進む。あまり暗い感じはない。
ユニゾンの迫力がオケ・合唱ともに素晴らしく、音楽の純粋な喜びを思い出させる。
長大な怒りの日は完全に緊張感が継続しており、この曲の中心であるということがよくわかる。最後のリベラ・ミの最後の部分出で、怒りの日の大音響が伽藍のように響くわけであるが、ムーティは息をもつかせぬ超高速。その後のブラスによる静かなエンディングとの見事な対比。
日曜の夜といえども、安息の日々を送ってはいけないときもあるわけだ。
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