これからは、華金は、トリフォニーに寄って美演を聴いてから、半蔵門線で途中下車を繰り返しながら帰るのもいいかもしれない。
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2008年1月18日(金)7:15pm
すみだトリフォニーホール
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ブルックナー/交響曲第8番
(1890年ノヴァーク版)
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ヴォルフ・ディーター・ハウシルト指揮
新日本フィル
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ソナタ形式第4楽章で第3主題がコーダ前、最後に奏されるとき、その音楽を遮断するように雷のように響き渡るソナタ形式第1楽章第1主題の強奏。ここをもって、コーダの開始といった文章を見たことがある。が、
コーダの開始はやはり、ティンパニに導入された弦のからみつき、のところからだと思うのだが、第1楽章の第1主題で音楽をまるで縦に断ち切るような響きをからませることにより、
「もしかして、コーダにはいってから、今まで使った第1,2,3,4楽章の全部の主題が出てくるのではないか、」
といった恐るべき予想を我々の脳裏に走らせる。そしてそれは現実のものとなる。
この超アンビリーバブルなコーダにエキサイトしない人はいないであろう。
巨大な曲がまさしくその全容を最後の最後になって現わすのである。ミラクル。
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ハウシルトの棒はいたって普通。
おそめに設定したテンポ、動かさないテンポ、弦を微妙に膨らませ豊かな響きを作る、ブラスは思いっきり鳴らす、余計なゲネラル・パウゼは無し、
等々、比較的読みやすい指揮。
音楽をあおらず、第3主題までをきっちりこなしていく。パルジファル向きの棒だ。
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新日フィルは幸せだ。
一週間前に聴いた、ブロムシュテット/N響がいくらがんばっても、あのひどい多目的ホール(NHKホール)の音響では、たかだか知れてる。
それに比べて、新日フィルはこのトリフォニーで演奏できるのだ。
最上はないかもしれないが、少なくともNHKホールよりは2万パーセントうえを行く。
自分たちの表現ができるし、何よりも本来曲の持つ素晴らしさを感じさせてくれる。
NHKホールはトリフォニーホールにはいくら束になってもかなわない。
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が、
ホールの音響が良ければすべて良し、というわけでもない。
新日フィルのちょっとルーチンワーク的、心がこもっていない的(どう表現していいかわからない)、ブラスの強奏でピッチが下がり気味的、
等、先週のN響は煮え切らなかったけど、それでも単純に比べて、やっぱり向こうが上手なのも事実だ。
最上のホールで最上の響き、演奏が出来るよう、努力を続けて欲しいものだ。
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今回は前から8列目で観たが、ものすごい錯覚?に陥る。
このホールの左右のバルコニーは直線で後方からステージに向かって傾斜している。バルコニーが斜めになっているように観える。
8列目センターに座ると左右のバルコニーの傾斜している直線のせいで、自分からオーケストラを斜め上に見上げるような位置にいるような錯覚に陥る。自分が少し浮いている感じがする。
バルコニーの直線は地球と平行ではなく、ステージに向かって下がっているのだが、それを平行に感じようとする目の錯覚の為か、今度はステージが上方のほうに位置しているように見えるのだ。なぜか自分も浮いているような感じ。とにかく不思議な現象だ。センター1階前方中心あたりに一度座ることをすすめます。
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話が演奏からそれてしまいました。
ハウシルトと言えば、昔、こんなのがありましたね。
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1982年
10月27日NHKホール
ベートーヴェン/荘厳ミサ曲
(生中継ライブあり)
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10月28日NHKホール
ベートーヴェン/交響曲第9番
(生中継ライブあり)
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11月13日NHKホール
ブラームス/ドイツ・レクイエム
(生中継ライブあり)
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上記
ヴォルフ・ディーター・ハウシルト指揮
ライプツィヒ放送交響楽団、合唱団
ソリストはシュライヤー、フォーゲル等
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生ライブテープは河童蔵にしっかりはいっているはずだ。
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