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桜の季節が近づいてきました。
2007-2008音楽シーズンもあと1~2か月で終わりです。
2月3月というのは、洪水のような来日オーケストラ・ラッシュに一服感があり、国内のオーケストラはこの時とばかり意欲的なプログラムを組めばいいのに、支離滅裂なプログラムばかりで、何を考えているのかしら?というのは前回のブログに書いた通り。
それであまりにもつまらないので、例の河童ワープで一気に100年前まで行ってくることにしました。
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1907-1908シーズン
第66シーズン
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1908年3月13日、14日
8:00pm
カーネギーホール
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ベートーヴェン/交響曲第8番
ベートーヴェン/フィデリオ、Scene and Air
ワーグナー/マイスタージンガー前奏曲
ワーグナー/神々の黄昏、
ジークフリートの死とブリュンヒルデの自己犠牲
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ワシリー・サフォノフ指揮
Wassily Safonoff
ニューヨーク・フィルハーモニック
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ちょうど100年前のこの季節の公演ですね。
フィデリオとカミタソには歌がはいります。
当時としてはあまり長めのコンサートともいえず、比較的気を楽にして聴くことができました。
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この1907-1908シーズンの演奏会回数は、1842年から数えて、第485回~502回となります。ですから全部で18回の公演数。現在の200回オーバーの公演数に比べ1/10以下。
慎ましやかな回数ではあるが、ほとんどが2回公演であり既にシステマティックな形態であったと思われる。
指揮者は一人のみ。ウォルター・ダムロッシュの後を継いだ第8代常任指揮者のワシリー・サフォノフです。因みにサフォノフの次はグスタフ・マーラーが常任になってます。
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今日のワープ・コンサートが今シーズン一番の演奏会ということはなく、しかし、回数に飢えている聴衆にとっては楽しみな演奏家だったはずだ。それにプログラムの構成が良く、今の日本のオーケストラも少しは見習ってほしいものだ。特にこの冬春涸れの3月においては。。
いずれにしても楽しい演奏会でした。
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ちょっと話がそれますが、この1907-1908シーズンにはスクリャービンの交響曲第1番をやってますね。さすがサフォノフさん、自国の音楽の紹介もしっかりやるということでしょうか。1908年当時、スクリャービンの交響曲は第3番までは完成、4番5番はこれから作曲されるものであり、時代的なワクワク感はありますね。
個人的には、第3番と第5番、それにピアノ・コンチェルトが大好き。
第3番の限りない切れ目ない破天荒な変奏曲交響曲、音を光と化す5番、ペダルを開放し見事なエンディングをむかえるコンチェルト。みんないいですね。
やっぱり話がそれました。
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ところで、当時のオーケストラの規模はどうだったんでしょうか。下の写真をみればわかりますが、今とあまりかわりません。
現代の機能オーケストラ時代とは異なり派手系の曲はあまりなく、そのようなものは次の常任指揮者であるマーラーの作曲をまたなければならないし、いずれにしても弦の数がぐっと多いようです。
全体規模がこれだけ大人数のオーケストラが演奏会を繰り返していた、というのはそれ自体音楽の機能レベルが高いということを示している。棒振りが真の棒振りであらねばならない、というのもこれでは自明の理だ。全体をコントロールしながら、自然の発露としての音楽の多様な表現を体現できるように指揮者は導かなければならない。
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さて、コンサートには満足したし、そろそろ不毛の100年後に戻るとするか。
3月4月はサントリーホールではなく初台の新国立劇場のオペラの出し物にスポットライトをあててみる。
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